1.犬のストレスサインってどんなもの?
犬はストレスを感じると、それを行動によって示します。どんな行動か予め知っておくことで、愛犬からのサインにいち早く気付くことができるようになるのです。
代表的なストレスサイン=舐め続ける
犬のストレスサインのうち、代表的なものが体の一部をずっと舐め続けるというものです。例えば足の一部やお腹などをずっと舐め続けます。運動欲求が満たされない場合には、特に前足を舐め続けると言われています。
この体の一部を舐め続けるというサイン、ストレスが溜まっているという以外にも、犬の健康にとって非常によろしくない行動です。というのも犬の舌はザラザラしているので、その舌で同じ場所を舐め続けると皮膚が炎症を起こすことがあるのです。その部分だけ毛が抜けたり、肉芽腫を発症することもあります。舐めているだけだから、と放っておかず、すぐ対策を取ることが肝心です。
テイルチェイシング
自分のしっぽを追いかけてクルクル回る、というのも良く見られる行動です。これは「テイルチェイシング」と呼ばれる行為で、退屈が原因でストレスが溜まっている場合によく見られます。子犬なら自分のしっぽをおもちゃにして遊んでいる、という場合もあるのですが、しっぽが何なのか分かっている成犬がこの行為を見せる場合は高確率でストレスが溜まっている場合です。放っておくとクセになってしまうこともあるので、やはり素早い対処が必要になります。
クセになってしまう以外に、しっぽを噛んで傷付けたり、最悪しっぽを噛みちぎってしまうことがあるのがこのストレスサインの怖いところです。犬が自分で自分を傷付ける前に、飼い主が気付いてあげましょう。
気をつけたい「テイルチェイシング」
「テイルチェイシング」は稀にてんかんの発作である場合があります。てんかんの場合は手足をばたつかせるなどの症状も見せることがあるので、愛犬の様子をよく観察してみてください。
ストレスが溜まってお腹を下すのは人間だけではなく、犬も同じです。犬が下痢をするとまず病気の心配をするものですが、下痢やお腹を下しているのはストレスが原因かもしれません。犬は非常に頭のいい生き物で、飼い主のことを良く見ています。飼い主がイライラしている、家庭内の空気が悪い、などの要因は、我々人間が思っている以上に犬に伝わっているものなのです。お腹を下しているのに特に病気ではない、そんなときは犬が嫌な思いをしているときかもしれません。
下痢もストレスサインの1つ
舌を出して息苦しそうにすることも、一種のストレスサインです。犬は舌を出すことで体温を調節しているので、舌を出して息をすることは犬を飼っていれば当たり前に見る光景です。しかし特に運動したり疲れている訳でもないのに舌を出しているなら、ストレスを受けている可能性があります。
舌を出している際によくあるのが、室内の温度が犬に合っておらず、それによってストレスを感じている場合です。犬種や年齢によっても様々ですが、大抵の犬は人間よりも寒さに強く、人間が心地いいと思っている気温では暑すぎます。犬にとっての適温はどれくらいなのか、しっかりと見定めてあげましょう。
緊張している、何かに怯えているといったときに見せるのが、ぶるぶる震える仕草です。気性が大人しい犬や、普段室内飼いにされていて他の犬や人間にあまり接しない犬が見せることが多いストレスサインです。他の犬を見ると飼い主の陰に隠れて震えている、ドッグランに行くと震える、など特定の場所で震えることが多いなら、それは犬にとってストレスが多い環境ということです。
人間とは逆で、犬はストレスを感じるとあくびをします。そのため、あまりにあくびを頻発する場合はストレスを受けている可能性が高くなります。ストレスを感じたり緊張したりすると、自分を落ち着かせたり、一瞬だけでもストレスを忘れようとしてあくびをするのです。撫でられているときにあくびをしたら、リラックスしているのではなく嫌がっているサインかもしれません。
一か所の匂いを嗅ぎ続け、そこから離れないのもストレスサインの1つです。犬はあちこち匂いを嗅いで回る生き物ですが、普通であれば一か所に留まることはありません。この仕草を見せるのは、目の前の嫌なことから目を背けるための行動で、知らない場所に連れて行ったときなどによく見られます。珍しい場所に興味を持っている訳ではないので注意しましょう。
3.ストレスを放置すると凶暴に
犬はストレスを受けることで凶暴になることがあります。最近お座りができなくなった、タオルやおもちゃを乱暴に扱うようになった、というときは、ストレスが溜まっているかもしれません。人間でもストレスを溜め続けた結果爆発することがありますが、犬も同じ。ストレスやイライラが募った結果、急に凶暴になってしまうのです。このストレスサインは分かりやすいので、飼い主としても見落とすことはまずありません。最近の行動を思いだし、ストレスの原因になるようなことはなかったかチェックしてみましょう。
犬のストレス解消、発散法を伝授!
ストレスは溜めていても何一ついいことがありません。愛犬のストレスサインに気付いたら、なるべく早く解消、発散させてあげることが大切です。ただし、当然犬は喋ることができないので、ストレスの原因が特定できないことが往々にしてあります。雨が続いて長い間散歩にいけなかった、知らない人が訪ねてきて窮屈な思いをしたなど分かりやすい場合もありますが、全く検討がつかないというケースも多くあります。そのため愛犬のストレスを取り除くには、あらゆる可能性を探りつつ、愛犬にとって居心地のいい空間を作っていくことが大切になります。
そこで、愛犬がストレスサインを出しているときに、まずチェックするべき点について見てみましょう。
①食事
まず食事に注目します。全ての生物にとって、食事と水は生命を維持するために必要不可欠な要素です。それが満たされていなければ欲求は満たされず、当然ストレスになってしまいます。飼い主の側が十分だと思っていても、犬は食事の量や質に不満を持っているという場合もあるのです。とはいえ、犬が欲しがるだけご飯をあげていると当然食べ過ぎになってしまい、健康を損ねることに繋がります。食べさせ方を工夫する、お気に入りのフードを探してあげるなど、犬が適量の食事で満足できるような工夫をすることが大切です。
病気や怪我がストレスの原因になっていることもあります。犬は自分の不調を自分で伝えることができません。また我慢強い性格のため、多少の不調では飼い主が気付けないということがよくあります。普段から愛犬の様子をよく観察し、普段と違うところがあればすぐかかりつけの動物病院などに相談するようにしましょう。
②温度
生活環境の中にストレスの原因が隠れていることもあります。特に暑い、寒いと感じる気温は、人間と犬では変わってくるのでよく注意してあげることが必要です。また犬は人間よりも鋭い嗅覚と聴覚を持っています。飼い主が気付かない些細な変化が、犬のストレスの原因になっていることもあるのです。家族が増えたり、新しい動物が増えたことがストレスになっていることもあります。飼い主の愛情が他に向けられると、犬は不安を覚えます。その場合は一度部屋を分け、犬と十分なコミュニケーションを取るなどして安心させてあげることが大切です。
③愛犬とのかかわり方
基本的なところのチェックが終わったら、次は愛犬との関わり方を思い返してみます。ここで大切になるのが、普段愛犬と十分なコミュニケーションを取っているか、という点です。犬にとっての一番の幸せは、飼い主と接することです。飼い主から愛情を受けることで満たされ、幸福を感じることができるのです。忙しさにかまけて犬と接する時間が減ったりおざなりになってしまうと、それは犬にとって非常に大きなストレス要因になってしまいます。できる限り、愛犬と一緒にすごす時間を作ってあげましょう。
④適度な散歩
適度な散歩も、犬のストレスを解消するためには重要なことです。散歩が足りていないとストレスが溜まり、余った力が他に向かう可能性もあります。散歩は運動不足の解消にも繋がりますし、飼い主と一緒に外に出ることはそれだけで1つのコミュニケーションになります。人間も気分転換位外に出る、ということがあるように、犬にとって散歩は非常に大きな気分転換、ストレス解消方法になっているのです。そのため、なるべく休まず散歩に連れて行ってあげることが大切になります。
また、ストレス解消を目的に散歩をするのであれば、決まった時間やコースではなく、なるべく違う道、違う時間での散歩をおすすめします。そうすることでいつもと違う景色が楽しめ、それが大脳を刺激してストレスを解消してくれるのです。予期していない時間に散歩に連れて行くと、犬は嬉しくなり得をした気分になります。普段から散歩の時間は決めずにおくのも、犬をイライラさせない1つの方法と言えるでしょう。
梅雨時や忙しくて時間が取れないなど、散歩に連れていけないときは自宅でおもちゃを使って遊んであげるといいでしょう。犬にとって遊ぶということは非常に重要なことです。おもちゃを投げて取りに行かせるなどすると、飼い主とのコミュニケーションにもなります。また、噛んで遊べるおもちゃはそれだけでストレス発散になるので、上手に使うようにしましょう。
まとめ
犬はストレスの原因を自分で伝えることも、自分だけで解消することもできません。犬をストレスから守るためには、飼い主が普段からしっかりとケアしてあげることが大切です。
一番大切なのは、やはり普段からしっかりと愛犬と接することです。そうすることが一つのストレス解消方法になりますし、愛犬が普段と違う行動を取っていればすぐに気付くことができます。
ストレスの原因をすべて取り除くことは難しいかもしれませんが、愛犬のためにできる限りのことをしてあげるようにしましょう。