【獣医師監修】猫の尿スプレーの原因は?猫のマーキングの意味と4つの対策

猫を飼っている飼い主さんであれば一度は遭遇したことがあるマーキングは、多くの飼い主さんが困ってしまうやっかいな行為です。そもそも猫がなぜマーキングを行うのか皆さんはきちんと理解していますか?理解をしていなければ対策もきちんと行うことができません。

そこで、猫がマーキングを行う理由や対策方法について詳しく説明していきます。マーキングと間違えやすい病気の可能性についても触れているので、愛猫の行為と照らし合わせて参考にしてみて下さい。

★猫のマーキングとは

猫がマーキングを行うのは、今いるエリアが自分のテリトリーだと強く主張していることの表れです。猫は群れで活動することなく単体で生活をする生き物なので、犬に比べて縄張り意識が非常に強く自分の臭いを付けるためにマーキングをします。

マーキングといえばおしっこだけと勘違いをしている人も多くいますが、実は尿以外にも体をすりすりしたり糞や唇の両側からも猫特有の臭いを発してマーキングを行っています。体を擦り付ける行為は猫がリラックスしている状態でのみ行うので喉を鳴らして甘えながら行うのが特徴です。

また、猫が一日のうちに幾度となくする爪とぎも代表的なマーキング行為です。いきなりガリガリ物凄い勢いで爪とぎをするときがありますが、これは自分が元気で力のある猫だとアピールするときに行います。こういった爪とぎをしているときは肉球から臭いを発し自分のテリトリーに入ってくるな!という信号を発していて多頭飼いをしているお宅であればよくみられる光景です。

★尿スプレーもマーキングの一種

猫を飼っていてもっとも困る行為といえばスプレー行為ではないでしょうか。基本的なマーキングよりも尿スプレーで発せられる臭いは非常に強烈で一度尿がかかってしまった場所はきちんと取り除かなければいつまでも臭いが残るのが特徴です。

猫がスプレー行為をするのにはきちんとした理由があり、精神的に不安定な時や新入りの猫が現れたときに行います。これはいつもよりも濃いおしっこをかけることで、縄張りを主張したり気持ちを伝えるための意思表示であるといわれていますがオス猫であれば発情しているメス猫にアピールするための性行動の可能性もあります。

尿スプレーはオス猫のみに見られる行為と思われがちですがメス猫もする場合があり、避妊手術後になくなるのが一般的ですが中には手術後も変わらずスプレー行為をする猫もいます。

★猫のマーキング対策4つ

・トイレが清潔かチェック

マーキング対策で一番重要になってくるのがトイレを清潔な状態で保つことです。猫は綺麗好きな動物なので基本的に汚れているトイレでは排泄をしません。不衛生なトイレが原因の場合もあるため常に清潔にしておくように心掛けましょう。スプレー行為とまではいかないにしろ、トイレ以外の場所で排泄をしたりふとんの上でおしっこをした時は精神的ストレスが原因の場合が多いです。

・スプレーのあとの臭いを取り除く

スプレーをした箇所は強く臭いが残るためきちんと取り除かなければまた同じところにマーキングをします。臭いに誘発されて行為が直らないこともあるので、スプレーした箇所はできるだけすぐに中性洗剤やアルコールでふき取り最後にペット用消臭剤で臭いを完全に除去するようにしましょう。

・多頭飼いの場合は様子をみることから

多頭飼いのお宅ではテリトリーを守るため常に縄張り意識をしている状態なのでスプレー行為を完全に止めさせることは難しいといえます。時間をかけて環境にじっくり慣れさせてあげることが重要ですが、マーキングをしている猫を判別しその子の体調や状態を気遣ってあげることも大切です。

スプレー行為はストレスや不安を感じているときにも見られるので生活環境と共に精神状態も逐一チェックするのが良いでしょう。

・膀胱炎など病気の場合もある

膀胱炎や糖尿病を患っているときも、トイレ以外の場所で排泄してしまう事があります。
膀胱炎の場合、常に残尿感があるので、膀胱に尿が貯まっていなくても排尿しようとします。
結果としてトイレ以外の場所でもいきんでしまい、点々と尿が落ちている状態になります。また、糖尿病や腎不全など、飲水量と排尿量が増える病気の時も、トイレまで我慢できずに粗相してしまうことがあります。日頃から排尿の様子をよく観察し、1回の尿量を把握しておくと、病気の時の排尿の異常に気づくのが早くなります。特にオス猫の尿路疾患は、発見が遅れると命に関わる状態になるので、注意が必要です。
いつもと違う変化に気づいたら、出来るだけ早く病院で診察を受けましょう。

・生活の変化がなかったか確認する

猫は繊細な動物なのでちょっとした生活環境の変化でストレスを感じマーキングをすることがあります。急にやり始めたという猫の場合、生活環境で変化がなかったかどうか思い出してみてください。特に、猫は食事をしたり寝たりする自分の大事な場所にトイレが置かれるのを非常に嫌がります。なるべくパーソナルスペースから離して周りから死角になっている場所に設置しましょう。

★あくまで叱らないことがポイント

愛猫が粗相をしたからといって決して怒ってはいけません。粗相をしてしまうのは猫のせいではなく飼い主さんやその家族、生活環境が原因の場合がほとんどだからです。粗相をした場合、叱るのではなくなぜそうなってしまったかを考え原因を追究することが大切です。生活環境でストレスを感じていないか、病気の可能性なないかを考え自分で判断できない場合は獣医師に相談するのがおすすめです。

★まとめ

マーキングは猫にとって自分の縄張りを守るための大切な行為であり無理にやめさせることはできません。しかし、飼い主さん次第で緩和させたりマーキングをする必要がない環境を作ってあげることはできます。

トイレを清潔にして多頭飼いであれば猫同士がのびのびと生活できる環境を整えることでストレスを軽減しマーキング行為を減らすこともできます。避妊手術で行為は軽減しますが、絶対しなくなるわけではありません。手術だけでなく、環境も併せて整えてあげましょう。
監修獣医師 立石 絵美

麻布大学獣医学科卒
「家族に寄り添ったオーダーメイドの医療」を提案、推進することを主体としたサービスとして、2017年春より「動物往診+在宅ケアサービス にくきゅう」を始動。
飼い主の話を聞くことで問題の本質を見極め、未病の段階でのケア、食事や日常の生活のアドバイスなどを行うことで、飼い主と二人三脚で行う医療を提供している。

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