マルチーズを飼う前に知っておきたい9つのこと

真っ白でふわふわのマルチーズ。 こんなかわいいワンちゃんが家族にいたら毎日が楽しそうですよね。 しかしワンちゃんを飼うのは、楽しいことだけではありません。 犬種特有のお手入れの手間や、かかりやすい病気もあります。 老犬になれば介護もあるかもしれません。 そうなったらお金もたくさんかかってくるかもしれませんね。 そういったこれから起こりうる「かもしれない」ことを、家族みんなで確認してから家族に迎える決断をしましょう。

1.犬アレルギーチェックをしよう

アレルギーテスト
  • 全体の15%の人は動物アレルギーを持っていると言われている。
  • 犬アレルギーの人は、犬と同じ空間にいるだけで、全身の痒み、咳、蕁麻疹、呼吸困難などの症状がでてしまう。
  • アレルギー科、内科、皮膚科で検査ができる。
  • パッチテストか採血が一般的。
  • ハウスダストの検査もあわせてしておくといい。
動物アレルギーというと猫アレルギーが一般的ではありますが、犬アレルギーも例外ではありません。 ワンちゃんをやむを得ず手放す理由で「家族の中に犬アレルギーがいた」というケースは少なくありません。 また、犬アレルギーは持っていなくても、ハウスダストアレルギーを持っていて、犬との生活がつらいものになってしまう人もいます。 事前にどの程度のアレルギーを持っているかで、まったく犬が飼えないのか、もしくは気をつければ飼えるのかが変わってきます。 軽度であれば抜け毛の少ないマルチーズは飼えるかもしれませんが、ワンちゃんを寝室に入れないようにするとか、毎日掃除機をかける等、何らかの対策をとる必要があるでしょう。 詳しくは 検査費用については、病院ごとに金額設定が異なるため、事前に電話で問い合わせてみるといいでしょう。 病院の検索・予約は『EPARKクリニック・病院』が便利です。 http://fdoc.jp/

2.どんな人がマルチーズの飼い主に向いている?

マルチーズと女性

・充分に愛犬とスキンシップの時間がとれる人

マルチーズは昔から貴族の「抱き犬」として可愛がられていた歴史があり、飼い主の膝の上に乗ったり、抱っこされるのが大好きです。 毎日のスキンシップが苦でない人がいいでしょう。 「愛犬には甘えてほしい!」という飼い主さまにはピッタリですね。 マルチーズの性格についてはこちらをご覧ください マルチーズの性別による、性格の違い

・トリミングが楽しめる人

マルチーズの被毛はカットをしないと、どんどん伸びて行って、床についてしまいます。 そうなってしまうと、排泄や食事の時に毛が汚れてしまうため、衛生的に保つのが難しくなってしまいます。 マルチーズの被毛を伸ばすためには、ラッピングという毛をまとめる特殊な技術が必要なうえ、多くのことに気を使って生活をしなければいけません。 したがって、ドッグショーに出るような子をのぞいて、家庭で暮らすほとんどのマルチーズは、定期的にトリミングサロンに行ってカットをしています。 被毛を清潔にためには1ヶ月に1回のトリミングが理想で、価格はシャンプーとカット込みで6000~8000円が相場です。 お金はかかってしまいますが、マルチーズはカット次第で、様々な表情を見せてくれるので、愛犬のトリミングを楽しめる飼い主さんが向いているでしょう。 マルチーズのカットスタイル集はこちらをご覧ください 【マルチーズのカットスタイル】ワンちゃんだってオシャレに!

・根気よく愛犬をしつけることができる人

かわいらしく上品な見た目のマルチーズですが、実は気が強い一面もあります。 飼い主さんには従順で甘えん坊ですが、他の人には警戒心が強く、吠え癖がついてしまうことも多いです。 愛犬に小さいころから他のワンちゃんや、飼い主以外の人と触れ合う『社会化』をさせることは必須です。 そして愛犬に「ダメなものはダメ」と、しっかりとメリハリを持って接し、ルールを教えてあげることが、飼い主さんには求められます。 また、飼い主さんと離れるとパニックをおこし、お留守番中に問題行動をしてしまう『分離不安』という精神病の一種になってしまう子も、マルチーズは多いといいます。 「甘えん坊だから」と四六時中一緒にいると、飼い主さんは愛犬を置いてお買い物にも行けなくなってしまう・・・という事態にもなり兼ねません。 ちいさい頃から程度にお留守番のトレーニングもしておきましょう。

・室内で飼うことができる人

マルチーズは南国の暖かい場所出身なので、季節による毛の生え変りもなく、体温調節が苦手です。 室内で飼うことを前提とされ改良されているため、一年を通して、室内で温度管理をしてあげる必要があります。 そのため、「庭やベランダで飼いたい」という希望がある方はマルチーズを飼うのは難しいでしょう。

3.こんなお手入れが必要

グルーミングの表 マルチーズは性格的に初心者も飼いやすい犬種ですが、お手入れは少しだけ手間がかかります。 どれも慣れて習慣化してしまえば、そこまで大変なことでもありません。 また、お金を払ってプロにお願いすることもできます。 ひとまず、どんな周期で、何をするのかということを知っておきましょう。
シャンプー 1ヵ月に1回、梅雨~夏場は2週間に1回
被毛のカット 1ヵ月に1回
肛門腺絞り 1ヵ月に1回
爪切り のびたら切る (お散歩が多ければ1ヵ月に1回、少ないければ1週間に1回)
歯磨き 理想は毎日。少なくとも3日に1回
耳そうじ 3日に1回
目やにとり 汚れていたらその都度
ブラッシング のばしている子は毎日
シャンプー、被毛のカット、肛門腺絞りは月に1回、トリミングサロンに連れて行けば、トリマーさんがやってくれます。 しかし爪切り、歯磨き、耳掃除、目やにとり、ブラッシングは、家庭でもケアしてあげる必要があります。 特に小型犬であるマルチーズは歯周病になりやすく、垂れ耳なので耳の中も汚れやすいです。 歯磨き耳掃除は、特に飼い主さんがこまめにケアしてあげましょう。

4.お散歩の頻度と時間

マルチーズの散歩
  • 長距離のお散歩はいらないので、高齢の方や、お散歩に時間がさけない人でもOK!
  • 短い時間の中で、愛犬が楽しめる工夫をしてあげましょう。
毎日2~3回、10~20分の短めのお散歩がベスト。 マルチーズは同じ小型犬と比べても、運動量が少ない方です。 多くの距離はいらなくても、好奇心が旺盛でお散歩は大好きです。 そのため長距離ウォーキングをさせるよりも、短い距離の中に他のワンちゃんとの交流があったり、景色を楽しむようなレジャーがあると喜びます。 しかし毎日のお散歩で、お出かけをするのは難しいですよね。 そういった場合は、いつもと同じ道を反対から回ったり、ジグザグに歩いたり、しつけの訓練を途中で取り入れたりしながら、変化をつけることで満足度が上がるでしょう。 また、ベストな距離は、愛犬の年齢や体力、お散歩コースによっても違ってきます。 常に愛犬が疲れてヘバってしまっていないかチェックしながらお散歩しましょう。 暑くもないのに「ハァッハァッ」とパンディングしていたら、散歩が長すぎる可能性があります。 マルチーズのお散歩についてこちらで詳しく解説しています マルチーズとのお散歩にはハーネスと首輪、どっちがいいの? マルチーズにとってベストなお散歩を徹底解説!

5.しつけの基盤となる『社会化』をさせよう

社会化
  • 社会化は全てのしつけの素養となるもの。
  • 好奇心が強い3ヶ月までに、より多くの人や犬に出会い、様々な経験値を積むことで、成犬になった時に適応力がつく。
  • 社会化期に充分な経験ができなかった犬は、知らないものに覚えたり、攻撃的になる傾向がある。
マルチーズは飼い主さんへの忠誠心がある分、訓練をしないと他の人に会うたびに吠えたり、噛んだりと迷惑をかけてしまう可能性が高いです。 では、どうやって訓練するのか?というと、生後3ヶ月までの時期に、子犬が経験するであろう、色々なことに慣らしておくと良いです。 例えば子どもや老人など色々なタイプの人、自分以外の犬や工事現場での大きな音、雷や花火の音、爪切りや病院の診察台などです。 生後3カ月の『社会化期』の子犬の脳は未発達の状態で、あまり恐怖心は感じておらず、色々なものに興味を持つことができます。 この感受性の高い時期に色々なものに慣らしておく必要があるのです。 そして子犬の脳は生後約3か月で成犬とほぼ同じ状態に成長し、4か月あたりから好奇心よりも警戒心のほうが強くなり、社会化は生後6か月頃までに終了していきます。 「じゃあ1日でも早く外に出た方がいいのでは」と思うかもしれませんが、ここで気をつけたいのは感染症です。 ワクチンプログラムが終了していないうちは、こわい病気をもらってしまう可能性もあります。 しかし病気のリスクをおそれて、このタイミングを逃すのも惜しいものがありますよね。 そこでおすすめしたいのが、抱っこでのお散歩です。 また、最近では同じくらいの月齢のワンちゃんと触れ合う『パピーパーティー』が動物病院主催で各地で開催されているので参加してみるのもいいでしょう。

6.平均寿命

犬のお墓
  • マルチーズの平均寿命は12~15歳
  • ギネスでの最高寿命は24歳
一般的に、大型犬よりも小型犬の方が長生きと言われています。 マルチーズは小型犬の中でも命に関わる疾患にかかることが少ないことから長生きする子が多いようです。 しかし他の犬種に比べて、皮膚や耳のトラブルは多いので、定期的なトリミングと耳掃除には飼い主さんが気を配ってあげましょう。

7.かかりやすい病気

病気にかかりやすい

(1)子犬の時期注意したい病気

・低血糖症

低血糖 低血糖症とは血液中の糖分(グルコース)が不足する事によって、体内に栄養補給が不足してしまう状態の事です。 軽度なものだと、ぐったりする、運動をしなくなるといった症状がみられ、重症化すると下半身の麻痺や痙攣、失明などを引き起こすこともあります。 対策 犬の低血糖症は食事で摂取する糖の不足や、内臓の障害などで引き起こされる可能性があります。 食事で十分な糖を摂取させるのはもちろん、愛犬の健康に配慮し肝臓や膵臓の機能が低下しないような配慮をしてあげてください。 特に子犬は内臓の機能が未熟なため食事に頼る部分が大きくなります。 こまめに少量ずつの食事を与えて低血糖症のリスクを軽減してあげましょう。 また体が冷えるとエネルギー消費が増えて血糖値が低下する可能性があるので、寒い時期には暖房器具を使用して犬の生活環境の気温を上げてあげることも重要です。

・レッグペルテス

レッグペルテス 股関節の骨が変形してしまう病気です。 生まれて1年未満の成長の段階で、股関節が変形してしまう病気です。 原因は明確ではありませんが、遺伝やホルモン異常で骨が部分的に懐死するといわれています。 症状は、足を引きずって歩く、足をあげている、などが見られます。 膝蓋骨脱臼の症状と似ています。 治療法は、ほとんどの場合が手術で、変形している部分の骨を切除することで治療します。 早期に手術をしてリハビリをすれば、歩くことができるようになりますが、発見が遅れると歩行異常の後遺症が残ってしまう可能性があります。 対策 遺伝的な要因が大きいと言われているので、残念ながら予防法はありません。 しかし痛みをともなうので、発症してしまったら早期発見することが大切です。 詳しくはこちらをご覧ください 小型犬がかかりやすいレッグペルテス病とは。発症したら手術が必要なの?

(2)シニア期に注意したい病気

・気管虚脱

つぶれた器官の図 「気管虚脱」は気管が押しつぶされ、正常な空気の流れが行われなくなる状態をいいます。 症状は、「カッ、カッ」「ガー、ガー、」という乾いた咳をして、呼吸困難をおこします。 呼吸が浅くなったことで、体温調整ができなくなり、命の危険にさらされる場合があります。 また、治療が遅れた場合、もし救命できたとしても、脳や肺に障害が残る可能性もあります。 夏場に発生しやすく一旦症状が落ち着いても再発しやすいため、1度症状が出た場合、継続して注意する必要がある病気です。 対策 気管虚脱の予防は複数あります。 ちょっとした知識と選択で防ぐことができるので、覚えておきましょう。 肥満にならないように体調管理をする。 散歩はしつけの時以外は首輪ではなく、ハーネスを使用する。 夏場の激しい運動は避ける。涼しい時間帯に散歩に行く。 高温多湿な状態だと咳が出やすいので、温度と湿度には気をつける。

・膝蓋骨脱臼

脱臼のしくみ 日常生活を送る上で最も注意してあげたい病気のひとつに膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)があります。 これは後ろ脚の関節が、何らかの原因でずれる、もしくは外れるという病気です。 中には生まれつき異常を持って生まれてくるトイプードルもいますが、たいていは後ろ脚を酷使するような運動をしていたり、家の中のフローリングで足をすべらせてしまったときに発症します。 一度なってしまうと、50%の確率で再発してしまう厄介な病気です。 場合によっては高額な手術をしなければないけなくなってしまいます。 ぎこちない歩き方をする、散歩を嫌がる、膝が腫れている、などの症状がみられるときは、すぐに動物病院で診てもらいましょう。  対策 対処法は、仔犬のころから適度に運動をさせ、筋力をつくることと、ビタミンEなどのサプリメントをとることです。 また、室内の環境にも気を使ってあげましょう。 硬いコンクリートの方が危ないように思われがちですが、フローリングの床や階段で滑った時に膝蓋骨脱臼になったという例も少なくないのです。 滑り止め付きのラグを敷いたり、階段にはゲートを設置するなどしてしっかりと対策しておきましょう。 そして、肥満も関節に負担をかけるため、栄養管理にも気をくばってあげることが重要です。

(3)年齢関係なく頻発する病気

・流涙症

涙が多く分泌してしまう病気です。 常に涙があふれて、目の周りの被毛が茶色~黒色に変色してしまいます。 流涙症の原因は大きく分けて二つ考えられます。 ひとつは睫毛や瞼が目に当たり、その刺激で涙がたくさんでてしまい涙やけになるパターン。 二つ目は、鼻涙官が何らかの原因で詰まってしまい、流涙症を起こしてしまう場合もあります。 涙やけがひどいなと思ったら一度動物病院を受診してみましょう。 対策 まつげや目元の毛が伸びてしまい刺激になっている場合は、こまめにカットをすれば予防はできます。 体の構造上、まぶたが下を向いているケースは、人間の美容外科手術の様に目の形を変える手術もあります。 また、外的な刺激ではなく、鼻涙菅に何かが詰まって閉塞を起こしている場合は洗浄を行います。 麻酔下で柔らかい針を目から鼻涙菅に向かって差し込み、生理食塩水を注ぎ込んで洗浄を行います。 洗浄する穴が完全にふさがっているケースは、手術をもって治療します。

・外耳炎

外耳炎 外耳炎にかかると、耳の入り口の耳介から鼓膜にかけて、べとべとの耳垢がたまり悪臭がします。 とても痒いので、しきりに頭を振ったり、耳をかくようになります。 外耳炎の原因は様々です。 通気性が悪いために普段から菌の温床になりやすいですし、またシャンプーの後にしっかり拭かなかったことが原因で発症したりもします。 対策 普段から耳掃除と耳のチェックを怠らないようにしましょう。 3日に1回、少なくとも1週間に1回は耳掃除をしてあげるといいです。 しかし、素人が耳の奥を触ってしまうと、逆に炎症をおこしてしまうこともあります 飼い主さんは、耳の手前を専用のローションで軽く拭いてあげるくらい留めておきましょう。 そして耳垢やにおいに変化があったら、すぐに愛犬を動物病院につれていってあげてください。 早期発見で重症になるのを防ぎましょう。 耳掃除の仕方はこちらをご覧ください マルチーズ、耳の掃除はどうやってするの?―耳の構造と掃除方法―

8.いくらかかかるの?お金について

お金の話
  • マルチーズの子犬の価格は5~25万円
  • 飼いはじめには子犬代の他に、ワクチン費用や畜犬登録など5万円ほどかかる。
  • 15年間の生涯飼育費用は290万円前後
マルチーズは両親の血統や、顔の可愛さによって5~25万と、値段に幅があります。 子犬に定価はないので、ペットショップやブリーダーによって価格が異なってきます。どうしてその値段なのか、聞いてみるといいでしょう。 また、マルチーズはトリミング代がある分、少し飼育にお金がかかるかもしれないですね。 マルチーズの飼育費用について、詳しくはこちらをご覧ください マルチーズを育てるにはいくらかかるの?生涯飼育費用について

9.里親という選択もある

マルチーズと人
  • 何らかの理由で飼えなくなり、保護されたマルチーズを家族に迎えるという選択もある
  • 高額な金銭のやりとりはない
  • 成犬の方が、性格が或る程度分かるため、自分のライフスタイルに合わせてワンちゃんを選ぶことができる
里親とは、保護されている犬、もしくは元々の飼い主の何らかの理由により預けられた犬を譲り受け、育てていくものです。 保護されている犬のほとんどは成犬です。 成犬の方が性格や癖が分かっているので、自分のライフスタイルに合わせたパートナーを選ぶ場としては最適な場でもあります。 また、ペットショップで犬を買う時とは異なり、譲り受ける際に高額な金銭のやりとりはありません。 保護してもらっていた間にかかった動物病院の医療費や、引き渡しの運送費などの「譲渡金」を2~5万円ほど一次保護してくれた団体に渡す場合が多いです。 こうした保護犬を引き取るというのも、社会的な意義もあり、いいかもしれませんね。 マルチーズの里親について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。 マルチーズを飼いたい!里親になる方法

まとめ

・マルチーズは散歩が少なく、飼い主さんに対して甘えん坊で初心者にも飼いやすい。 ・お手入れには時間と手間とお金はかかる。 ・スキンシップやトリミングを楽しめる飼い主さんが向いている。 ・耳と肌の健康には気をつける。 ・メリハリを持ってしつけをする いかがでしたか。 生き物を飼ううえでは避けて通れない大変なこともあるかもしれませんが、マルチーズを家族にむかえた際は、かけがえのない思い出をつくってくれるでしょう。 マルチーズに関する記事はこちらもおすすめです マルチーズのこと全部まとめ!性格から病気、生涯飼育費用まで10の知っトク情報
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