★猫も歯周病になります
結論から言うと猫も人間と同じように歯周病になってしまいます。本来の食事と違う、人工のキャットフードを食べているせいではないのですが、やはり猫の歯の隙間にも食べかすなどが溜まってしまいます。これを放置すると細菌が増えて歯肉炎となり、さらに進むと歯周組織が破壊されて歯周病となり、結果歯がグラグラになって、遂には抜け落ちてしまいます。
また、細菌が歯の根元まで入り込んで、歯肉の奥に膿が溜まる歯根膿瘍や、歯周病巣から血管内に細菌が入り、それが心臓や肝臓に運ばれて病気を引き起こす可能性もあります。そのため、猫も歯磨きが必要となるのです。
★できれば猫も毎日歯磨き
それではどれくらいの頻度で歯磨きをしてあげればいいのでしょうか。理想を言えば、1日1回毎日歯磨きをするのが良いと言えます。
多少面倒に感じられるかもしれませんが、愛しい猫のためにも歯磨きをしてあげましょう。歯磨きのやり方としては大体人間と同じです。歯ブラシは猫用が良いですが、人間の小児用でも大丈夫です。ヘッドが小さい方が使いやすいでしょう。歯磨き粉は人間のものは刺激が強いので使いません。
また、猫に歯磨きをしてあげる際に注意しておきたいことがあります。それはいきなり行わないことです。見慣れない歯ブラシをいきなり口に突っ込めば、当然猫は嫌がります。そのまま無理に続けようとすると一切歯ブラシを受け付けないようになってしまいます。
まずは口の中をいじられることに慣れることから始めましょう。最初は、撫でるついでに口の周りを触り、口を触られることに慣れてもらいます。まだ歯ブラシは出しません。次は、指で歯や歯ぐきを触ってみましょう。(この時、もし歯と歯ぐきの境目が赤かったり、触ると痛がったりする所があれば、口内炎などの病気があるかもしれないので、無理して続けずに病院を受診しましょう)人の指に慣れたら、指にガーセを巻いて、歯をこすってみます。
これに慣れたら、いよいよ歯ブラシを試してみましょう。歯ブラシに歯磨きペーストをつけてもよいです。おいしい味がするので、歯ブラシへの抵抗がなくなり、歯磨きが行いやすくなります。
★歯磨きで暴れる猫ちゃんに
歯磨きがどうしても難しい場合には、プラークコントロール効果が実証されているデンタルフードを利用するという方法もあります。しかし、すでに療法食を指定されていたり、そもそも気に入らず、食べないという場合もあります。そんな時には、補助的にデンタルトリーツを使ってみてもいいかもしれません。①歯磨き専用スナック
見た目はキャットフードの様ですが、デンタルフードのように適度な弾力があるので、噛んでもすぐには砕けず、歯の表面とフードとの間で摩擦が起きて、歯垢がこすりとられるように工夫されています。そのため食べるだけで歯垢がつくのを防ぐ効果があります。猫はおやつ感覚で食べてくれるので飼い主としては頼りになる存在です。
②猫用デンタルガム
③チキンフレーバーの歯磨きペースト
その他、様々なデンタルトリーツや、サプリメントがありますが、歯に良いと謳われていても、効果が実証されているのは一部の商品のみです。飼い主は、「適度な硬さがある」 「しっかり歯と接触する」 「噛むことを促す」 といった条件が揃っているかを見極めなくてはなりません。また、固いものを噛むときは奥歯を使い、前歯ではほとんど噛まないことからもわかるように、デンタルトリーツやフードは、全ての歯をそうじできるわけではありません。これらはあくまでも口腔ケアの補助と考えましょう。
★まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまで紹介してきたように猫にも歯磨きが必要です。
歯磨きの方法は人間と同じように歯ブラシを使います。理想としては毎日行ってあげましょう。子猫の頃(6か月ごろ)から始めると、歯磨きに慣れやすいようです。歯ブラシに慣れさせることをしっかりとすれば多くの猫は歯磨きを受け入れるようになりますが、それでも暴れてしまう猫はいます。その場合は、無理に歯ブラシを使うとお互いにケガをする危険があるので、次善の策として、歯磨き効果があるおやつを使ってみてもよいでしょう。また、ガーゼや歯磨きシート、めん棒で歯をこするだけでも、ある程度歯垢を取ることができます。
歯周病は、歯を失ってしまったり、心臓や肝臓などの病気につながる恐れもあるので、口腔ケアは猫にとっても非常に重要です。ただし、歯ブラシや、上記のおやつを使っても、歯垢や歯石が溜まるのを100%防げるとは限りません。とくに、歯石はブラッシングでは取り除けませんので、口腔チェックを習慣にして、ある程度歯石が溜まってしまったら、動物病院で歯のクリーニングをしてもらうことをお勧めします。