【獣医師監修】猫に寄生するダニとノミの種類と対策

マダニ、ネコノミ、耳ダニ(ミミヒゼンダニ)、疥癬(ショウセンコウヒゼンダ二)などの外部寄生虫は、猫の皮膚に寄生し、様々な症状を引き起こします。それだけでなく、猫から人にも感染し、人に重い病気を引き起こすこともあります。しかし、これらの寄生虫は、飼い主さんの心がけひとつで対策をたてることができます。まずは、寄生虫を知り、適切な対策を取り、快適に過ごしていけるよう心がけましょう。

★1.猫のダニにも種類がある

【1】マダニ

マダニは、そもそも草むらで生活しているのですが、その唯一の栄養源が血液です。そのため、草むらに入ってきた動物の被毛などに付着し、吸血するのです。体についたマダニは、顔の回りなどの皮膚の柔らかいところで吸血します。その時、鋭い口先を皮膚に差し込んだうえで、セメント様物質を分泌して口先を固定する習性があるので、一旦マダニに咬まれてしまうと、吸血が終わるまでは簡単に取り除けません。

さて、猫がマダニに咬まれた場合、痛みはないので猫自身は気づかない事が多いです。さらに、吸血する前のマダニはゴマ粒程度と小さいため、吸血前には見つけられず、しっかり吸血して小指の爪ほど大きくなった状態のマダニに飼い主さんが気づくことがほとんどです。ここで、皮膚にしっかりと咬みついているマダニを指でつまんで取り除こうとすると、マダニの口先だけが猫の体に残り、炎症が起きてしまうこともあります。

さらに困ったことに、マダニは様々な病原体の運び屋です。吸血と同時に動物の体に病原体が運び込まれた可能性があるのです。また、まれにですが、そのマダニが人に重篤な病気を引き起こす病原体を運んでいる可能性もあります。猫の皮膚にマダニを見つけても、決して素手ではさわらず、早めに動物病院を受診することが大切です。動物病院でマダニを取り除いてもらって、必要な場合はマダニによる感染症の治療を受けてください。

【2】耳ダニ(ミミヒゼンダニ)

耳ダニは、マダニとは違い、耳ダニに感染している動物の耳垢などからうつります。耳ダニに感染すると真っ黒い耳垢が増え、さらに激しい痒みがみられます。痒みが強すぎて痛いほどの場合もありますので、耳ダニ感染が疑われる場合は、自宅で耳掃除せずに、早めに動物病院を受診してください。残念ながら、耳ダニは、耳掃除では治せません。早い段階から動物病院で適切な駆虫薬を用いて治療するのが一番です。

犬や猫から人にうつることはありませんが、耳ダニの感染力は強いので、多頭飼育をしている場合は、一斉に治療を始める必要があります。

【3】疥癬(ショウセンコウヒゼンダニ)

疥癬はショウセンコウヒゼンダニに感染している動物のフケなどからうつり、顔や耳の縁が脱毛してかさぶたができます。痒みがものすごく強い皮膚病です。疥癬は、人にもうつることがあるので、感染が疑われる場合は、とにかく早く動物病院を受診してください。そして、感染している事がわかったら、治療を進め(多頭飼育なら同時に)、ご自宅の床やじゅうたん、布団などをしっかり掃除して二次感染を防ぐよう心がけてください。

★2.ノミに注意するのは夏場だけではない

ノミと言えば、猫や犬の寄生虫として 有名ですが、夏場だけ注意しておけば問題ないのでしょうか。ノミは温暖で湿度の高い場所を好む生き物です。特に気温25℃、湿度75~80%で活動的になります。つまりノミにとっては、梅雨時が最高の季節です。しかし冬場も、暖房がしっかり効いた室内なら、ノミはのびのびと生活でき、一年を通じて動物に寄生することができるのです。

ノミに寄生されると、吸血されるときに痒みを感じるだけではなく、体質によってはノミアレルギー性皮膚炎を起こし、激しい痒みを感じるようになることもあります。また、ノミは他の寄生虫の運び屋なので、他の寄生虫が原因の貧血を起こしたり、下痢や嘔吐がみられたりすることがあります。

それだけでなく、ノミは人にも皮膚炎を起こしたり、猫にひっかかれた後にリンパ節が腫れたりする「猫ひっかき病」の原因菌を猫にうつしてしまうことがあります。ノミの治療・駆虫にはシャンプーやノミ取りクシなど昔から様々な方法がありますが、一番確実なのは動物病院で定期的に駆虫薬を処方してもらい、冬場も忘れずに予防してゆくことです。

ダニ、ノミの予防対策

今回ご紹介した寄生虫は比較的よく見られるものばかりでしたが、どの寄生虫も感染しないに越したことはありません。

理想的な対策としては、完全に室内飼育にすること、寄生虫に感染している猫・犬には近寄らないよう気をつけること、動物病院から処方してもらった予防薬を定期的に忘れずに投与すること。

寄生虫は、猫だけではなく、飼い主さんにも悪さをします。しっかりと予防して、快適に過ごしていけるように心がけましょう!

北海道大学獣医学部卒業。

5年ほど動物病院勤務したあと退職し、現在は娘三人の子育て中です。子育てを通じて知り合った「ママ友飼い主さん」たちとの出会いはとても貴重で、その視点を大切にしていきたいと思ってます。

 

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