【獣医師監修】フィラリア症の予防は毎年絶対に必要?予防の前に血液検査をするのはどうして?

【獣医師監修】フィラリア症の予防は毎年絶対に必要?予防の前に血液検査をするのはどうして?

毎年春先に、動物病院からフィラリア症予防のハガキが届くと、「この季節がやってきたか」と感じる飼い主さまも多いのではないでしょうか。うちは室内犬だから大丈夫?そんなことはありません!日本にはフィラリアを媒介する蚊が16種類もいると言われています。お散歩中、飼い主さまが窓を開けた際など、いつ蚊に刺されてしまうかはわかりません。

フィラリア症は危険な病気ですが、動物病院できちんと予防することで病気の進行を大幅に低減させることができます(補足として、フィラリア予防薬は「予防薬」と言ってますが、実は出ている全ての予防薬は駆除薬に当たります。ですので、「蚊に刺され感染はするものの、フィラリアの成長を抑えて重症化を抑える」ということで予防しているのです)。そこで今回は、フィラリア症の予防についてと、予防薬の投与の前になぜ血液検査が必要なのかを解説します。

★1.フィラリア症とは

フィラリア症の原因は?

犬糸状虫症(通称フィラリア症)は、フィラリアという長さが15~30cmの寄生虫が犬の体内(心臓や肺動脈付近)に寄生することで発症します。フィラリアは、感染幼虫を体内にもつ蚊に刺されることで犬の体内に侵入します。犬の体内に侵入した感染幼虫は、皮下組織や筋組織で約半年をかけて成虫となり、最終的に心臓や肺動脈に寄生するのが特徴です。

フィラリアの成虫のオスとメスが揃うと、ミクロフィラリアというフィラリアの赤ちゃんを生み出します。しかし、ミクロフィラリアは単体では成虫になることができず、一度蚊の体内に入り込むことで感染幼虫となります。そのため、蚊を媒介してフィラリア症の感染が拡大していくのです。

日本にはフィラリアの感染幼虫をもつ蚊が16種類いると言われています。感染を広げないようにするには、飼い主一人一人が予防を心掛ける必要があります。

フィラリア症の症状は?

犬の体に入り込んだフィラリアの感染幼虫は、犬の体内で徐々に成長し、やがて成虫となり、最終的に心臓や肺動脈付近に寄生します。フィラリア症になった犬でも、寄生しているフィラリアの数が少ない場合や、感染初期の場合は、目立った症状がみられないことが多いため、感染が見過ごされがちです。

長期間にわたり寄生されていたり、体内で成虫になったフィラリアの数が多かったりすると、徐々に症状が出始めます。体内に寄生しているフィラリアの数が多ければ多いほど、症状は重篤です。

心臓の内部や肺動脈付近の血管にフィラリアが寄生してしまうと、心臓や肺の働きが妨げられ、下記のような症状がみられ始めます。

  • 咳をする・息が荒くなる
  • 散歩など、運動を嫌がる
  • 食欲不振・急激な体重の減少
  • 嘔吐
  • お腹に水が溜まる
  • 四肢がむくむ

多くの場合は、愛犬が咳をするようになることで気づくようです。運動を嫌がるようになったり、食欲がなくなったりといった症状がみられる場合には、速やかに動物病院で相談しましょう。

フィラリア症の治療法は?

フィラリア症の治療法は、感染している期間や成虫の寄生数により異なりますが、以下の方法が挙げられます。
  • 予防薬の長期投与による駆虫
  • 外科手術による駆虫
  • 薬剤による駆虫

寄生しているフィラリアの数が少なく、目立った症状が確認されていない時期の場合には、予防薬を長期投与する方法が用いられます(ステロイド剤を併用することもあります)。
寄生数が多い場合、外科手術や薬剤によって駆虫しますが、手術の際の麻酔のリスク、体力的に犬が手術に耐えられないリスク、手術や薬剤投与後に死滅したフィラリアが血管に詰まってしまうリスクなどがあります。
いずれの場合も、フィラリアを駆虫することはできても、感染によって体内組織に与えられた障害は残り続けてしまうため、やはり感染を予防することが重要です。

★2.フィラリア症の予防について

フィラリア症は、重篤化すればほぼ100%死に至る危険性のある病気と言っても過言ではありません。ですが、正しく予防することで感染を防ぐことが可能です。

フィラリア症の予防薬の投与期間

フィラリア症の予防薬の投与は蚊の動きが活発になる前の5月から蚊がいなくなる12月にかけての8か月の間に行います(しかし、地域差があり暖かい地域では1年中投与が必要です)。まだ蚊の少ない春の時期だから、気象の関係で蚊の少ない年だからといって、投与を怠ることの内容に注意しましょう。一番大事なことは、蚊がいなくなった次の月まで飲ませることが重要です。

予防薬の投与は、必ず動物病院を受診して、フィラリアに感染していないかどうかを検査した後、獣医師の指示のもと行います。なぜかと言うと、重篤感染している場合、適切な薬剤の投与を行わないとフィラリアが大量に死亡し、その影響で犬の体への悪影響が生じてしまうからです。

フィラリア症の予防薬の種類

フィラリアの予防薬には、主に下記の4種類が挙げられます。
  • 錠剤タイプ
  • 注射が苦手な子には経口投与がおすすめです。ただし、お薬が苦手な犬の場合、飲ませるのが大変かもしれません。また、月に1回の投薬をうっかり忘れてしまう、飼い主の見ていないところで吐き出してしまう可能性があります。

  • チュアブルタイプ
  • お肉タイプ、おやつタイプなど、様々な種類のものがあるので、お薬が苦手な子でも飲んでくれると思います。ただし、錠剤タイプと同様、決まった日に飲ませるのを忘れてしまう、飼い主の知らない間に吐き出してしまう、形状が大きいので無理やり飲ませることができないためチュアブルが嫌いな場合は飲ませるのが難しいというデメリットもあります。

  • スポットタイプ
  • 経口投与でも注射でもなく、犬の首や背中付近に塗るタイプの投薬方法です。犬にとっても飼い主にとっても負担が少ないのがメリットですが、投薬後すぐのシャンプーができません。また、まれに皮膚が赤くなることがあります。

  • 注射
  • 他の投薬方法に比べ割高ですが、年に1回ないし2回の投与で済ませることができます。毎月の定期健診や、投与のし忘れは防ぐことができますが、体質によっては副作用がみられることがあります。

関連記事:愛犬を蚊から守ろう!自宅でできるフィラリア予防の方法を解説!

動物病院で、それぞれのメリット、デメリットを聞いたうえで、愛犬にぴったりの予防を行いましょう。

★3.フィラリア症の検査について

・予防薬投与の前には、フィラリア症の検査が必須!

フィラリア症の予防薬投与の前には、必ず血液検査を行います。
投薬期間を過ぎた後にフィラリアに感染していた場合、気づかずに予防薬の投与を行うと、アナフィラキシーショックを起こしてしまうことがあるからです。
そういったリスクがあるため、フィラリア症予防は飼い主の判断で中止したり、前年に残った薬を投薬したりせず、必ず動物病院の指示に従って行う必要があります。

・フィラリア症の検査

フィラリア症の予防薬投与の前には、血液検査によって感染の有無を調べます。
前年に、投薬を忘れてしまっていた期間がある、飼い主の知らない間に飲ませた薬を吐き出していたといったことがあると、知らない間にフィラリア症に感染している可能性があるからです。
毎月決まった日に投薬していたから大丈夫!と過信せず、投薬前には必ず血液検査を行いましょう。

フィラリア症は毎年正しく予防していれば、感染を防ぐことのできる病気です。
フィラリア症は一度かかってしまうと、駆虫することはできても感染期間に損傷があった体内組織はもとに戻すことができません。
それだけでなく、フィラリア症の感染に気付かないうちに別の犬に感染を広げてしまうという可能性もあります。エチケットの一環としても、予防に対する意識を高めていきましょう。

★4.【編集後記】フィラリア症は正しく予防しましょう

ここまで、獣医師の佐藤貴紀先生にフィラリア症についての解説をしていただきました。
フィラリア症の感染を防ぐためには、毎年の予防が必要です。愛犬の健康のためだけでなく、ほかのお家のワンちゃんに感染を広げないためにも、正しく予防したいものです。

春になり、狂犬病予防やフィラリアの時期が近づくと、動物病院は混み合いますよね。臆病な性格のワンちゃんや、動物病院で大人しく待っていることができないというワンちゃんは、動物病院に比較的空いている時間帯や、その時間の混雑状況を問い合わせてみると良いかもしれません。
ある程度混みあうのは仕方のないことですが、病院によっては予約優先制で診療を行っている所があったり、問い合わせた時間帯に混み合っていたら、比較的空いている時間帯を教えてくれたりといった対応をしてくれる所もあります。

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監修獣医師 佐藤 貴紀

専門は「循環器」。「獣医循環器学会認定医」の一人である。「一生のかかりつけの獣医師」を推奨するとともに、人間同様、動物の医療も、専門分野別治療、予防医療に力を入れている。どんな病気も諦めず、患者さんに寄り添う治療スタイルは飼い主さんからの絶大なる信頼を持っている。