猫の飼い方は、室内飼いと屋外飼いの大きく2つに分けることができます。一昔前の日本では、ほとんどの家庭が猫を屋外で飼っていましたが、近年の住宅事情やライフスタイルの変化に伴い、屋内で猫を飼う人が増えてきています。ここでは、猫を室内と屋外で飼うことのメリット・デメリットについてご紹介します。
★室内飼い=かわいそうという訳ではない?
室内飼いをしている猫がじっと窓の外を眺めている姿を見て、かわいそうと感じる飼い主も少なくありません。ただこれは人間側から感じる心理で、猫自体はストレスを発散している場合が多いです。窓の外の風景は自分の縄張りの一部で、安全な場所から自分の縄張りを見張っているのです。猫は動くものを眺める習性がありますが、室内で飼われている猫は安全な場所から外に出て見たいとは思っていないようです。窓は自分の縄張りである室内と外との境界線であり、パトロール的な意味合いでどうしてもいることが多くなる場所です。猫は縄張りを大切にしている生き物なので、小さい頃からずっと室内飼いをしていて急に外に出すのは、自分の縄張りが分からなくなり猫を不安にさせてしまいます。このように室内で飼われている猫は、家の中が自分の縄張りであり、他の猫の侵入を心配せずに安心して暮らせる居心地の良い場所なのです。
★猫を室内飼いすることのメリット/デメリット
・猫を室内飼いする3つのメリットとは?
まず1つ目に、寄生虫などに感染する危険が大幅に減ります。本来猫は狩りをする動物で、外に出れば小鳥やトカゲ・ネズミなどを捕まえて食べています。それらの動物には寄生虫がいることが多く、猫が食べることにより感染する可能性は高くなります。室内で猫を飼っている場合は、食事は人間が与えるものに限定されているので、感染のリスクを大幅に減らすことができます。
2つ目に、室内は屋外に比べて衛生的で、猫の健康管理をしやすいということが挙げられます。部屋と外を自由に行き来していると、汚れることはもちろん、ダニやノミなどをもらってくることがあるので衛生的ではありません。また猫白血病や猫エイズなどの病気・風邪ウイルスなどは、外からもらってくることがほとんどです。室内で猫を飼っていればこれらの危険に晒されることがなく、飼い主も健康管理をしやすくなります。
3つ目に、室内飼いをしていると、怪我や事故に合う確率が少ないということです。車社会の現代において、人間だけでなく猫も交通事故に合う可能性は高くなっています。特に猫は動かないものは見えにくいという目の特性があり、渋滞している車の間から飛び出して敷かれるという事もあり得るのです。猫の寿命を少しでも延ばしたいと考えるなら、室内飼いのメリットはとても大きいと言えるのです。
・猫を室内飼いする3つのデメリットとは?
1つ目に室内での事故が挙げられます。部屋の中には電気コードがさまざまな場所にあります。飼い主がよく経験する室内飼いの猫の困った行動に、電気コードで遊んだり噛むことがあります。電気が流れている場合感電する恐れがあり、飼い主は充分に注意を払わなければいけません。
2つ目に誤飲があります。猫は好奇心旺盛な動物なので、部屋の中に落ちているものでよく遊びます。ボタンや電池などの猫の口に入るような小さなものは、誤って飲み込む可能性が充分にあります。特に小さなお子さんがいる場合、おもちゃなどが落ちていることがよくあり、誤飲の原因の一つになっています。
3つ目は爪とぎによる室内のダメージです。畳や壁・カーペットなどに猫が爪を立てることで悩む飼い主さんは多いです。屋外飼いでは、外で爪をといでくることが多く、室内でガリガリと柱や壁を削られることは少なくなります。
★猫を屋外飼いすることのメリット/デメリット
・猫を屋外飼いする3つのメリットは?
1つ目に、屋外飼いの猫は室内で飼われている猫よりも運動量が増えることです。屋根の上に登ったり街中を自由自在に走り回ることができ、室内飼いの猫とは比べ物にならない運動をしています。猫の間でも増えている肥満の解消に繋がり、健康維持という面ではメリットが大きいです。
2つ目に、猫同士のコミュニケーションができることが挙げられます。また外に出れば、猫以外にもいろいろな人と出会う機会があり、構ってほしいとか可愛がってほしいという欲求を満たせます。室内で飼われている猫は、飼い主やその家族だけの触れ合いになり、みんなが外出してしまうとコミュニケーションを取る相手がいなくなってしまいます。
3つ目は、爪とぎによる室内のダメージが減ることが期待できます。外で爪とぎをすることで、室内での爪とぎの回数が少なくなり、カーペットを敷いている家庭では爪がひっかかって折れてしまうというような事故を防ぐことができます。
・猫を屋外飼いする3つのデメリットとは?
1つ目は、家と外を自由に行き来する屋外飼いの猫は、室内で飼われている猫に比べて交通事故に遭う可能性が高くなります。猫の一般的な平均寿命は、室内で飼われている猫が15年・屋外飼いの猫は7年という数値が出ています。この結果から室内飼いの猫は屋外飼いの猫の2倍以上長生きする結果となっており、老衰や病気の他に屋外飼いの猫は車などの事故で命を落とすことが多いのも理由として挙げられています。
2つ目は、喧嘩などによる怪我や感染症のリスクがあります。屋外ではそれぞれの猫が自分の縄張りを持っており、この中に他の猫が侵入してきたり、相性が悪い猫とばったり遭遇すると、威嚇だけでは収まらず縄張りをかけた喧嘩に発展することも少なくありません。また避妊手術を行っていない雌猫は、妊娠やそれに伴う感染症のリスクを絶えず持っていると考えておいた方がよいです。
3つ目は、飼い主が知らない間に近所の人たちに迷惑をかけている可能性があることです。屋外飼いをしている猫の行動をすべて把握することはできません。敷地内におしっこやウンチをされて困っているという話がよく耳にされますが、自分の飼い猫も外に出れば少なからず人に迷惑をかけていることは想像しておかなければいけません。
★まとめ
猫の室内飼いと屋外飼いのメリット・デメリットをそれぞれご紹介しました。もともと猫は単独で行動するのが得意で、他の動物と比べると行動範囲も狭いと言われています。室内で猫を飼う場合、狭い部屋に閉じ込めておくのは可哀想と思っている飼い主もいますが、人間が思っているように猫はストレスを感じてはいません。屋外で猫を飼う場合、美味しい空気とたっぷりの日差しを浴びてのびのびと遊ぶ姿は、自由きままで猫らしいと思っている飼い主も多いですが、車が多くなった現代社会においては、外の世界は猫にとって昔ほど安全でのびのびとした環境と言えないのが現状としてあります。猫を飼うに当たってもう一つ大事なことは、猫には縄張りがあるので、一度外に出してしまうと毎回縄張りのパトロールをするために外に出て行くということです。もし室内飼いを考えているなら、外には出さないようにしなければいけません。
完全に室内で飼うことにするのか、いろいろと危険がある外に出して飼うのかを決めるのは飼い主さんです。室内飼いも屋外飼いもそれぞれにメリット・デメリットがあるので、それらをしっかりと把握した上で決めていきたいものです。