犬をお風呂にスムーズに入れよう!入浴前の注意点とお風呂嫌いの犬対策

愛犬がお風呂嫌いでお困りの飼い主さんも多いのではないでしょうか。犬をお風呂に入れることは、においを防止するだけではなく、犬の皮膚疾患などの病気を防ぐ意味もあります。しかしお風呂に入ることが当たり前になっている人間と違い、犬にとってお風呂は未知の世界でもあります。今回はそんな『犬のお風呂』について取り上げます。

■1.なぜ犬はお風呂嫌いが多いのか?

自分から進んでお風呂に入るくらい”お風呂好き”な犬がいる一方、お風呂の時間だと分かるや否や「逃げる」「震える」「鳴く」…そんな犬も多いのではないでしょうか。

無理やり入れるのは可哀想に思う反面、一緒に暮らす上でお風呂に入れないわけにはいかないですよね。犬にとっても被毛や皮膚を清潔に保つことが出来るお風呂は、衛生面から考えても大切なものです。そうはいっても嫌いな子は嫌い。まずは「なぜお風呂が嫌いなのか」を犬の視点から考えてみましょう。

① 身動きが取れないから

一つ目の大きな理由として『身動きが取れないから』です。小一時間狭い空間に閉じ込められ、自由が利かない状態でブラッシングからシャンプーにシャワー…身動きが取れない状態でじっとしているのは人間でも嫌ですよね。更にお湯やシャンプーが顔にかかり、鼻や目に入るとなると嫌がるのも納得できます。

② 臆病だから

二つ目の理由として、その犬が『臆病である』ことがあげられます。お風呂で怖い思いをしたなどのトラウマがある場合以外でも、もともと性格が臆病な犬もいます。そういった臆病な犬からしたら、身動きが取れないお風呂は「嫌い」だけではなく「恐怖」になってしまうのです。

③ シャンプーや石鹸のにおいがキツイから

三つ目の理由は『シャンプーや石鹸のにおいがキツイから』です。犬は人間よりも嗅覚が優れていることで知られていますが、その嗅覚は人間と比べて最大1億倍あるといわれています。そのため、人間にとっては「微量で良いにおい」だとしても、犬にとっては「強烈でキツイにおい」になってしまう場合があります。

④ 「自分のにおい」が取れてしまうのを嫌うから

四つ目の理由は『自分のにおいが取れてしまうから』です。犬はその嗅覚が優れていることもあり、犬社会において「におい」というのは大変重要な役割を果たしています。犬は自分から発されるにおいを用いて、他の犬に自分の存在をアピールしています。逆に相手を認識するためにもにおいを使っています。そのため「自分のにおい」が消えるということは、犬にとっては死活問題でもあるのです。

お風呂に入れた後、犬が身体を地面や壁にこすりつけることはありませんか。この行動はお風呂で消えてしまった「自分のにおい」を復活させるためと、シャンプーなどの「別のにおいを消すため」だといわれています。

■2.犬を楽しくお風呂に入れるために

犬がお風呂を嫌う理由から、お風呂を嫌うのも納得できたかと思いますが、衛生面から考えても、やはり定期的なお風呂は必要です。適度なシャンプーは皮膚疾患の防止になり、ブラッシングは毛玉の防止にもつながります。

そこで次は犬をお風呂に入れる際の注意点をご紹介します。

① 犬のお風呂は月2回でOK

そもそも犬はどのくらいの頻度でお風呂に入れたらいいのでしょうか。

人間は毎日のようにお風呂に入り洋服も替えますが、犬は皮膚や身体の構造上、毎日お風呂に入る必要はありません。特別汚れた日を除いて、普段の生活においては『月2回』が目安だといわれています。シャンプーをし過ぎることは皮脂を奪い、かえって皮膚疾患の発生に繋がります。人間も同じですが、過剰に皮脂を奪うことは乾燥を呼び、本来の肌の役割を損なってしまうのです。

どうしても気になる場合はブラッシング後にお湯で絞った濡れタオルで身体を拭く、もしくはシャンプーは付けずにお湯で洗うだけでも、ほとんどの汚れを落とすことが出来ます。

② 入れる前にブラッシングをする

犬が嫌がるお風呂の時間を長引かせないためにも『お風呂に入れる前にブラッシングをする』ことが重要です。

人間もシャンプーの前にはブラッシングをして、ほこりや髪の絡まりをなくすことで洗髪の効果が上がります。犬の場合も同じように、事前のブラッシングで絡まりやゴミを落とすことでスムーズに洗髪が進みます。

また、毛玉や抜け毛が残った状態でシャンプーをしてしまうと、被毛が固まってしまい、大きな毛玉になってしまいます。毛玉になってしまうと、なかなかほどけなくなるどころか、毛玉部分が蒸れて皮膚疾患を促す原因になってしまいます。シャワーでぬらす前に、必ずブラッシングをするようにしましょう。

③ ぬるめのシャワーでお尻からぬらしていく

犬も突然、顔にシャワーで水やお湯をかけられるとおびえてしまいます。シャワーの水圧が強いのも犬を怖がらせる原因になります。

犬をお風呂に入れる際は「35~37度のぬるま湯」を「水圧弱め」で「お尻から首に向かって」ぬらしていくようにしましょう。シャワーの音を怖がる犬もいるため、そういった場合は無理にシャワーを使わずに、洗面器などにためたお湯をゆっくりかけてあげましょう。

④ 目・耳・鼻にお湯が入らないようにする

お尻から首にかけてぬらしたら、次は顔をぬらします。この際に注意したいのが「目や耳、鼻にお湯やシャンプーが入らないようにすること」です。顔は特にお風呂を怖がらせてしまう要因になるため、細心の注意をはらって洗うようにしましょう。

具体的には、顔回りを洗う際は「鼻先を上に向けて」水が鼻に入らないようにします。また、耳に水が入ってしまうと不快感を与えるだけでなく、耳の構造上なかなか水が抜けずに不衛生になる可能性もあります。犬の正面から「指で両耳を押さえ、手の平部分で目を覆うように」して、耳と目に水が入らないようにしましょう。

なお、どうしても顔を洗うのを怖がって暴れるといった場合には、あまりしつこく洗わないようにしましょう。普段から顔周りを濡れタオルで拭いてあげるだけでも、十分に汚れを取ることが出来ます。

⑤ ドライヤーで乾かす


最後に重要なのがドライヤーの扱いです。大きな音がするドライヤーが苦手な犬も多くいます。とはいえ、全身が毛で覆われている犬は濡れたままにしてしまうと被毛が蒸れてしまい、皮膚疾患にもつながってしまうので、乾かすことは必須です。

まずは全体を乾かした後にお腹や肛門周辺も忘れずに乾かしましょう。この際、後ろ足で立たせるか、仰向けに寝転がせて乾かすとスムーズに乾かすことができます。

また、ドライヤーを怖がる犬は、おやつをあげながらドライヤーをかけるなど、少しずつ慣れさせてあげてください。

■まとめ

犬にとってお風呂は未知の存在のため、嫌がる理由も分かります。慣れたらお風呂が好きになるどころか、お風呂が癒しの時間になる子もいます。

犬との生活においては、何事も無理やりするのではなく、どう楽しい時間に変えてあげるかが大事です。愛犬が少しでもお風呂好きになるように、少しずつ慣れさせてあげてくださいね。
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