【獣医師監修】猫はあまり水を飲まない動物って本当?どれくらいの量の水分補給が必要?

ネコちゃんと暮らしている飼い主さんの場合、あまりお水を飲まないけど、大丈夫かなと心配されている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

少ない気がするとは言え、ネコちゃんにとって本当に必要な水分量をご存知ですか?

今回はネコちゃんに必要な水分量や、水分摂取量が少ないことで考えられるリスクなどを紹介します。

1.猫は犬と比較すると水を飲まない

ペットとして暮らす代表的な動物は、ワンちゃんやネコちゃんと言えます。当たり前ですが、ワンちゃんとネコちゃんは身体の構造も必要な栄養素も異なります。

例えば、ワンちゃんは雑食に近い肉食で、ネコちゃんは完全な肉食です。完全な肉食なネコちゃんはワンちゃんと比較してたんぱく質を多く必要とします。

水分量で考えると、ワンちゃんよりもネコちゃんの方が水を飲む回数が圧倒的に少ないです。これは、リビアヤマネコという砂漠地に生息していた祖先の名残によると言われています。

砂漠ではお水は貴重です。少ない水分量で生命維持ができるように腎臓で尿を凝縮させ、体外に排出する水分量を減らすことが出来ます。

犬とネコの違い

 2.ネコちゃんにとって1日に必要な水分の量とは

少ない水分量で生命維持が出来るような身体の構造をしていると言っても、やはり水分補給は必要です。ネコちゃんの身体の60 ~70%は水分で出来ています。

水分補給をしなければ脱水症状を引き起こしてしまう場合もあります。一日に必要な水分量を把握しておき、チェックしながらしっかりと必要量摂取できるようにしておく必要があるでしょう。

ネコちゃんに必要な飲水量(あくまでも目安です)

体重×100ml(目安)
飲水量は個体差もかなりあるので客観数値よりも「なんでもない時にくらべて」少ないか多いかが大事です。

水分量の測り方

必要な水分量を把握することができたら、実際にネコちゃんがどれくらい水分を摂っているかを確認しましょう。

お水は一日中出しっぱなしにしない方が良いです。出しっぱなしのお水は飲まない子も多いので、目盛りの付いた給水器やペットボトルを使ってみましょう。

3.摂取する水分量が少ないと病気になる可能性も

摂取する水分量が少ないと、以下のような病気になってしまう可能性があります。

猫下部尿路疾患( FLUTD)

猫下部尿路疾患とは膀胱から尿道の間で起こる病気の総称です。膀胱炎や尿道炎、膀胱や尿道の尿石症などがあります。原因はさまざまですが、摂取する水分量があまりに少ないことも猫下部尿路疾患の原因です。

特に注意が必要な疾患の一つは尿結石です。尿結石により尿閉塞を起こすとわずか1日で死に至ることもあります。排尿姿勢をとるのに数滴しか出ない場合はすぐに動物病院へ連れていきましょう。

猫下部尿路疾患の主な症状

慢性腎不全

ネコちゃんが最もかかりやすいと言われる病気の一つが慢性腎不全です。腎臓はネフロンがたくさん集まっている臓器です。ネフロンは血液中の老廃物をろ過して尿として体外へ排出する役割を果たしています。

これは人間もワンちゃんも同じです。しかし、ネコちゃんはこのネフロンが人間やワンちゃんと比較するととても少ないです。

さらに、少量の水分で生命維持ができるように、尿を濃縮して排出します。尿を濃縮するという行為がネフロンを摩耗させていることが原因の一つではないかと考えられています。

慢性腎不全は、高齢のネコちゃんでよくみられますが、食事や給水、遺伝的な要因で若くてもなってしまう子もたくさんいます。10歳以上のネコちゃんは特に注意が必要です。 

慢性腎不全の主な症状

まとめ

ネコちゃんに必要な水分量などについてご紹介しました。もともと、ワンちゃんほどお水を飲まないネコちゃんですが、身体のいろんな機能に水分は不可欠です。また、身体の構造から尿を凝縮させるなど腎臓への負担が大きく、慢性腎不全などを発症しやすくなります。日頃から適切な水分を摂取させることはとても大切です。

お水を飲まないネコちゃんの場合には、お水を入れる容器や設置場所の見直しを行いましょう。飲まなすぎるのも心配ですが、お水をもみすぎている場合はもっと心配で、病気が隠れている可能性があります。

大事なことは、何でもない時にその子はどれくらいお水を飲んでいるか体感しておくことで、神経質に量を測る必要はありません。何気なく上げているお水の減り方をよく観察してみてください。水分量と排尿の量で、「体感からはずれている」時は、すぐに獣医さんに相談しましょう。

渋谷区どうぶつ病院ルル元院長。

10年間院長として活躍した豊富や診察経験他民放テレビやインターネット、雑誌や書籍などさまざまな媒体にも出演、寄稿している。

 

▶監修医のプロフィールはこちら