【獣医師監修】猫がご飯を食べない理由。気にしなくてよい場合と病気の場合の見分け方

猫ちゃんは、体調不良以外の様々な理由でごはんを食べなくなります。フードを食べない愛猫を見ても慌てないよう、猫ちゃんの食性に関する豆知識を知っておくと安心ですね。
 

あまり神経質にならなくて良い場合

前日に美味しいものを食べたとき

普段カリカリを食べている猫にゴージャスなグルメフードを与えると、飛びついてあっという間に平らげるのを見たことがありませんか?人ほど味覚は鋭くありませんが匂いで食べ物を楽しむので、嗅覚の優れている猫は想像以上に美食家です。猫にとってゴージャスでグルメなフードとは、食欲を刺激する良い匂いのするフードです。
食べなければ昨日みたいな美味しいものが出てくると思って我慢をしてしまう、または単純に昨日のフードよりも匂いの劣るフードに食欲がわかずに食べなくなってしまうのです。しかし、ここですぐに他のフードを与えると学習してしまい、すぐに飽きて次の美味しいものを求めるようになるので要注意ですね。

出されたキャットフードが嫌だ

キャットフードを変えた時や食事に薬やサプリを混ぜた時にも、ぷいっと顔をそむけて食べようとしなくなることがあります。また、食感が気に入らなかったりすることもありますし、前述の通り匂いが気に入らないこともあります。新しいキャットフードに対し「これじゃない感」をもってしまったのでしょう。どうしても口にしてくれない場合は、元に戻せばまた食べてくれることもあります。
以上、あまり神経質になる必要はないのですが、頑固というか、猫ちゃんは犬よりも「したくないことはしない」動物なので、たかが好き嫌いでも命に関わるほどの絶食を続けることがあるため、様子見は1日半くらいにしましょう。

★病気の場合

口の中に異常がある場合

口内炎・歯肉炎・歯周病は猫にもみられる疾患です。口の中に痛みや違和感を感じると、食欲が減退してしまうのも人間と共通です。慢性歯肉口内炎を患っている猫は、口の周りがヨダレでベタベタしています。口内が原因の場合は食欲自体はあり、匂いを嗅ぎに行ったりします。

喉に異常がある場合

喉に腫瘍ができたり、気管支炎にかかっている猫は、喉を通る際に痛むことからフードを受けつけなくなります。気管支炎などの感染症の場合は食欲自体もなくなることもあります。
病気が原因で食べなくなった猫をそのままにしておくと、使わないことで腸管の動きも鈍ってますます食べなくなり、痩せて衰弱し死亡します。食欲不振は放置せず、早めに動物病院を探しすぐに治療してもらいましょう。

嘔吐・下痢をしている

嘔吐、下痢の症状があるときも、急いで動物病院へ連れて行きましょう。異物の場合は急性に亡くなることもあります。また、食欲不振自体で嘔吐、下痢を引き起こすこともありますが、内臓の異常からくる食欲不振の場合、病気はすでに進行している可能性があります。
消化管症状を伴う食欲不振の場合は、消化管寄生の寄生虫が原因ということもあります。その中でもトキソプラズマという原虫寄生の場合は猫から人間へもうつる病気なので、近年室内飼いではそれほど多くはみなくなった病気ですが、妊婦さんなどは気をつけましょう。

発熱がある

猫の平熱は38度前後(39度まで)です。肛門に体温計を挿しこんで熱を測りますが、慣れないとなかなか上手にできません。そこで、肛門で熱を測る代わりに撫でながらお腹や内腿を触ってみてください。普段から底を触っておくとそれより熱いのか冷たいのかわかります。  

ズバリ!見分け方はあるの?

便と尿の臭いや回数はいつもと同じか確認

好き嫌いや気まぐれでエサを食べないのか、病気が原因なのか、見極める際の大きなヒントになるのが匂いを嗅ぎに行くかどうかです。匂いを嗅いでいるときは食べる気持ちはあるけれど好き嫌いしていますが、匂いも嗅がない、または気持ち悪そうにするなら食欲がなくなっています。

それ以外に飼い主さまが気づける情報としては尿と便の状態があります。猫のオシッコの頻度は個体差がありますし、普段はお留守番の子も多いと思うので、わからなくて大丈夫です。犬のように大量に水を飲まない猫のオシッコは、色が濃く強い臭いがあるのが普通です。尿の量が少ない、屈んでもまったく出ない、もしくは数滴しか出ない時は要注意です。また血液が混じると尿の色は赤やワイン色になります。ウィルスや寄生虫が体内にいると、急性に水状の下痢をし、出血することもあります。粘りのある下痢なら大腸にトラブルがおきています。普段の便の色ではなく、白や黒い色の便も内臓の病気の現れです。いずれの場合も素人判断は禁物です。動物病院へ急いでください。その際は嘔吐物や便を可能な限り持って行ってください。

何度も吐く

舌を使って舐めることで毛づくろいをする猫は、胃の中の毛玉を出すために吐くことがあります。一度吐いてケロッとしていたら心配はありませんが、繰り返しゲーゲー嘔吐したり、食べたものや胃の粘液、血液が混じったものを吐いたり、緑色の液体を吐いたりといった時は毛玉やその他の異物、もしくは胃の動きが鈍くなって部分的に閉塞している可能性があり、危険性も高いです。迷わず動物病院へ行きましょう。
 

ストレスの場合

その他にも、引っ越しや同居のペットが増えて環境が変化することでストレスを感じ、食欲を無くすケースもあります。変化に対する耐性が少ないので、留守番が原因でフードを食べなくなることもあります。エサを与える時の皿に髭が触れるのが嫌だったり、食器が汚いためにエサに寄りつかないというデリケートな猫ゆえの理由もあるようです。飼い主としては頭を抱えるところですが、愛猫の気持ちを察してできるだけ快適な環境を用意してあげてください。 
 
このように、猫の食欲不振にはいろんな理由があることがわかります。それほど心配しなくてもよい理由から緊急性の高い原因までさまざまです。あなたの猫がフードを食べないと同時に、発熱や嘔吐、下痢などの症状を発症しているときは、「様子を見」ずに動物病院へ連れて行ってください。食べなくても元気があり、食欲自体はありそうで、お水は飲んでいる大人の猫ちゃんなら、日中一日程度は様子を見ても良いでしょう。子猫の場合は急速に脱水症状に陥るので、様子を見ずに動物病院に連れて行ってください。
前述のとおり、食べないと消化管の働きが鈍ってどんどん食べられなくなるので、食べなくなって夜を越したら、翌日には「様子を見」て良いかを動物病院で相談するようにしましょう。

渋谷区どうぶつ病院ルル元院長。

10年間院長として活躍した豊富や診察経験他民放テレビやインターネット、雑誌や書籍などさまざまな媒体にも出演、寄稿している。

 

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