■屋外向きの犬種
屋外向けの犬種の条件は、暑さ・寒さに強いことです。犬は原産国によって暑さ・寒さへの耐久力が異なります。飼う前に、どのような環境でその犬と暮らしていくべきかをしっかり確認しておくことが大切です。
屋外向けの犬種として真っ先に挙げられるのが、番犬としても飼われる柴犬や秋田犬などの日本犬です。
日本が原産国で当然日本の気候に合っている犬種ですので、屋外でも安心して飼育することができます。
また、季節によって毛が生え変わるコーギーなどの「ダブルコート」と呼ばれる犬種も屋外向きです。
毛の生え代わりによって暑さ・寒さに対応できるので、季節を問わず屋外で過ごすことができます。
ダブルコートの犬種はコーギーの他にも、ゴールデンレトリーバーやボーダーコリーなどが挙げられます。
犬種によっては、季節ごとに対応を変えることが必要になります。
サモエドなど寒い国が原産の犬種は、冬場は外で飼育することができますが日本の夏の暑さには耐えられない場合があります。
夏場は室内へ入れ、空調を効かせて快適な室温にしてあげることが必要です。
屋外で飼うのは、中型犬以上が望ましいです。小型犬は見た目の愛らしさや体が小さく簡単に人間が抱き上げてしまうことができてしまうことから、飼い主が知らない間に盗まれてしまう危険性が高いです。
盗難の中には飼い主に金品を要求したり、転売したりといった目的のものも含まれます。当然ですが小型犬はもちろん、中型犬や大型犬でもこうしたリスクがあることを覚えておきましょう。
■屋外に向かない犬のタイプ
屋外向きとされる犬種の犬でも、子犬や、単独で過ごすことに強いストレスを感じる犬は屋外で飼わないほうがよい場合があります。
①さみしがりや
もともと犬は群れで行動する犬ですので、単独で屋外に鎖でつながれているだけだと強いストレスを感じてしまうことも多く、人間や他の動物とともに過ごすことを好みます。これに加えて犬がさみしがりやな性格だった場合は、さらに単独での行動でストレスを感じる傾向が強くなります。さみしがりやな犬を無理に外で飼おうとするのはやめましょう。
②子犬
子犬の屋外飼育は、病気の予防の観点からあまりおすすめできません。生まれたばかりの子犬を買う場合は1回目のワクチン接種を生後約2か月後に、2回目を約3か月後に、3回目を約4か月後に、と計3回のワクチン接種が推奨されています。子犬は生まれたときに母親からもらった免疫がひと月ほどで失われてしまうので、随時ワクチンを接種して感染症予防を徹底することが大切です。この3回にもわたる予防接種が終わっていないうちはさまざまな病気にかかりやすいので、他の犬と接触させたり、外へ連れ出すこともできるだけ控えた方がよいとされています。
屋外で飼うということは犬を随時外にいさせるということになってしまいますので、屋外飼育向きの犬種の子犬でもワクチン接種完了までは外へ出さないほうがよいでしょう。
③ストレス行動をみせる
犬を屋外飼育してみて、「ストレス行動」と呼ばれる行動が目立つ場合は、その犬は屋外には不向きかもしれません。下記のような行動が犬にみられる場合、外での飼育を中断することをおすすめします。【行動➀】姿勢を低くして伏せる
いわゆる「伏せ」の姿勢は「カーミングシグナル」とも呼ばれます。カーミングシグナルは、興奮している自分の気持ちを落ち着かせるためにとる行動であるといわれています。犬が頻繁にこのような姿勢をとるようであれば、屋外飼育によるストレスをカーミングシグナルによって鎮めようとしている可能性があります。【行動➁】吠える
犬が吠える理由には、なわばりの主張や要求の伝達、分離不安などさまざまなものがあります。これらの理由に加え、犬はストレスを解消するために吠えている場合があります。吠える原因が見当たらないのに無駄吠えが続いている場合は、犬が大きなストレスを抱えている可能性があります。【行動➂】食糞
犬は、ストレスがたまると自分の糞便を食べてしまう場合があります。飼い主の気を引くために糞便を食べ、退屈や満たされない気持ちを紛らわそうとするようです。屋外飼育を始めてから食糞が多く見られるようになってしまった場合は、外飼いをいったん中止したほうがよいでしょう。■犬小屋の設置について
屋外で犬を飼育する場合は、犬小屋を設置することになります。設置にあたって気をつけたいことなどについて、くわしく解説します。① フェンス・柵
犬小屋を設置し、ときどき庭で放し飼いをする可能性がある場合は、必ず柵やフェンスをしっかりと設置することが大切です。犬が通れる隙間が少しでも空いていると庭から逃げ出し、近隣の方々に迷惑をかけてしまう可能性があります。庭全体に高めの柵を設置しましょう。② 危ないものは除去
犬小屋付近に犬にとって危険なものがある場合は、除去しておきましょう。ガーデニング用品などで先が尖ったものや落下の恐れがあるものがある場合はけがをしてしまう可能性がありますし、犬が誤って食べてしまいそうな植物なども犬の健康に問題を及ぼす場合があります。一度犬小屋の周りを見直し、危険なものは場所を移すなどの対策をとっておきましょう。③ 寒暖の差を埋めるグッズで工夫を
屋外で飼える犬種の犬は気温の変化に強いものが多いとはいえ、できれば快適に過ごしてほしいものです。すのこなどを置いて体が直接床につくのを防ぐと体から熱を逃がすことができ、暑さ対策に効果的です。寒さ対策には、毛布や断熱材、段ボールなどを敷いて温度の低下をふせぐのがおすすめです。④ 直射日光や風に注意
犬を屋外で飼う場合は気温だけでなく、直射日光や風の強さなどにも注意が必要です。直射日光は熱中症を引き起こす原因になりますので、すだれなどの日よけを設置するのがおすすめです。また、冬場の強風は体温を奪いやすいので、風よけをつけてあげるなどの対処を行いましょう。犬を外で飼う場合には、犬種やその犬の性格の特徴をチェックして、寒さ・暑さの調節やケガをしないよう周囲を整えてあげることが必要です。犬が幸せに暮らせる環境をきちんと整え、犬との暮らしを楽しみましょう。