1.愛犬のストレスサインに気付いてる?
人間と同じように犬もストレスを感じます。
ただし、ストレスの原因は人と違う場合があります。
飼い主さんの中には犬の習性がよくわからず、犬のストレスに気づかないでいる人もいるでしょう。
愛犬がストレスを感じているかどうかを知るには、犬のストレスサインを知って、犬を注意深くみることが大切です。
ストレスは万病のもと。
様々な病気の原因になったり、病状を悪化させる原因にもなりえます。
「うちの犬にはストレスなんてない」と思い込まずに犬からのメッセージを受け取りましょう。
ストレスサインを知れば、犬からの思わぬメッセージを受け取ることができるかもしれませんよ。
2.ストレスサインの種類を知ろう
①あくびをする
眠いとき以外に頻繁に犬があくびをしたり、飼い主さんが何かしているときに頻繁にあくびをしたりする場合は「嫌だ」と言うサインです。
あくびをすることで自分や相手を落ち着かせようとしています。
あくびは「それはちょっと嫌だな」という程度から「すごく嫌!」というときまで幅広いストレスレベルで使われます。
②体をブルブルッと振る
病院などで怖くてブルブル震えているのは、当然強い恐怖とストレスの現れです。
しかし、それ以外でもちょっとした瞬間に犬がブルブルッと体を震わせることがありますよね。
これも「やめて!」「嫌だよ」のサインです。
嫌な場所を撫でられたり、乱暴にハーネスをつけられたときなどにも行います。
気が付いたら嫌がることをやめてあげましょう。
③無駄吠え
犬が不審者や聞きなれない音、物、知らない犬などに吠えるのは当たり前の行動です。
絶対に吠えてはいけないなどと教えるのは間違っているでしょう。
しかし、状況が落ち着いてもいつまでも吠えつづけているのなら、それはストレス吠えです。
ストレスで興奮しすぎて歯止めがきかず、自分自身を落ち着かせられなくなっているのです。
④常同行動
犬のストレスが気になったことがある飼い主さんなら「常同行動」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
「常同行動」とは何度も同じことを繰り返すこと。犬の場合、強いストレスがかかったときや常時ストレスの多い状況下に置かれると現れます。
常同行動の主な症状は以下のようなものです。
- 体の一部を舐めつづける…足やお腹などをずっと舐めつづけます。ひどい場合は赤くただれたり、出血したりすることもあります。
- 尻尾を追いかけてぐるぐる回る…可愛らしいと笑って見ていてはいけません。これは犬の大きなストレスサインです。
- 同じところ(短い距離)を往復する・自分のしっぽを追いかける…狭いところに閉じ込められている犬によくみられます。檻の中で行ったり来たりを繰り返したりします。
- 無駄吠えをする
⑤破壊行動、噛み
犬が家具やカーペット、壁などをボロボロにすると嘆いている飼い主さんがいますが、実はこれも犬のストレスサインです。
子犬の頃、歯の生え変わりがいずくて物を噛みたがることがありますが、これと混同しないように気をつけましょう。
犬によっては物ではなく人間に対して攻撃的になり、人を噛むこともあります。
こういった状態は、実はストレスの積み重ねで犬が限界を迎えているサインでもあります。
小さなストレスの段階で気づき、状況を改善してあげればここまでの状況にはならないことが多いのです。
⑥体調を崩す
犬もストレスで体調を崩すことがあります。
長期間ストレス下にある犬は、ほとんどが慢性的な不調を抱えています。
下痢や便秘、嘔吐、皮膚疾患などが現れやすい症状です。
3.ストレスの原因って?
犬がストレスを感じる理由はたくさんあります。
人間が快適と思っていても、犬にとって不快な場合もあるので気をつけてあげましょう。
日本でよく見られるのは、
- 小さなケージに入れっぱなしにする
- 飼い主の構いすぎ
- 長い留守番
- 家族の不和 などです。
そのほか「暑すぎる」「寒すぎる」「騒音」「慢性的な緊張、不安」「栄養不足」「食事が合わない」「散歩がない」「欲求不満」などもあります。
「厳しすぎるしつけ」や「自由のない生活」は犬をストレスまみれにしてしまいます。
犬を人間の生活にばかり合わさせるのではなく、飼い主さんも犬の主張や好みを受け入れ、快適に過ごせるようにしてあげましょう。
4.ストレスを解消する方法は?
多くの飼い主さんは、犬にストレスがあるとわかると「運動が足りないんだ!」と思い、張り切ってボール投げやアジリティーなどをしようとします。
しかし、ストレス過多の犬にとって、激しい運動は逆にストレスを増やす原因にもなりえます。
興奮が増し、自分で抑えられなくなって問題行動が増える可能性もあるのです。
犬にとって本当に必要なのは、穏やかで安心できる生活と自由な行動範囲、そしてのんびり自分のペースで歩ける散歩(運動)です。
もしも愛犬がストレスサインを出しているなら、いつもの生活をもう一度見直してみてはどうでしょう。
まずは、犬がもっとも楽しみにしている散歩に工夫をしてみましょう。
「なるべく犬が行きたい時間に行ってあげる」「気になる匂いは存分に嗅がせてあげる」「なるべくのんびりと」がストレスを減らす散歩のコツです。
ストレスが減ってくると、犬は自分で考えた「その日行きたい場所」へ案内してくれますよ。
犬任せにしているといつまでも家に帰れないのでは、と心配するかもしれませんが、決してそうではありません。
落ち着いた犬は、のんびり自由な散歩をして、適当な時間で切り上げ、きちんと自分で家へと帰ってきます。
飼い主さん主導の「歩くペースが早すぎる散歩」や「制限の多い散歩」は犬が苦しむだけなので改善する必要があります。
次は、毎日一番長く過ごす家の中の環境です。まずは「犬が落ち着ける寝床」を確保してあげましょう。
人がいつもバタバタと行き来する場所や、テレビの横などは犬にとってうるさく落ち着かない場所です。
家族と付かず離れずの場所で、さらに静かでその子の好みの場所に寝床を設置してあげると良く眠るようになります。
また、家族がいつも喧嘩をしていたり不機嫌なことを犬はずっと我慢しています。
ストレスサインを見つけるのが上手になると、小さな声でなるべく穏やかに言い争っていても、また飼い主さんがイライラを押し殺していても、犬が敏感に気づいて不安になり、ストレスサインを出すことがわかるでしょう。
犬が穏やかに暮らすには、家族の平穏も大事なのです。
小さなお子さんがいるご家庭では、子供が犬を可愛がりたくて触りすぎたり、ちょっかいをかけすぎたりする場合が多々あります。
微笑ましい光景に思えますが、これも犬にとっては少々迷惑なことがあります。犬はかなり我慢をしてくれます。
しかし、大人が放置しすぎて子供が犬に「馬乗りになる」「たたく」などエスカレートしてくると我慢の限界を超え吠えたり噛んだりする場合もあります。
そうなる前に大人が子供と犬の間に入って距離を保ったり、子供が言葉のわかる年齢になったら犬との接し方を教えてあげることが重要です。
飼い主さんが犬を構い過ぎるのもストレスの原因です。
かわいいと思うあまり「犬をじっと観察」していたり、「犬が求めていないのにやたらと触る」「用事がないのに名前を呼ぶ」などは犬にとってあまり嬉しいことではありません。
とくに犬が寝ているとき、食べているとき、何かに夢中になっているときなどはそっとしておいてあげましょう。
犬にもそれぞれ個性があります。
その子によってストレスを感じる対象が違ったり、ストレス度合いが違うのは当然です。
犬を大切な家族の一員と思うなら、「自分がその子だったらどう思うのか」を考え、犬の習性を尊重し、一緒に暮らすために人間も譲歩することが必要です。
犬が穏やかに優しい顔で過ごせるようになったら、きっと飼い主さんも優しい気持ちで犬との生活を送れます。