猫をペットとして家に迎え入れる際、爪とぎは気になるポイントのひとつではないでしょうか?
一生懸命爪とぎをしている姿は可愛いですが、家具がボロボロになってしまうというのは困りものです。家具にとどまらず、床や壁がボロボロになるということも。
そんなにゃんこの爪とぎはしつけで改善することができるのでしょうか?にゃんこの性質を理解して爪とぎのしつけを実践してみましょう。
1.にゃんこはどうして爪とぎをするの?
そもそもの目的は古くなった爪の外層を剥がして、新しい爪を出すためです。外的から身を守るために、鋭い爪にしておくことが重要という訳です。これは、にゃんこの
本能的な爪とぎの意味となります。その他にも以下の理由により爪とぎをすると言われています。
にゃんこの爪とぎにはマーキングの意味があります。肉球の間から特有のフェロモンを発しています。爪とぎをして肉球を柱や壁、家具にこすり付けることで、ここは自分の縄張りだとアピールしているのです。
飼い主さんの気を引きたくて爪とぎをしていることもあります。爪を研ぐたびに「あーダメー」「やめてー」と飼い主さんが構っていると、「爪を研ぐ=飼い主さんが構ってくれる」と脳にインプットされてしまうのです。
飼い主さんが構ってくれないなどのストレスを感じた時に、ストレスを解消するために爪とぎをする場合もあります。爪をとぐことでリラックスすることができるのです。
爪を研いでいる時は体を伸ばし、ストレッチをして全身の緊張を解いています。2.爪とぎのしつけは可能?
にゃんこにとって爪とぎは本能的なものです。そのため、爪とぎを絶対にさせないようにしつけることは出来ません。
爪とぎを禁止するのはただただストレスを与えるだけです。そのため、「爪とぎを止めさせる」のではなく、「家や家具を傷付けないように爪とぎさせる」ようにしつけを行うことが大切になります。
しかしながら、しつけもなかなか難しいです。そもそもワンちゃんと比較するとにゃんこはしつけが難しいと言われています。
これは、猫の方が犬よりも賢くないということではなく、賢いゆえに行動を強制されることを嫌うという性質にあります。
爪とぎのしつけは、子猫の時期から始める方がスムーズに受け入れてくれる可能性が高いのですが、成猫になってからでも根気よく教えていくことで、「仕方ないにゃ ~」と受け入れてくれるようになります。
3.爪とぎのしつけのポイント
爪とぎの材質も非常に重要です。猫によって好きな材質が違うので、お気に入りのものを探してあげることが大切です。
柔らかい場所が好きなにゃんこには、ダンボールなど柔らかい素材で出来た爪とぎ器を、壁などの固い場所が好きなにゃんこは、硬さのある麻紐などを使用した爪とぎ器を準備します。
ただ段ボールタイプの爪とぎはカスが多く出ます。消耗も速いので、使いきりと割り切ることが大切になります。
ポールに麻を巻いた麻巻きポールは、最近人気の材質です。耐久性があるのでしょっちゅう買い替える必要がなく経済的です。作りがしっかりしているので、大きな子が思いっきり研いでも大丈夫ですが、少しお値段が張ります。もし愛猫が気に入らなければ痛い出費になってしまうかもしれません。
数は少ないですが、木材でできた爪とぎもあります。木材を磨き上げてスリット加工を施し、にゃんこの爪がひっかかりやすいように加工されています。
爪とぎ器を設置する際には、決まった場所に置くようにします。あちこち置き場所を変えてはにゃんこの混乱を招きます。決まった場所でさらに使いたくなる場所に置くことが重要です。
また、にゃんこは爪とぎしている姿を人に見せたい願望があるので、ひと目につきやすい場所に設置すると効果的です。
爪とぎの衝動は、ある瞬間突然やってきます。にゃんこのの突発的な衝動に対応するためには、爪とぎを自宅の複数個所に設置しておくのが効果的です。理想は一部屋に一つ、部屋のどこにいても目に付くような場所に置いておくことです。部屋の真ん中はおすすめスポットです。体を伸ばして高い場所で爪を研ぐのが好きなので、高さも調節しておきましょう。
爪とぎ器のセッティングが済んだらにゃんこを連れて来て、立ちあがらせて爪を研ぐ真似をさせます。
他の場所で爪を研ごうとしたら、少し大きな声で注意し、すぐ決めた場所に連れて行って再度真似をさせます。これを
1週間ほど繰り返せば、猫はその場所を覚えてくれます。
既に飼い主がやってほしくない場所を爪とぎ場所に決めてしまっている場合でも、一度挑戦してみてください。
にゃんこの性質上、興奮した後は爪とぎを行う傾向があります。興奮した気持ちをリラックスさせるための行為です。この性質を利用し、爪とぎ器の近くでにゃんこが興奮する遊びをさせます。そして、爪とぎをするタイミングで爪とぎ器へ誘導してみてください。
あらかじめ、爪とぎ器に好きなおもちゃをくっつけておくという方法も効果的です。上手に爪とぎ器で爪とぎをしたら、褒めてあげましょう。
★どうしても爪とぎをしてほしくない場所は予防対策を★
爪とぎ場所にしてほしくない場所は、つるつるしたもので覆うなどの予防対策をしておきましょう。
にゃんこは適度に爪がひっかかる場所で爪を研ぐのが好きなので、表面がつるつるしているとやる気を失います。畳みで爪を研ぐ習慣を付けてしまっている場合は、張り替えが簡単な安い絨毯を敷いてしまうのがおすすめです。
4.おすすめの爪とぎはキャットタワー一体型
最近評判になっているのが、キャットタワーと一体型になった爪とぎです。キャットタワーは非常に重要なアイテム。
ストレス解消や運動不足解消に役立ち、寝床としても活躍してくれます。 高い所を好む傾向にあり、そこに爪とぎが付いていれば、自然とそこで研ぐようになります。
爪を研いでも動かない安定感と立って研げる高さ、キャットタワーはその両方を兼ね備えています。一体型はにゃんこのニーズに合ったアイテムと言えます。
5.飼い主さんの手作り爪とぎ器
爪とぎを設置するにあたって理想の条件は安く、スペースを取らず、長持ちをさせることができることです。 市販の爪とぎ器を購入して使用するという方法もありますが、もし、気に入らなかったら無駄になる可能性もあります。まずは、飼い主さんが手作りして試してみても良いと思います。
(1)くるくる爪とぎ
名前の通り、渦巻き状にくるくる巻いて作る爪とぎです。
作り方として、まずは何枚か段ボールの幅を均一にしてカットします。長さは揃える必要がありません。一番外側になる用の
1枚は綺麗で長いものを用意すると見た目が良くなります。
それが出来たら少し時間はかかりますが、
1つ
1つに折り目を付けていきます。こうすることで仕上がりが綺麗になります。
そしてできるだけ柔らかめの段ボールをくるくる丸めて爪とぎの芯の部分を作ります。この時、出来るだけ隙間を少なくし、少し多めに巻いておくことがポイントです。
最後に先に折り目を付けていた段ボールをひたすらテープでつなぎ合わせていき、綺麗で長いものを貼り付けて固定すると完成です。丈夫に作れば作るだけ長持ちします。
外側に絵や文字を書いてオリジナルの爪とぎ器にしましょう。
(2)麻袋とプラスチックダンボール
麻袋というのは穀物や農産物作りに使われているぼそぼその袋のことです。これとプラスチック段ボールを使います。 どちらもホームセンターで購入できます。
作り方は簡単で、プラスチック段ボールに両面テープを貼り付け、切り開いた麻袋を貼り付けるだけです。あとはそれをコの字に折り曲げ、設置します。設置する際は倒れないようにすることと、猫がよく爪とぎをしたがるような場所に置くことが大切です。
(3)タオルと麻ひも
タオルと麻ひもであっという間にできる爪とぎです。この時に用意する麻ひもはできるだけ頑丈なものにしましょう。できるだけ太いものの方が効率的です。
作り方は簡単で、テーブルの脚やキャットタワーの柱にタオルを巻き、しっかり固定します。
そしてタオルが見えなくなるまで麻ひもで何周も巻いていきます。たったこれだけですが、ここで非常に大事なのはほどけてこないようにするということです。
これは簡単にできる半面、思うよりもすぐにボロボロになってしまうので、そうなってしまったらすぐに作り直してあげましょう。
そうしないと上手く爪をとぐことができずに他の所でしてしまうかもしれないからです。また、ガタガタしたりグラグラしたりする不安定な場所に設置すると猫が使ってくれないだけでなく、事故に遭わせてしまう可能性もあるので、必ず安定した場所を選びましょう。
まとめ
にゃんこの本能である爪とぎを 100%やめさせるというのは不可能です。にゃんこは猫は我が強い生き物なのでしつけを行うのはなかなか難しいですが、根気よく行っていくことが大切です。
何度も繰り返せば、教えた場所で爪を研いでくれるようになります。飼い主側もある程度は妥協しつつ、大事な家具や家を猫が傷付けないように工夫を行っていきましょう。
どうしても爪とぎ器を利用してくれない場合には、諦めるという潔さも必要です。しつけようと無理強いをするとにゃんこにとってもストレスになりますし、飼い主さんにとってもストレスとなります。