マルチーズの語源と歴史について

1.マルチーズの語源

高貴な雰囲気が漂うマルチーズは、ペットとして今も大変人気です。
この「マルチーズ」という語源は、地中海のマルタ島原産である事に由来しているとされています。
語源については諸説あり、歴史家の中でも意見が分かれているそうです。
多くの場合はマルタ島に由来するとされていますが、そのマルタ島自体の由来にも諸説あります。
一つはセム語族と呼ばれる部族の言葉で「港、避難所」などの意味を持つ「Malita」とされており、この言葉を含む地名は他にもムリェト島(ラテン語でMelita)などがあります。

2.マルチーズの歴史と現在


紀元前が発祥のマルチーズ
マルチーズの歴史は大変古く、起源は紀元前まで遡ることになります。
紀元前まで遡るため、起源に関しての確かな証拠はあまり現存しておらず、伝説や仮説の域ではあるものの、上記の通りマルタ島でマルチーズ種が始まったとされています。
伝説によれば紀元前1500年頃、当時貿易の中継点であったマルタ島に、フェニキアの水夫たちが持ち込んだ犬種が元とされています。フェニキアはかつて存在した地域名で、地中海の東岸に位置していました。
ちなみに、古くからマルタ島は貿易の中継地点として栄えており、地中海周辺の地域諸国の中では、文化が最も発達していたと言われています。
その際に持ち込まれた詳しい犬種についても諸説ありますが、アジア由来の小型犬だったという説が記録に残っています。
マルチーズに関する記述は、紀元前300年頃の物が残されており、5世紀頃のギリシャの美術品には、マルチーズによく似た犬が描かれています。
また、マルチーズへの愛情が嵩じて墓標が建てられたという証拠も残っているので、当時から人々に愛されていた事が分かります。

3.愛玩犬として人気になったマルチーズ

マルチーズは狩猟犬や使役犬を小型化した犬種ではなく、終始愛玩犬としてのみ愛され飼育されてきた、極めて特異な経緯を持つ犬種です。
愛玩犬としてのマルチーズは今に始まったことではなく、既にヨーロッパ、特にイギリスやフランスの王室貴族を中心にして、人気となっていました。
19世紀となった1813年に、マルタ島はイギリス領となります。
その際にマルチーズはイギリス王室へ渡り、当時のイギリス女王、ビクトリア女王をはじめとする王室貴族の中で大流行しました。
それ以前にも、在位1509年~1547年のヘンリー8世の時代からエリザベス朝時代を通して、貴婦人たちから抱き犬(愛玩犬)として大変な人気を博していたと言われています。

フランスでは15世紀に渡ったとされており、イギリス他ヨーロッパ諸国での流行よりも一足早く流行が訪れていたようで、破格の高額での取引がされていたようです。

ジャパンケネルクラブ(JKC)の調査による、日本国内の飼育頭数により決定した人気犬種ランキングがあります。その調査によると、1968年から1984年までの16年間はマルチーズが1位であったという記録があります。

以上のような歴史や現在までの人気の高さから、人類最初の愛玩犬はマルチーズであったとも言われています。

4.マルチーズが純血を守れた理由

紀元前にはマルチーズ以外にも、その地域固有の多種多様な犬種が存在しましたが、ヨーロッパやアジアなどへ持ち込まれたことにより混血が進み、容姿が変化していく場合が多かったようです。
例外として、マルチーズはマルタ島に残されていた為、他の犬種とは接触のない隔離された状況でした。
島に隔離された環境下で、何世紀にも渡ってマルチーズ同士の純粋な交配が繰り返されてきた結果、昔と変わらない独特な特質を受け継いだ歴史の長い犬種となりました。
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