【獣医師監修】猫の食事は一日何回が適正?妊娠中や性格で食事の回数が違うって本当?

猫への食事の与え方は、猫が長生きするためにも大変重要なことです。過多に与えることは、肥満や病気にもつながります。ここでは、その年齢や状態に伴った食事の与え方についてご紹介します。

★【基本】猫の給餌法

猫は、少量のフードを複数回に分けて食べるムラ食いを行う生き物です。猫の胃は、犬のように食べ物をたくさんためておけるほど大きくはありません。もともと猫は小さな獲物を一匹ずつ捕まえて食べる生活でした。したがって、一度にたくさんの量を食べるのには向いていないのです。自宅の猫が残った食事に砂をかけるような仕草をしているのを見たことがありませんか?これは、昔の名残で、食べ残しを隠してあとで食べようと思っている場合もあるようです。このような性質から、健康な、肥満でない成猫は、ドライフードは自由に食べられるようにして、ウェットフードを1日12回与えるのが一般的です。ただ、猫の性格によっては、一度に全部食べてしまったり、まだフードが残っていても、新しく出してほしがる子もいます。それぞれの性格に合わせて、食事のあげ方を考えることが大切です。

★【詳細】年齢とステータス別の給餌法

・成猫(1歳~)

猫の性格、フードのタイプ、飼い主のスケジュールなどから給餌法を決定します。

①自由に好きな量を食べさせる(自由採食法)

猫本来の食事の仕方に近いです。健康で、肥満傾向でないなら良いでしょう。少量頻回の食事は、尿石症の発症の重要な因子である尿のphの変動を緩やかにする効果もあります。ただし、一度に食べ過ぎて吐いたり、太ってくるようなら一定量にしなければなりません。ちなみにウェットフードはいたみやすいので、この方法には向きません。

②一定量のフードを1日2回~数回に分けて与える(定時給餌法)

飼い主が食事量をきっちり管理できるので、一度にたくさん食べすぎる場合や、肥満傾向で食事制限が必要な場合、多頭飼いなのに、それぞれ別の食事を与えなければならない場合などに向いています。この方法だと、どれだけ食べたか、または食べていないかがわかるので、体調の変化に早く気付けます。

①と②を併用しても構いません。定期的に猫の状態を確認して、フードの内容や与え方に変更が必要かどうかチェックしましょう。

・幼猫(~1歳)

3~4週齢までは基本的に母猫の母乳のみです。3~4週齢ごろから歯が生え始め、離乳が始まります。フードは成長期用(子猫用)のものを選び、ウェットフードや、ふやかして半粥状にしたドライフードを与えましょう。 しかし、まだまだ一度にたくさんは食べられません。5か月齢まではいつでも食べられるよう自由採食法が好ましいでしょう。この方が、鼓腸(ガスでお腹がパンパンになること)や摂食不足になりにくいです。 この頃の子猫に定時給餌法を行う場合は、一日分の食事を3~4回に分けて与えましょう。6か月齢になるころには、ほとんどの子猫は1日2回の食事に対応できるようになります。

・高齢猫(7~8歳以上)

成猫の時と比べて、老化のサインが表れ始めています。老化スピードは個体差が大きく、毛並みも良く、まだまだ食欲旺盛で太り気味の猫もいれば、食が細り、だんだん痩せてくる猫もいるので、食事量を把握しコントロールするためにも、一定量を猫の体調に合わせて12回~4回与えるとよいでしょう。このころから、腎疾患、心疾患、代謝性疾患などの病気の兆しが出てくることもあるので、日々の変化をよく観察し、気になることがあれば、早めに獣医師に相談しましょう。何もなくても、年に一度は健康診断を受けておくと安心です。

・妊娠している時

一度にたくさんの量を食べることが困難になっているため、食事は好きな時に食べられるように出しておきましょう。妊娠8週以降は子宮がかなり大きくなって胃を圧迫するため、あまり食べられなくなり、一時的に体重が減ることがあります。この場合は高カロリーフードにしてあげると良いでしょう。

★ライフステージごとのフードの切り替えも重要

年齢によって、摂取すべき基本の栄養素自体に変化はありません。しかし、ライフステージや体重、持病によって取るべきカロリーや栄養バランスが異なります。猫にとって重要なフードの切り替え時期はしっかり把握しておく必要があります。

・幼猫

生後4週間未満の子猫は、基本的に母猫の母乳のみですが、体重がきちんと増えない、母乳があまり出ないなど、人工哺乳が必要な場合には、子猫専用のミルクを与えましょう。離乳期の猫では、初めはふやかしたドライフードやウェットフードなどを与えますが、歯が生えそろったら徐々に固いフードに移行していって構いません。

また、避妊・去勢手術をきっかけに太り始めてしまう猫もいます。10か月未満であれば、まだ成長期なので、そのまま子猫用のフードでよいですが、10か月を過ぎたら摂取カロリーを見直し、それでも太ってくるようなら、繊維素の多い低カロリーフードに替えても良いでしょう。

・成猫

成猫用のフードにします。総合栄養食と表示されているものには、猫に必要な栄養素が全て入っているので、これを主食に選びましょう。一般食はそうではありません。これを与える場合は、総合栄養食と併用するようにしましょう。

・高齢猫

7~8歳になると、運動量や体の代謝は徐々に低下するので、太ってくる猫もいます。その場合はカロリーコントロールが必要ですが、11歳を超える老齢猫になると、食も細くなり、体重が減ってくる傾向があります。 これは、消化機能をはじめ、免疫、腎機能、嗅覚、味覚などの様々な身体機能の低下により引き起こされるので、体重不足の猫にはエネルギー濃縮フードで、少量でも必要な栄養素が取れるようにするのが良いです。ただし、高齢~老齢猫では、腎臓病をはじめ、ガンや心臓病、代謝性疾患などの病気も増えてくるので、定期的に健康診断を受け、何か疾病が見つかれば、獣医師の指導のもと、それに応じた食事に切り替えていきましょう。

このように、個々の猫の年齢や健康状態に応じてフードの種類や与え方を再検討して、元気に長生きしてもらいましょう。

監修獣医師 真下 明日香

日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、都内の複数の動物病院で勤務医として従事。現在、子育て中ですが、飼い主様に寄り添える獣医師を目指しています。

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