もくじ
1.犬のマッサージは効果的なスキンシップとは?
愛犬とのスキンシップの中にマッサージを取り入れると、愛犬がリラックスし、人の手を嫌がらない子に育てることができます。飼い主との信頼関係が深まり、飼い主にならどこを触られても嫌がらないようになり、それが人の手を嫌がらないことに繋がるのです。
飼い犬にとって、人の手を嫌がらない、つまり人の手に慣れるようにしつけることは非常に重要です。ふとしたことで人の手を噛んでしまうという事故を減らすことができますし、病院での診察にも大いに役立ちます。そういった意味でも、人の手は怖いものではないと教えることは非常に大切なのです。
また、マッサージを行うことは、飼い主=リーダーであることを再認識させることもできます。犬が自分の体を自由に触らせるのは、気を許した仲間やリーダーに対してのみだけです。そのためマッサージを行うことで、飼い主がリーダーであるという認識が自然と強まるようになるのです。
2.愛犬にマッサージで病気を早期発見の場合が!
愛犬のマッサージには、病気を早期発見できるというメリットもあります。普段から愛犬の体に触れていれば、ちょっとした感触の違いに気付くことができるからです。
皮膚の下のしこりや、皮膚トラブル、ノミやダニの有無や毛並みの変化など、愛犬に触れることで分かることは非常に多くあります。特に腫瘍ができる病気の場合、外から見て分かるくらいまで成長させてしまうと犬が可愛そうですし、万が一悪性だった場合治療が困難になることもあります。すぐに対応することができれば、症状が軽いうちに治すことができるのです。
3.愛犬が喜ぶ簡単マッサージ方法って?
犬のマッサージにはいくつか方法あります。
まずは基本、全身のマッサージから。手のひら全体を使って、流れるように優しく撫でていきます。犬も人間と同じようにリンパ腺があるので、撫でることでその流れを促し、デトックス効果を得ることができます。しっぽの先、足の先までしっかりと触ってあげましょう。
慣れてきたら、次は部分的なマッサージに移ります。まずは首をマッサージしてあげましょう。頭の下辺りを、指先で円を描くように撫でます。小型犬の場合は小さく、大型犬の場合は大きく動かしましょう。筋肉をほぐすというよりは、愛犬を落ち着かせるようなイメージで、あまり力を入れずにマッサージしてあげてください。
次に肩と前足に移動します。よく使う肩甲骨から上腕三頭筋の部分をマッサージさてあげると喜びます。時間をかけて触ってあげましょう。毛並みにそって手のひらを這わせるようにして触ったり、慣れてきたら指や手のひらで少し強めに円を描くようにして刺激を加えていきます。逆に前脚は触られるのを嫌がる犬も多いので、もし愛犬が嫌がったら無理して触るのは控えます。
背中のマッサージは、首元からお尻まで背中をゆっくりと下りていくようなイメージで行います。背骨の両側軽く押していくような感じです。ダックスフンドやコーギーなど、ヘルニアになりやすいと言われている胴長の犬は、特にこの背中のマッサージを重要視してあげてください。痛がるポイントがあれば、早めに獣医さんに相談するようにしましょう。
胸も普段疲労がたまりやすい部分です。四つん這いで移動している犬は、腹部や胸部の筋肉を使って前に進んでいます。そのため、人間が思っている以上にこの部分を酷使しているのです。それだけに、胸部全体はマッサージされると喜ぶ場所になります。面積が広いので手のひら全体で毛並みにそって撫でるように行いましょう。反面、腹周辺は触られるのが苦手な犬が多いです。骨格で守られていないので、弱点になり得るからです。
最後の仕上げは後ろ足とお尻です。使う頻度の高いお尻から太腿にかけてはマッサージされると喜びます。逆に後ろ足の先端やしっぽは、前足と同じく触られるのが嫌な犬も多いので、嫌がる場合は無理してマッサージを行わないようしましょう。後ろ足をマッサージするとき、可能であれば股関節や膝の可動域をチェックしてあげるのもおすすめです。
溜まった疲れを取るというより、触られることに慣れるために行うといいのが顔のマッサージです。犬の顔には目、耳、歯など定期的なお手入れが必要な部分が多いので、普段から触られることに慣れておくと、手入れの際抵抗されることもなくなります。また獣医さんにかかるときも楽になります。顔のマッサージは、筋肉と毛並みの流れにそって指先を流す感覚で行います。目の周囲や耳、唇と言った部分にも触っておき、慣らすようにしましょう。最初は嫌がるかもしれませんが、少しずつ慣らしていくことをおすすめします。
単純にマッサージを行うだけではなく、そこにプラスアルファする方法も効果的です。人気なのがドッグアロママッサージです。精油の香りを利用したマッサージで、リラックス効果を高めます。ただし、犬には使ってはいけない種類の精油もあるので注意が必要になります。最近では犬に使うことを想定した精油も発売されているので、興味があるならその商品を選ぶのがおすすめです。
マッサージにストレッチを取り入れたものも効果的です。筋肉や関節の柔軟性をあげ、体の動きを滑らかにしてくれる効果が期待できます。ただし無理に動かすと筋肉や関節を痛めてしまうので、やり方や力加減などに十分注意する必要があります。
4.犬のマッサージで気をつけたいことを知ろう
まず、マッサージは筋肉にコンタクトするのが基本です。考えてみれば当然ですが、「気持ちいい」という感覚は骨や被毛を撫でられて生まれるものではありません。一番効果的なのは、運動や散歩の後などの疲れた状態の筋肉にコンタクトすることです。元気な状態でマッサージすると、気持ちよくないどころか不快感を与えてしまうことがあります。知っておきましょう。
触り方にも注意が必要です。指先を立てて筋肉に触れると、力がかかりすぎて犬が痛がることがあります。それを避けるためにも、接する面積をできるだけ広くすることが必要です。指の腹や手のひら全体を使って優しく触るようにしましょう。特に女性で爪を伸ばしている人は、爪が犬の肌に食い込まないように十分注意が必要です。
力の入れ過ぎにも注意が必要です。犬は人間に比べて体が小さいので、人間にマッサージする感覚で触れると不快にさせてしまいます。基本弱めで優しくマッサージするようにしましょう。触ってはっと振り向いたり逃げたりする場合は、力が強すぎる場合があります。触られて気持ち様さそうにしているか、常に犬の状態を確認しましょう。
犬は「マッサージは気持ちいい」と学習すると、催促してくることがあります。しかしねだられたから際限なくマッサージしていると、犬の要求吠えが酷くなる場合があります。それを避けるためにも、犬がねだるからマッサージするのではなく、ごほうびとしてマッサージしてあげるようにしましょう。
犬のマッサージには「やってはいけないとき」が存在します。それを知っておくことも必要です。まず怪我をしているときや熱を出しているときは避けるようにします。怪我をして炎症を起こしているときは、マッサージがかえって逆効果になることも多くありますし、熱があるときは気持ちいいどころかかえって不快にさせてしまう可能性が高くなります。食事の直後も避けましょう。食事をした後は、血液が消化器に集まって食べたものを消化しようとします。そこでマッサージを行うと、消化器に集まった血液がまた筋肉に戻ってしまうからです。疲労感を感じているときのマッサージは効果的ですが、激しい運動をした後はクールダウンの時間を取るようにします。神経や筋肉が興奮した状態よりも、少し落ち着いて疲労を感じ始めてからの方が効果的です。ガンを患っている犬に対するマッサージは禁忌になっています。がん細胞は血液やリンパ液に乗って体中を巡るため、マッサージでその流れを良くしてしまうと、がん細胞の移動を早めてしまう危険性があるのです。
5.誰でもできる犬の頭部のツボマッサージとは?
犬の頭部には「頭の百会」「四神聡」「風池」というツボがあります。ツボマッサージは難しいというイメージがありますが、意外に簡単にできるので、愛犬がマッサージに慣れてきたら是非トライしてみてください。
「頭の百会」は頭頂部の一番高いところにあるツボです。全ての気が集まる場所とされており、ここを押すと頭をすっきりさせ、気持ちを落ち着かせる効果があります。首にかかる負担を軽減してくれるツボでもあります。押すときは親指を当てて優しく円を描くように、1回30秒を目安に押してあげましょう。
「四神聡」は、頭頂部の中心から、前後左右の四カ所にあるツボです。こちらも精神状態を落ち着かせてくれます。ここは押すのではなく、前後、もしくは左右のツボをつかんで皮膚を引っ張り上げます。最初は10回くらいを目安にしてください。
「風池」は耳の後方、首の両脇にあるくぼみに存在するツボです。首や肩の緊張によるこりをほぐし、自律神経のバランスを整えてくれる作用があります。親指と人差し指を使い、20秒ほどの押圧を5~10回程行います。
6.犬のマッサージ
日頃からマッサージを行うことは、愛犬との信頼関係を深めるのに非常に有効な手段です。隠れた不調を見つけることもできるので、積極的に行うことをおすすめします。また、シニア期の犬にとっては、疲労を取るだけではなく、筋肉を柔らかくしたり関節を動きやすくすることでアンチエイジング効果も期待できます。
マッサージは愛犬の疲れを取り除く以外に、飼い主自身をリラックスさせてくれる効果も期待できます。まずは難しく考えず、手のひらで優しく撫でてあげるようにしましょう。それだけでもかなりの効果が期待できますし、愛犬に愛情を伝えることにもなるはずです。