1.短頭種の犬がなりやすい「逆くしゃみ」
短頭種とは、鼻ぺちゃで可愛らしい比較的頭が短い犬のことで、マルチーズもこの犬種です。この短頭種の犬がかかりやすいとされているのが「逆くしゃみ」です。
通常のくしゃみは鼻から息を急激に「吐き出して」するのが普通ですが、逆くしゃみは鼻から息を急激に「吸いながら」くしゃみをするという症状となっていて、鼻腔から空気を勢いよく、連続的に吸い込むことで起こります。
逆くしゃみをしている時は、豚の鳴き声のように「ぶーぶー」という音がするので、初めて聞いた場合は驚いてしまうかもしれません。
この症状は「発作性呼吸」と呼ばれ、マルチーズの他にもパピヨン、チワワ、トイプードルなどに起こりやすい症状です。逆くしゃみで倒れたり気を失ったりするといったことはないですが、咳を伴ったりする場合は別の病気である可能性も考えられます。
2.逆くしゃみの他にも、こんな原因からくるくしゃみがあります
・犬ジステンパーウイルス感染症
犬ジステンパーウイルス感染症はウイルス性の感染症で、鼻水や発熱といった風邪のような症状から始まり、次第に咳やくしゃみ、嘔吐や下痢といった症状があらわれるのが特徴です。さらに悪化すると麻痺や痙攣といった症状も発症するため、注意が必要な病気です。
・ケンネルコフ(伝染性気管支炎)
また「ケンネルコフ」というウイルスや細菌が感染する病気もくしゃみを伴います。免疫力の低い子犬が発症しやすい病気となっており、くしゃみ以外にも咳や発熱といった人間の風邪のような症状があらわれます。子犬が「コホコホ」と咳をしている場合、まずはこの病気が疑われます。ケンネルコフは犬パラインフルエンザウイルス感染症(発熱・咳・扁桃炎などの症状がでる)が原因でなる場合もあります。
他にも呼吸器系の病気に「気管虚脱」があります。この病気は、気管が押しつぶされることで変形し起こる病気のため、完治が難しいとされています。暖かい時期に発症することが多く、運動したり興奮した場合に「ゼーゼー」や「ガーガー」という音を伴う呼吸の症状があらわれます。悪化すると呼吸困難となってしまうため、早めに動物病院に連れて行くようにしましょう。軟骨が弱いなどの遺伝的要因でかかるといわれていますが、正確な原因は不明とされています。
3.くしゃみの予防法・対処法
逆くしゃみをしている場合、犬のお気に入りの香りを嗅がせることで、逆くしゃみが止まります。鼻の前に大好きなおやつを差し出すなどしてあげると良いでしょう。他にも軽く鼻を塞いであげることが効果的とされています。また、胸元をさすってあげるのも良いとされていますし、逆くしゃみに効果的な「かくゆ」というツボもあります。
また、生理的なくしゃみの場合は、ハウスダストやタバコのニオイ、飼い主さんの香水が要因の場合があります。こういった生理的な要因のくしゃみは防ぐことができますので、犬に気を配った環境づくりをしてあげることが大事です。
他の病気が原因のくしゃみは、その病気を治療することが不可欠となりますので、動物病院へ連れて行きましょう。ジステンパーウイルス感染症などはワクチン接種もおこなわれているため、予防接種している場合は発症してもちょっとした症状で済むこともあるため、接種する機会があれば受けておくのも良いでしょう。
そして、くしゃみを予防するうえで一番気を付けてあげたいのは「寒暖の気温差」です。暖かい部屋から寒い外へ移動することで免疫力が低下することがあります。そういった場合は服を着せてあげることで予防できますので、寒い日に外へ散歩に行く場合は予防ついでに服でオシャレさせてあげましょう。また、冬などの朝晩が冷え込むといった場合も注意が必要です。犬用ベッドに温かい毛布を置いてあげるなどして対処してあげましょう。夏場でも扇風機の風が直接鼻腔に入った場合も逆くしゃみを起こす原因となるため、扇風機のヘッドを高くするなどして対処しましょう