愛犬との遊び時間、どれくらい確保していますか?愛犬のストレス解消や信頼関係の構築の上でも遊びの時間はとても大切です。今回はそんな「犬との遊び」をテーマにお伝えします。
1.犬と遊びについて
元来、犬という動物は群れの中で集団生活をしていた「社会性」を持つ動物です。また、社会性と同じように「動物としての本能」も本来は備わっています。しかしこれらの社会性と本能は人間との生活においては自然には育まれないため、意識的に育ててあげる必要があります。
これらの力が発揮できないことで、問題行動を起こすようになったり、大きなストレスが溜まってしまいます。この「社会性」を身に着け「本能」を刺激するためにも、犬との「遊び」の時間は大変重要なのです。
2.犬と遊ぶメリットは
①犬のストレス発散
前述したように犬は社会性を持って集団で暮らす生き物です。一人で孤独に暮らす動物ではないため、ほったらかしにされることは大きなストレスとなります。本能が刺激されるような遊びでストレスを発散させてあげましょう。
②犬の健康維持
「健康維持」も大事なポイントです。お散歩だけではどうしても運動量が少ない場合もあります。特に大型犬や子犬の場合は、遊んでも遊んでも遊び足りないということも良くあるため、遊びは健康維持の一環にもなります。
また、愛犬と遊ぶことで愛犬に触れ合う時間が増え、それが愛犬の健康状態をチェックするタイミングにもなります。近くで触れ合うことで毛並みや肌や歯の状態、動き方や元気の有無も確認することができ、病気の早期発見にもつながります。
③犬のしつけ
社会性や本能を持つ犬が人間社会で暮らすには、どうしても「しつけ」が必要になります。しつけがされていない犬は人間社会で問題行動を起こしてしまい、犬自身もかわいそうな状況に追い込まれてしまいます。そんな時に日々のしつけが重要になってきますが、これらも犬との遊びの中で育むことができます。
なお、犬のしつけにおいて大切なのは飼い主との「主従関係」です。遊びを飼い主さんがリードすることで、主従関係をはっきりさせることも可能です。社会性を持つ犬にとって、主従関係がはっきりしていることはストレスではなく、むしろ当たり前のことなのです。
④犬と飼い主の信頼関係
前述した主従関係を構築するうえでも大事なのが犬との「信頼関係」です。これらは犬と接することでのみ作り上げられるものです。犬と過ごす時間を多く確保することで、犬との信頼関係を築くことができます。
3.どんな遊び方がいい?
①犬の体力や年齢に合った遊び方
犬と遊ぶ際は体力や年齢によって遊び方を工夫しましょう。体力が有り余っているような大型犬は、歩きだけではなく走る動きも取り入れ、しっかりと”体力を使う遊び”の時間を長めに確保しましょう。環境が許す場合は「泳ぎ」を取り入れてあげるのも喜びます。また「物を隠して探させる宝探し」や、「物を運ばせる遊び」などの”頭を使う遊び”も取り入れましょう。
体力があまりないような小型犬や老犬は、ハードな遊びをすると身体を傷めてしまう恐れがあるため、「室内」での「引っ張りっこ」や「おもちゃ投げ」、「おやつあて」などの遊びを取り入れましょう。もちろん小型犬でも元気な犬は様子を見ながら、外での遊びにチャレンジさせてあげましょう。
また、年齢によっても”遊びたい欲求”は異なります。1歳を過ぎたころから落ち着く犬が多いといわれていますが、それまでの子犬の間は遊びたい盛りで飼い主さんに付きまとうことも少なくありません。子犬のうちから社会性を身に着けさせるためにも、しっかりと人間と関わる時間を用意してあげましょう。
なお、子犬の都合のみを優先して遊んでしまうと、主従関係の構築が難しい場合があるため、「たっぷりと時間を確保」しながらも、「飼い主さんの都合に合わせて」遊んであげましょう。
②室内と屋外で違う遊び方
前述したように体力や年齢によって使い分けたい遊びですが、室内と屋外でも遊び方は異なります。
・引っ張りっこ(室内)
室内遊びの定番といえば「引っ張りっこ」です。犬の狩猟本能を刺激するように、ロープやおもちゃを犬の前にチラつかせると、ほとんどの犬が噛みついて引っ張ります。人間が勝つように力の調整をしながら引っ張り合いをすることで、上下関係を学ばせるしつけにもなります。犬が飽きないように、たまには犬に勝たせてあげることも大切なので、バランスを見ながら遊んであげてください。
なお、歯が生え変わっていない子犬や、歯が弱ってきている老犬と遊ぶ際は、ロープやおもちゃに歯が引っかかって怪我をする恐れがあります。犬も本能が刺激されて、我を忘れて夢中になる可能性が高いので、飼い主さんはよく愛犬の口を注意してみるようにしましょう。
・おもちゃ投げ(室内)
引っ張りっこと同じくらい定番の遊びが「おもちゃ投げ」です。犬の本能を刺激するように、犬用のボールやぬいぐるみを犬の前で小刻みに動かします。動かしたおもちゃを投げて取りに行かせるのもいいですし、飼い主さんの背後に隠すことで対象を探し回らせるように遊んでもいいでしょう。
投げたおもちゃを取りに行かせる場合は、飼い主のもとまで持ち帰らせることで「取って」や「おいで」などのしつけに使えます。また、口にくわえているおもちゃを「離せ」の号令で離すことができたら、噛みつきのしつけにも使うことができます。どれも上手にできた場合は、必ずしっかりとほめてあげるようにしましょう。
・おやつあて(室内)
飼い主さんの手におやつを隠してどっちに入っているか当てさせる「おやつあて」もおすすめです。まずは愛犬の前でおやつを見せ「お座り」と「待て」の号令をかけます。見せたおやつを背後に隠して、飼い主さんの左右どちらかの握った手のひらに隠します。
隠したところで犬の前に両手のこぶしを出して「探して」等の号令をかけて隠したおやつを臭いで当てさせます。おやつを見つけたタイミングでしっかりと褒めて、おやつを与えてあげましょう。
犬がおやつを見つけたタイミングに、犬が自分の手で「おやつを隠している飼い主さんの手」を触ることがあれば、同時に「お手」の号令をかけることで、お手のしつけも行うことできます。
・フリスビー、ボール投げ(屋外)
屋外の定番と言えば、フリスビーやボール投げです。狩猟犬をルーツに持つ犬種やレトリーバー系の犬種、体力が有り余っている子が喜ぶ遊びです。フリスビーやボールを投げた後は必ず持って戻るように「取って」などの号令と共に投げましょう。取って戻ってきた際は「離せ」などの号令をかけることで、飼い主さんがリーダーシップを持って遊んでください。
フリスビーやボールを追いかけて事故に合ったり、途中で他の犬や人に興味を示して飼い主さんから離れてしまう可能性があるため、しっかりとした囲いがある場所で遊ぶように注意してください。
・宝物探し(室内&屋外)
少しレベルが上がりますが、犬の五感が刺激されるおすすめの遊びが「宝物探し」です。
まずは愛犬を「お座り」や「待て」で落ち着かせ、隠す宝物(おやつやおもちゃなどの臭いがついているもの)のにおいを嗅がせます。次に、愛犬から見えないように宝物を飼い主さんが隠します。
「待て」をさせていた愛犬に「探せ」と伝え、「待て」を解除します。ここで愛犬がにおいを嗅いで回り、”探す遊び”であることを認識させることができたら第一段階は成功です。
次に、愛犬が実際に宝物を見つけたら、宝物の前で「待て」をさせます。ここで宝物を見つけたら飼い主さんに知らせることを覚えます。この「宝物を見つけて待てをする」まで出来たら、しっかり褒めてあげましょう。最後は「待て」を解除し、宝物を愛犬に与えてたっぷりと遊ばせてあげます。
犬の五感をフルで使った遊びのため、犬にとても心地よい疲労感と満足感を与えることができます。難しそうに見える遊びですが、とてもおすすめです。
■まとめ
愛犬との「遊び」をテーマに紹介しました。上手に遊んで愛犬との信頼関係を結んでくださいね。