1.犬は食物繊維を消化するのが苦手なの?
わんちゃんは食物繊維を消化する酵素を体内に持っていません。ですが、それが理由で与えないほうが良いというのは間違いです。そもそも、食物繊維は市販で売られているドッグフードにも含まれているのでわんちゃんは毎日食物繊維を摂取しているということになります。食物繊維を消化する酵素は、実は人間でも十分な量を持っているわけではないですが生きていくために必要不可欠な栄養素です。人間にとってもそうであるようにわんちゃんにとっても食物繊維は必要な栄養素といわれています。
草を主食としている草食動物も食物繊維を酵素で消化しているわけではありません。腸内に留まっている微生物を使って繊維を発酵させて栄養素を吸収しています。そのため、草食動物は肉食動物よりも長い腸を持ち十分な時間をかけて消化できる仕組みになっているのです。
わんちゃんは雑食ですが肉食に近い動物といえます。そのため、繊維質を多く含む野菜よりも肉の方が消化するのを得意としていますが、腸内細菌を活発にして調子を整えるためにも人間と同じように食物繊維を摂取したほうが望ましいということがわかっています。
食物繊維は腸内環境を整えて便秘を改善します。わんちゃんも人間と同じように水分不足が原因で便秘を引き起こしてしまう場合がありますが、水分をとっているから安心というわけではありません。実は、水分量が少ないドライフードを主食にしているわんちゃんが便秘になるといったケースが増えてきています。そのため、おかゆやスープといった水分たっぷりの手作りごはんで水分不足を防ぎ食物繊維を取り入れることが非常に大切になってきます。
食物繊維は水溶性と不溶性の二つに分かれます。どちらも消化にくい性質を持ち腸内環境を整えてお通じの改善に役立ちます。水溶性は腸内でゲル化して食物繊維の吸収をサポート。不溶性は便のかさを増やして蠕動運動を活性化させて便通を良くするといった特徴を持っています。
わんちゃんに食物繊維が必要といっても与え方には十分注意が必要です。手作りごはんを食べたことがないわんちゃんには、腸がびっくりしないように小分けに与えて慣れさせながら量を増やすようにしましょう。手作りごはんは基本的にわんちゃんが消化しやすいように刻んで調理しますが、初めてあげる場合はミキサーで細かくするなどして与えるのもおすすめです。
調味料をなるべく使わないスタンスで作るのでわかめやひじき、昆布といった食材は乾物を用意してフードプロセッサーで粉末状にすると出汁に利用できます。また、同じ野菜ばかり使うのではなく少しずつ違う食材を取り入れていくとより効果的に栄養を摂取することができます。特に、消化酵素が豊富といわれている大根やかぶは積極的に取るようにしましょう。
食物繊維や水分不足といったほかにも腸が冷えて便秘になるケースもあります。消化酵素が含まれている食材を取り入れるのはもちろんですが、体を中から温めてくれる食材もプラスして使うとより効果がアップします。胃の粘膜を保護してくれるオクラやモロヘイヤ、里芋といったねばねば食材もおすすめです。
2.愛犬のための、消化の良い簡単手作りごはんを紹介
鶏むね肉と根菜の玄米おじや
炊いた玄米ご飯と鶏むね肉(皮をとって小さく切ったもの)、にんじんやかぼちゃ、白菜といった野菜を小さく切って鍋でやわらかく煮ます。大根をすりおろしてトッピングするか混ぜて加えれば完成です。大根は酵素を効果的に取り入れるために食べる直前にすりおろすのがポイント。混ぜて加える場合、酵素は熱に弱い栄養素のため十分に冷ましてから加えるようにしましょう。香り付けや風味をアップさせるために、ごまやごま油をプラスするのもおすすめです。
わんちゃんは野菜を消化するのが苦手であるため基本的にはすべて火を通してから与えるのが良いですが、白菜などは慣れれば多少生で与えても問題はありません。その際、みじん切りにするなどしてなるべく細かく切るようにします。野菜は基本的に冷凍保存が可能なので、茹でた野菜を潰して保存すると次の調理が簡単なうえ長期保存もできるのでおすすめです。
鮭と豆乳のリゾット
鮭の切り身は小骨を丁寧にとって白米と豆乳と一緒に煮ます。キャベツや白菜といった冷蔵庫にあるありあわせの野菜もプラスしてボリュームを持たせます。干ししいたけもいれると風味がアップするのでおすすめです。干ししいたけをいれる場合は砕いて粉末にして加えると切る必要がないので簡単です。ちなみに、豆乳は無調整のものを使用するとより効果的に栄養を摂取することができます。
圧力鍋がある場合、切り身にこだわらずあらなどを骨まで柔らかく煮て与えればカルシウムを豊富に摂取することができます。鮭以外でもいわしやサンマ、さばなどもおすすめです。たらやまぐろなどは良質なたんぱく質を含んでいるので積極的に取りたい魚ですが、こちらは骨が太く硬いため骨ごと食べるには向かないので覚えておきましょう。
手作りご飯は基本的に食材を煮ればいいだけなので手軽に作ることができます。参考のレシピにこだわらずに愛犬の体調や食欲に合わせてオリジナルのレシピを見つけていくと、調理するのも楽しめますしわんちゃんもごはんの時間を楽しみながら栄養を摂取できます。
まとめ
わんちゃんがご飯をおいしく感じるということは、必然的に唾液の分泌を促し消化活動が活性化されるということです。おいしいご飯を作ることが胃腸の働きを助けることにもつながるので手作りごはんは非常に効果的といえます。手作りごはんを作るのはとても簡単ですが、新鮮でその時期旬な食材を使えばそれだけで旨味をたっぷり含んだ素敵なメニューになります。保存料といった添加物を使う必要がないのでわんちゃんの身体にもやさしいのがうれしいですね。
食物繊維は人間にとってもわんちゃんにとっても欠かすことができない栄養素ですが、与えすぎると下痢や軟便といったトラブルを引き起こします。たんぱく質やビタミン、ミネラルにプラスして食物繊維をバランス良く摂取することが重要です。手作りごはんで消化酵素をアップさせてわんちゃんが効率よく食物繊維を摂取できるサポートをしてあげましょう。