1.犬の耳
犬の頭の中で優れた能力を発揮する聴覚は人間の約3倍も鋭いとされていて、人間が聞き取れない小さな音でさえも逃さずに広い範囲において音を把握することができます。人間は16方向からの音を聞き分けられると言われていますが、犬は2倍の32方向もの音を聞き分けられるとされています。また、超音波(2万ヘルツ以上の周波数)を聞き取ることができる能力に非常に優れており、人間は2万ヘルツまでですが、犬の場合は約5万ヘルツ前後の音を聴くことができます。
これは犬の祖先と言われている狼の時代に獲物であった小動物の高い鳴き声を聴き取る必要があったために進化したと言われています。低い音は40ヘルツまで聞き取れます。人間が20ヘルツまで聞き取れることを比較すると、犬は低い音より高い音によく反応します。また、花火や雷など大きな音は非常に苦手で、おびえたりもする犬もいます。
花火大会や雷雨の時に犬がパニックとなってしまい、迷子や行方不明になるという話をよく耳にすることがあるでしょう。犬を飼われている方にはよく分かると思いますが、大きな花火の音を間近に聞いたり、大きな雷の音がしたら、普通、犬は平気ではいられません。
2.マルチーズの耳垢
犬の健康な状態の耳垢は、基本的に黄色っぽいような色をしており、臭いもあまりなく、粘ついた感じもありません。しかし、通常以上に耳垢の量が多かったり、耳垢の色が濃かったり、茶色や、黒味が強かったり、赤茶色でだったり、べとべとしていたり、やたら臭かったり、悪臭がしたり、酸っぱい匂いがするなどといった普段とは明らかに違うような状態であれば、耳の病気の可能性があります。
・マルチーズの外耳炎
外耳炎を発症すると、炎症を起こしベトベトした臭いのある耳垢がたまってきます。また、かゆみや痛みを伴うため、しきりに耳をかいたり、後ろ足で引っ掻いたり、頭を振ったりします。外耳炎を引き起こす原因はいろいろあります。細菌や真菌が耳垢に繁殖することによって起こったり、耳ヒゼンダニが寄生することによって起こることもあります。外耳炎は慢性化したり、再発しやすい病気なので、しっかり治療を行いましょう。予防として日頃から耳のチェックを行い、耳垢がたまっていないか確認して下さい。
・耳ダニ感染症
耳ダニ感染症にかかると、耳の穴の中に黒いワックス状の耳垢がたまったり、耳を激しくかゆがったり、しきりに耳をかいたり、頭を振ったりします。耳ダニ感染症は、ミミヒゼンダニ(耳ダニ)という、長さ0.3~0.4mmほどの小さなダニが寄生することで発症します。耳ダニ感染症の治療では、耳道内を洗浄し、耳垢を除去すると共に、殺ダニ作用のある薬剤を投与して治療します。耳ダニ感染症を予防するには、すでに耳ダニに感染している動物との接触を防ぐことが必要なので、散歩に出る時などは注意して下さい。
3.マルチーズの耳のお手入れ
イヤークリーナーを使ったお手入れ方法をご紹介します。
まず、お耳の中にイヤークリーナーを数滴垂らします。
次に、耳の付け根を軽く親指と人差し指で挟んで、くちゅくちゅとマッサージするように液をなじませます。
そして、2~3分したらそっと手を離してブルブルさせます。ブルブルとしない場合は、耳にふぅ~っと息を吹きかけてあげるとうまくいきます。
すると、耳の汚れが中から出てくるので、液といっしょに汚れを柔らかいコットンでふき取って下さい。
これでお手入れ完了です。イヤークリーナーはペットショップなどで購入できます。
4.耳掃除を嫌がる時
まず、飼い主さんが地面に足を伸ばして座ります。
次に、ワンちゃんを膝の上に乗せて、お腹を上に仰向けにします。この時、ワンちゃんを足の間に入れて、手で胸の部分を抑え、勝手に動けないようにします。嫌がって抵抗しても、そのまま無視し、おとなしくなるまで続けます。
そして、あきらめて抵抗することをやめたら、ゆっくりと全身を撫でてよく褒めて下さい。
「体を触られても平気だから安心してね」ということを教えて下さい。一度成功したからといってやめずに定期的に続けることが大切です。