1.犬が足をなめる理由とは
飼っている犬が足をなめる理由には大きく分けて二つの理由があります。
一つは精神的な問題によるものです。特に分離不安や欲求不満が多いと言われています。飼い主に依存している犬の場合、離れた時間が短時間であってもそれがストレスとなり足をなめる場合があります。さらに飼い主が過保護に育てている犬も自立心が育たずに飼い主が出かけると不安で足をなめてしまいます。また、飼い主とのコミュニケーションが著しく不足していたり運動不足の場合も欲求不満から同じ行動に出てしまいます。
もう一つは病気やケガが原因の場合です。湿疹やかゆみなどの皮膚疾患の場合、前十字靭帯損傷や関節炎など足の関節を痛めている場合、そして足に傷やトゲが刺さっている場合も足をなめます。
これらの原因を究明するためにも、常日頃からの観察が必要です。ごはんの量や便の回数など普段の行動も注意深く観察するこが足をなめてしまう原因をいち早く解明することにつながります。
2.改善方法を知ろう
改善するにもその原因によって方法は変わります。
精神的な問題の場合、ストレスの原因を深く理解することが必要です。運動不足がストレスの原因となっている場合は散歩の時間を増やしてみたりおもちゃを与えることで簡単に改善することがあります。また、常日頃より適切なコミュニケーションを取ってあげることで解決する場合もあります。一日の内少しの時間でもいいからスキンシップをとってあげることでストレスが解消されます。
もし、これらの方法を試しても足をなめるのが治らない場合は精神的な病気を疑う必要があります。その場合は動物病院で診察を受けましょう。
心の病気の治療法は大きく二つあります。
お薬をつかってストレスや不安を和らげる薬物療法と犬のストレスをためやすい性格を改善する行動療法です。
薬物療法では飼い主がきっちりと決められた時間と回数にお薬をあげる必要があります。近年、心の病気のお薬は飲んだらいけないと言う人も多いですが、自己判断せずに専門家である獣医師の指示に従ってください。行動療法では専門的な知識を持ったセラピストがしつけを通して犬の性格を改善します。さらに飼い主も犬との接し方を変えていかなければいけません。お薬はあくまで症状を抑えるためのものであって、原因が解消されなければまた症状が再発してしまう可能性があるからです。
これまでかまってあげられていなかったのか、それとも過保護に育てすぎたのかという自分の接し方を振り返り改善してしつけを行うことで、犬にも自立心が育ちストレス耐性が付きます。
病気やケガの場合は原因を発見したら、すぐに動物病院に行きましょう。湿疹だと勝手に治ると自己判断して放置してしまいがちですが、その背後に皮膚腫瘍や内臓の病気など重篤な疾患が潜んでいる可能性があります。また、前十字靭帯損傷などの関節のケガの場合、自然治癒しないものもあります。ほおっておいてもいつまでも良くならず、犬に障害が残ってしまうため、手術をはじめとした専門的な治療が必要となります。
犬は自分で症状を訴えることができません。常日頃から犬を観察し、異常があった場合は素人判断で治療を行うのではなく、専門家である獣医師の指示に従いましょう。
まとめ
これまで犬が足をなめる理由とその対処法について説明しました。犬が足をなめるのにはストレスや不安が原因の場合と病気やケガが関係している場合があります。
ストレスの場合はまず、飼い主がストレスの原因を取り除いてあげることで早期に解決する場合があります。それでも良くならない場合は動物病院に行って薬物療法や行動療法といった専門的な治療を受けましょう。
病気やケガが原因の場合、素人判断は背後に潜んでいる大きな病気を見逃す可能性があります。獣医師の診察をうけることが早期治療につながるのですぐに病院に連れて行ってください。
なお、どちらの原因にも言えることとして、毎日スキンシップなど犬と接する時間をつながることが大事です。日頃適切なコミュニケーションをとることで欲求不満が起こりにくい環境になりますし、散歩に連れていくことで運動不足によるストレスを予防することができます。
つまり、精神的な問題の場合は日々コミュニケーションをとることが足をなめることの改善だけでなく予防もつながるのです。
また、毎日の犬の様子を観察するようにしてください。便はちゃんとしたか、ご飯は食べたか、散歩でどこかかばって歩いていなかったかといったことを記録しておくことで、些細な異変にも気付くことができます。
犬は症状を訴えることができず、誰にでもわかる症状がでた場合には重症化していることが多いため取り返しのつかないことになるケースもあります。
病気やケガの治療で一番大事なのは早期発見、早期治療です。ですので常日頃からスキンシップをとり、行動を記録しておくことが足をなめる症状だけでなく他の病気やケガから犬を守ることにつながるということを心にとめておきましょう。