もくじ
1.犬の平熱は何度?
人間よりも少し高めの38度~39度前後です。基本的に体温は高めなので直に触って発熱しているかどうかというのは素人では分かりません。
ですが、愛犬と毎日スキンシップをとっている飼い主さんが、もしいつもよりも体温が高いなと感じた場合は発熱しているということも考えられます。少しでも体温の上昇やいつもの様子と違うなと思ったらすぐに体温を測りましょう。
平熱が高いと体温の低さにも気づきにくいというデメリットもあるので、自己判断せずにきちんと測定することが大切です。また、動物は言葉を発することができないため自分の身体の不調を訴えることができません。毎日の観察が異常や病気の早期発見に繋がりますが、発熱を明確に知ることができる体温測定は特に有効な方法といえます。
愛犬が発熱している場合、元気がなくなったりぐったりしている、食欲がないといった症状を引き起こしますがそれが発熱が原因だと気づかない飼い主さんもいるので、普段から愛犬の平熱を気にしてあげると症状が軽いままで済みます。症状が進行してしまうと普段より息が荒かったり歩き方がおかしくなるワンちゃんもいます。症状に気づいてから体温を測定するよりも定期的に測るようにして習慣付けておくとより安心です。毎日の体温の変化が一目みてわかるので症状の予兆に気づくこともあります。
ワンちゃんは、身体の体温は高いですが基本的に耳や足先、尻尾といった部分は冷たいのが特徴です。もし、これらの部位が熱かったりした場合はなんらかの異常をきたしている可能性があります。体温計で測定するのが確実ですが、すぐに確認したいときなどは耳や尻尾を触って確認してみるのもひとつの手です。
2.犬の体温の計測方法
ワンちゃんの体温を測るときは、脇や口だと正確に測れない可能性があるため肛門に入れて測ります。
まずは、愛犬の尻尾の付け根を掴んで持ち上げます。そうすると自然と肛門が開くので体温計を入れやすくなります。体温計は肛門に3~5cmほど入れて愛犬が暴れないように身体を押さえながら測ります。体温計にオイルなどをつけると肛門に入れやすくスムーズに測ることができます。
ちなみに、体温計はホームセンターなどで販売しているペット用のものを準備します。人間用でも測ることはできますが安全で正確に測るならペット用を使うのがおすすめです。また、測定するときはより正確に測れるように愛犬が安静の状態でいるときに行い、腸にウンチがある場合も正確に測ることができないため排便後に測るということも忘れないようにしましょう。
3.熱があるときのサイン
元気がなかったり呼吸が荒い、舌が赤くなっていたりすると発熱している可能性があります。また、冷たい床で休んでいたりおしっこの量が減る・色が濃くなるといった症状の場合も注意が必要です。こういった症状を発見したらすぐに体温を測って確認するようにしましょう。
4.発熱から考えられる病気は何がある?
様々な病気の可能性があるため特定することは難しいですが、発熱の仕方など症状から予測することはできます。たとえば、急激に体温の上昇がみられた場合細菌やウイルス感染、呼吸器や消化器系の異常、泌尿器の病気などが考えられます。ほかにも心臓や腎臓に異常が出ている可能性も。
病気以外でも耳や目、口が化膿していたり打撲や筋肉が傷ついている場合でも発熱することがあります。食中毒や薬物中毒、脳の病気から発症するケースもあり、この場合防ぐことは難しく症状にどれだけ早く気づくことができるかが重要です。薬物中毒は、薬の誤飲が主な原因なので取り扱いには注意しましょう。
5.発熱以外に嘔吐や下痢がある際に考えられる病気とは
①カンピロバクター感染症
その名の通りカンピロバクターという細菌に感染して発症する病気です。この細菌は、健康体であるワンちゃんも含めすべての腸に存在しています。感染すると腸炎になり微熱、下痢・嘔吐の症状がでます。
②犬レプトスピラ感染症
人にも感染するレプトスピラは人獣共通感染症と認定されています。そのため、家畜伝染病予防法で届出が義務化されている病気です。症状が出ないケースもありますが、出た場合様々なトラブルを引き起こします。発熱や食欲不振、結膜の充血、嘔吐、血便が初期段階ですが、末期になると脱水や尿毒症などを併発。そうなると高確率で死亡してしまうという恐ろしい病気です。
③ジステンパー感染症
犬以外の動物にも感染する病気です。接触や飛沫などで感染するため避けることは難しいですがワクチンを摂取していれば感染することを防ぐことができます。そのため、ワクチン摂取をしていない子犬や免疫力が低下している老犬が感染しやすく、発症すると発熱と平熱を交互に一週間くらい引き起こします。
初期症状は目ヤニや鼻水、食欲の低下ですが、その後結膜炎や咳、血便・下痢といった症状がみられるようになります。重度になると肉球が厚くなって赤い斑、水泡、膿胞が出ます。末期になると痙攣や麻痺を起こし90%の確率で死亡します。稀に回復する場合もありますが失明や神経症状といった後遺症が残ってしまうことも。明確な治療法はなく予防するにはワクチン接種が必須になります。
6.発熱以外に咳がある際に考えられる病気とは
①ケンネルコフ
細菌やウイルス感染によって引き起こされる病気で伝染性気管支炎とも呼ばれています。特徴としては急な咳や発熱を起こし気温や体温の変化があったときにより咳が多くなるなどがあげられます。
②肺炎
40℃以上の高熱を発症し食欲低下、脱水症状を引き起こします。また、ひどい沈鬱状態になり動くことを嫌がることも。
7.発熱以外に鼻水や呼吸の異常がある際に考えられる病気とは
①喉頭炎
発症するとガラガラ声で吠えたりひゅーひゅーといった喘鳴音が呼吸をするたびにするようになります。咽頭と喉頭は繋がっているので一方が炎症してしまうとすぐに他へ波及し中耳炎や気管支炎といった二次トラブルを引き起こします。
②副鼻腔炎
症状はくしゃみ、鼻水、鼻出血などがあげられます。また、副鼻腔の腫瘍によって発症する場合もあります。
③犬伝染性肝炎
接触・飛沫感染する病気です。成犬の場合不顕性感染といって症状が現れないことが多いですが、一歳以下の子犬では致死率が非常に高く危険な病気です。症状は肝臓の炎症から嘔吐、発熱、下痢や腹痛が起こります。軽度ですと軽い発熱・鼻水が出る程度ですが、重度の場合は肝性脳症や虚脱、昏睡、痙攣などを発症し肺炎を引き起こす場合もあります。有効な治療法はないためワクチンで予防する必要があります。
8.発熱以外に斜頸がある際に考えられる病気とは
①中耳炎
一般的に感染症とアレルギー性の二つに分けられます。外耳炎から感染する場合も。中耳炎になると元気がなくなり首付近を触られるのを極度に嫌がるなどの仕草をみせます。早期発見により対処ができれば良いですが、炎症が神経にまで及んでしまうと運動失調や斜頸、顔の神経麻痺になってしまいます。難聴にかかっていたりしても素人ではわかりづらく症状を見落としてしまいがちの病気です。
②肺水腫
肺に水がたまってしまい様々な症状を引き起こす命に関わる病気です。基本的に心臓病や肺炎といった他の病気が原因で発症してしまいます。呼吸困難や咳といった呼吸症状が特徴です。
まとめ
ワンちゃんは人間のように言葉がしゃべれないので、体調が悪くても伝える事ができません。また、人間のように触って熱があるか判断することも難しいです。
日頃からワンちゃんの様子をよく観察し、様子がおかしいときは動物病院へ連れていきましょう。