■お散歩中の拾い食いは重大事故につながる可能性も
散歩の最中に、飼っている犬が道端などに落ちているビニールや紙、固形物などのようなさまざまな異物を見つけ、素早く口に入れてしまうことがあるかもしれません。農薬など有害な薬品が付着しているようなものを食べてしまうと、死んでしまうことも考えられます。そのような重大事故を起こさないためにも、犬の拾い食いの癖はしつけによって早い段階で矯正する必要があります。
■拾い食いを100%止めさせるのは難しい理由
犬の拾い食いを完全に止めさせるのは難しいと言われますが、その理由について解説します。① 犬にとって拾い食いは自然な行為
道端に落ちている物を、後先考えずむやみに口に入れてしまう犬の行動は、人間の感覚からはかけ離れていて飼い主には信じられない受け入れがたいものでしょう。なぜ、犬はそのような行為に及ぶのでしょうか。その答えは「犬にとって拾い食いは本能的で自然な行為」ということになります。常識的な判断力があり通常の感覚を備えた人間であれば、道端に落ちている物は汚れていたり腐っていたりする可能性があるため、手にとって何も考えずに口に入れるということはまずありえません。ところが、犬にとって拾い食いは自然でごく当り前の行為なのです。「道端に何か落ちている→近づいてそれが何であるか確認する→臭いをかいでみる→食べてみる」という一連の動作は犬にとっては自然なことで、かつて犬が野生動物であった頃の摂取行動の名残と言えるのかもしれません。つまり、犬にとっては本能的で習性に基づいた当り前の行動と言えるでしょう。
② 人間が拾い食いを見たくないという理由が大きいから
自分が飼っている犬が拾い食いなどするはずがないと思ったり、愛犬が拾い食いをしているところを見たくないという理由から、犬が拾い食いをするシーンを見つけると、飼い主は犬を叩いて口に入れたものを吐き出させたりする場合があります。ですが、これは逆効果です。犬は、飼い主との新たなコミニュケーションができたと思い、わざと拾い食いし、飼い主が怒って自分を叩く行為を、遊びの一つとして楽しむということがあります。
なので、犬の拾い食いを止めさせるのであれば、飼い主は、正しいしつけを行う必要があります。
このように、犬の拾い食いをなかなか止めさせられないのは、犬が本来持っている本能や習性に原因があるのはもちろんですが、飼い主の意識の低さにも原因があると言えそうです。
■肝心なのは犬が事故に合わないこと
では、拾い食いによって犬が深刻な事故に遭遇しないためには、どのように犬をしつけていけばよいでしょうか。以下に拾い食いを矯正するためのしつけについて説明します。① 拾い食い前にするしつけとは
飼い主によっては、愛犬を溺愛するあまり気が向いたときに気ままに餌やおやつを犬に与える場合があるかもしれません。そのようなケースでは、だいたいにおいて飼い主は犬に甘く、犬が欲しがるとそれに応えて野放図におやつを与える場合が多いと考えられます。しかし、そのような習慣は、特に犬の拾い食いを矯正するためには害にしかなりません。というのも、飼い主がOKを出すまで、ペットフードやおやつを「お預け」し食べさせないというようなしつけがなされていない場合が多いからです。
「お預け」のしつけがなされていない犬は、拾い食いのチャンスがあると飼い主の許可を得ることもなく道端の異物を口に入れてしまいます。この場合、犬になにかを食べさせる際に、飼い主に必ず許可を得て初めて食べられる「お預け」の学習を犬にさせることが必要です。
② むやみにダメと言わず、こちらを向いたら褒める
次に、「お預け」のしつけについての具体的な方法について説明します。まず、散歩などに連れ出すときには必ずリードを犬に付け、犬の行動を飼い主がコントロールできる状態にします。そして、犬が興味を示しそうなものが道端に落ちていて犬がそちらの方向に歩いて行った場合、リードを引いて立ち止りギリギリ犬が届かない距離を保ちます。犬は道端に落ちている目当てのものを口に咥えようとするでしょうが、強い口調で「ダメ」などと制します。やがて犬は諦めて、飼い主の方に顔を向けるかもしれません。その瞬間を見逃さずに、犬の頭をなでるなど褒めながらおやつなどを与えます。このようなトレーニングは、散歩の最中だけでなく家の中や庭先でもできるので、何回も復習し散歩に出て道端に興味をそそるものが落ちていても、飼い主の許可が出ない限り口に入れないように習慣付けるとよいでしょう。