身近に潜む愛犬の「鉛中毒」とは?

1.鉛中毒って?


鉛中毒は、鉛成分が体内に入り込むことで起こる症状です。脳や神経に症状が現れるため、頭痛や歩行困難などが起こります。人間だけでなくわんちゃんにも起こり得るため、十分に注意が必要です。一方で、鉛が使われているものは身の回りにないと思っている方も少なくありません。鉛が使われている身近なものについて知っておくことは、わんちゃんの健康を守ることにつながります。

2.身のまわりにある鉛を含むものは何?


わんちゃんが鉛を体内に摂り込んでしまうケースとして多いのが、ゴルフボールや公園の遊具に使われている塗料などが挙げられます。今使われている塗料は安全なものがほとんどですが、昔使用されていた物の中には亜鉛を含んだものがたくさんありました。塗り直しがされていない遊具や外壁など、鉛が含まれている可能性があります。誤飲をしてしまったり舐めてしまったりすることで、鉛中毒のリスクが高まってしまうため注意が必要です。

3.鉛中毒になるとどうなるんだろう?

人間にもわんちゃんにも必要な栄養素の一つに鉛があります。しかし、必要以上に摂取することで身体の機能を妨害してしまうのが特徴です。わんちゃんが急性鉛中毒になるとヘモグロビンの合成が滞ってしまうため貧血状態に陥ります。この状態は脳の神経症状も考えられるため、重度の場合は命の危険も伴うことを知っておきましょう。

身体の不調を上手く伝えられないわんちゃんだからこそ、普段と違った行動や体調が見られる時には、動物病院で診察を受けることが大切です。

主な症状は?

鉛中毒の症状は、嘔吐・下痢・食欲不振・発作などが起こります。その他にも神経症状が見られる場合は、重度の鉛中毒が疑われるため早期治療が必要です。嘔吐や下痢から始まり、症状が重くなるにつれて神経系の症状が見られるようになります。

生後1年ほどの小さなわんちゃんは、症状の進行が早いため早期発見と治療を行わなければなりません。鉛中毒のリスクを減らすために定期検診を利用したり普段から体調の確認を行うようにしましょう。

治療法を知ろう

血液検査によって貧血やさまざまな数値に異常が見られる場合は、鉛を体外に排出させるために静脈へカルシウム剤を投与します。また、X線検査によって蓄積された鉛を確認できた場合は、手術によって取り除くことが可能です。消化器や脂肪細胞など、鉛が入り込んでしまうケースも少なくありません。

鉛中毒の症状はジステンパーの症状に似ているの?

鉛中毒と似た症状が起こる病気に、犬ジステンパーウイルス感染症というものがあります。判断が難しく対処方法を間違えれば治療がスムーズに進まなくなってしまうため、見極めが大切です。症状が重くなると、鉛中毒と同じように神経異常による発作や痙攣が起こるなどわんちゃんの身体に大きな負担を与えます。

犬ジステンパーウイルス感染症ってなに?

犬ジステンパーウイルスによって起こる感染症です。肉食動物であれば感染の可能性がありますが、中でもわんちゃんの感染率が高いことがわかっています。仔犬の場合は死亡率も高く、治療しても後遺症が出る場合もあります。食欲不振や下痢を伴うため、鉛中毒と似た症状であることが特徴です。また、くしゃみや発熱などの風邪に似た症状が見られます。

まとめ

鉛中毒は、身近にあるもので症状が起こる可能性がある病気です。人間だけでなくわんちゃんにも起こり得る病気だということを知っておきましょう。わんちゃんの健康を守るためには、毎日の生活の中に原因となるものがないかどうかを確認することが大切です。

ジステンパーのように鉛中毒と似た症状が起こる病気もあるため、いつもと違った体調が見られる時には動物病院で検査をしてもらうように心がけましょう。早期発見と迅速な治療によって、重篤化を防ぐことにつながります。

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