ワンちゃんがじゃれてくるのは「遊んで欲しい」のサインです。しかし遊んでいるうちに、「遊び噛み」で手や足を噛まれてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。
小さなワンちゃんが遊びで噛み付くのは仕方がないと諦めていませんか?
甘噛みだからといって放置してしまうと、本気噛みにエスカレートしてしまうこともあります。
成犬になっても噛み癖が残っていると、問題行動に発展してしまうケースもあります。ワンちゃんの将来のためにも、子犬のうちに「遊び噛み」をやめるトレーニングを始めることが大切です。
1.本気噛みと遊び噛みの違い
ワンちゃんの噛み付きには、大きく分けて 2つの種類があります。
「遊び噛み」は甘噛みとも言われ、子犬がじゃれ合うときによく見られる行動です。
「本気噛み」は、ワンちゃんの動物としての攻撃行動の
1つです。その違いは感情によるところが大きく、「遊び噛み」は嬉しさや楽しさ、「本気噛み」は不安や恐れに分類されています。
「噛む」という行動は、ワンちゃんが本来持っている動物としての本能です。当然のことですが、生まれてすぐのワンちゃんは「人を噛むことは、いけないこと」だという認識がありません。それが野生のワンちゃんの防衛本能であり、攻撃本能であるからです。
生まれたばかりのワンちゃんが噛むのは仕方がないことではあります。しかしながら「噛んではいけない」ということを知りませんので、そのまま放置してしまうと「噛んでもいい」という認識を持ったまま成長してしまう恐れがあります。
ペットとして迎え入れたワンちゃんに子犬のうちから「人を噛むことは、いけないこと」だと教えるために、トレーニングを重ねることはとても大切です。
「遊び噛みだから痛くないので大丈夫」というのは大きな間違いで、「遊び噛みであっても、噛むことはいけないことだと教える」という認識を是非持ってください。
2.噛み癖はいつまでに直すべき?
ワンちゃんの場合は生後
3ヶ月までが社会化期と言われています。
社会化期とは、人や他の動物など自分以外の生き物に対して友好や愛情のような感情を形成する時期のことです。
この時期にワンちゃんの性格が決まってしまうといっても過言ではないほど大切な時期ですので、社会化期は人との触れ合いや犬同士の交流などを教えるのにとても適しています。
「子犬のうちに噛み癖を治す」とは言っても、いつまでが子犬なのかわからないという方も多いと思います。
一般的にはこの社会化期を含めて、生後
6ヶ月ほどまでの間のしつけがとても重要だと言われています。ワンちゃんは生後約
1年で成犬に成長しますので、最初の数ヶ月で基本的な性格が形成されてしまうからです。
「遊び噛みは痛くない」「本気噛みは痛い」のように分けて考えている方も多いと思います。
しかしながら、ワンちゃんが遊んでいるつもりで噛んでいるのであれば、それは痛くても「遊び噛み」です。
噛まれた人の痛さは、ワンちゃんにはわからないからです。遊んでいるうちに「本気噛み」になることが習慣づいてしまわないためにも、痛くないことに甘んじるのではなく、痛くなくても噛むことをやめるようにトレーニングをしてあげましょう。
3.噛み癖を直すためのステップ
ステップ 1:噛んだらコワイ顔で「ダメ」と教える
遊び噛みをやめさせるトレーニングの基本は、「ダメ」と言ってあげることです。痛くなくても、噛んだ時点で声に出して「ダメ」と言いましょう。
ワンちゃんは人の言葉がわかりませんので、「ダメ」という言葉の意味を覚えてもらうことも大切です。「ダメ」と声に出す際に、怒った顔やコワイ顔をするとより効果的です。
注意をしてほしいのは、「ダメ」に反応するようになったからといって褒めるのはよくありません。ダメなのかイイなのか、ワンちゃんがわからなくなってしまうからです。「ダメ」を教えるときには、毅然な態度で接することが大切です。
ステップ 2:噛んだら嫌悪刺激で条件付けを
ワンちゃんはもちろん、人の言葉を理解していません。そのため、最初のうちは「ダメ」と言っても通じないことが多いです。その場合には通じないからと諦めてしまわずに、「嫌悪刺激」を上手に利用しましょう。
「嫌悪刺激」とは、その名の通り「嫌だと感じる刺激」のことです。しつけにおいてよく使われる刺激としては「大きな音」などがあります。たとえば缶の中にパチンコ玉や硬貨などをいくつか入れたものを大きく振るなどして、「ダメ」の言葉と同時に音を立てます。
音の大きさにびっくりしたワンちゃんは、大抵の場合動きがとまります。「ダメ」という言葉とともにこの刺激を繰り返し与えることで、だんだんと言葉だけで引き下がるようになります。
ステップ 3:噛んだら無視する
構うのをやめてしまう「無視する」という教え方もとても有効です。噛んだらその場から立ち去ってしまうなど、「噛んだら構ってくれなくなる」ということを教える方法です。
「見ない」「話しかけない」「触れない」の 3つをセットにすることで、ワンちゃんは「噛む=遊んでくれなくなる」ということを覚えます。遊び噛みなのに可哀想と思うかもしれませんが、「噛んだらいけない」ことを教えるためには必要なことです。
4.噛み癖直しの注意点
噛み癖のトレーニングにおいて注意するべき点にも触れておきましょう。
① 口に手を入れないこと
「噛まれた手をワンちゃんの口の中に入れる」という方法をよく耳にしますが、これはおすすめできません。この方法ではワンちゃんへの危険が大きく、また飼い主側がケガをしてしまう可能性もあります。
手を押し込まれたワンちゃんがとっさに攻撃的に噛み付いてしまう恐れもありますので、やらないように注意をしてください。
② 甘噛みの場合は欲求を満たしてあげよう
甘噛みの場合には、欲求を満たしてあげることも大切です。人を噛んではいけないと教えるのと同時に、おもちゃであれば噛んでも良いことを教えてあげます。
市販のおもちゃなどを与えて、噛ませて遊んであげてください。噛んでいいもの・噛んで悪いものをしっかり教え込むことで、ワンちゃんの甘噛みの欲求を発散させてあげることも 1つの方法です。
まとめ
噛み癖をやめさせる「しつけ」についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
遊び噛みだからといって放置することは、ワンちゃん自身のためにもよくありません。
ワンちゃんと楽しく遊ぶために、そして将来に噛み癖を残さないためにもしっかりとしつけトレーニングをしてあげてください。