【獣医師監修】愛犬を蚊から守ろう!自宅でできるフィラリア予防の方法を解説!

犬がかかる病気として犬糸状虫症(通称:フィラリア症)があげられます。フィラリア症は寄生虫症の一種で、犬の心臓にフィラリアが寄生してしまうことで、最悪の場合死に至ることもある恐ろしい病気です。

蚊によって媒介されるフィラリアは、夏が近づき、蚊の増え始めるころになると、犬に寄生するリスクが上がります。特に屋外で犬を飼っている人にとっては深刻な悩みであると言えるでしょう。しかしフィラリア症を正しく予防することで、蚊が発生する時期も愛犬を守ってあげることができます。ここでは飼い主として愛犬にしてあげられるフィラリア予防や虫よけの方法について説明します。 

★1.犬がフィラリア症になる原因は?

フィラリア症は、蚊の媒介によって感染する病気です。蚊の中にはフィラリア症の犬を吸血したことにより、体内にミクロフィラリアと呼ばれるフィラリアの幼虫を持つ蚊がいます。ミクロフィラリアは蚊の体内で感染感染幼虫に成長し、蚊が別の犬を吸血する際にその体内に入り込みます。

犬の筋肉や皮膚の下で脱皮を繰り返した感染幼虫は、さらに大きく長いひも状の成虫となり、最終的には心臓や肺動脈に寄生するのです。感染初期でフィラリアが幼虫のうちに死滅する場合もありますが、生き残った感染幼虫が成虫になると、フィラリアが大きくなるにつれて咳や息が荒くなると言った症状が見られ始めます。

★2.フィラリア症の症状は?

発症の度合いが軽度の場合、ほとんど症状はありませんが、咳をするようになる、息が荒くなるといった症状がみられることがあります。中等度の症状としては、動きたがらなくなることが挙げられます。
お腹に水がたまってしまい膨れてしまう、四肢にむくみが現れるといった場合には症状が重度まで進行していると言えるでしょう。さらに進行すると失神をおこすことや、吐血することもあります。

また、フィラリアが大量に寄生している場合、大動脈症候群(急性犬糸状虫症)という急性症状を引き起こすこともあります。大動脈症候群の治療が遅れると死亡率が高まるため、早めの治療が必要です。

★3.屋外に出る犬への蚊対策

日本には、ミクロフィラリアを持つ蚊が16種類いると言われています。ですが、蚊に刺されたからといって必ず犬フィラリア症にかかってしまうというわけではありません。フィラリア症は、蚊の多くなる時期飼い主が欠かさず予防を行うこと、お散歩などの外出時に対策を行うことで、感染する確率を下げることができる病気です。

・フィラリア症予防薬の投与

フィラリアの予防薬としては錠剤、チュアブル、スポット、注射の4タイプあり、犬によっては注射が嫌い、飲み薬を嫌がることもあるので、愛犬のタイプに応じて選ぶことができます。フィラリア症の予防薬は、必ず獣医師の処方・指導の下で適切に投与しましょう。

まず、一般的な錠剤や、肉やオヤツの味や形状を持つチュアブルは経口投与(飲み薬)で使用します。

錠剤を嫌がる犬にはチュアブルを選ぶのがいいでしょう。おやつが好き、食べることが好きな犬には与えやすいのが特徴です。しかし毎月1回の投与が必要で、月に1回定期検診もかねて動物病院を受診する必要があります。まとめて数か月分処方される場合もありますが、与え忘れるリスクも高くなることを覚えておきましょう。きちんと与えたつもりでも、飼い主の見ていないところで犬が吐き出してしまうこともありますので注意が必要です。

スポットと呼ばれるタイプは犬の首や背中といった、犬の皮膚に直接フィラリア予防の液体を塗ります。塗るだけですので、犬が嫌がることが少ないのがメリットですが、まれに舐めてしまう犬もみられます。シャンプーするとせっかく塗った薬が流れてしまいますので、投薬後約1週間はシャンプーができません。犬によっては肌が弱く赤くなったり肌荒れしたりする可能性もあります。スポットの場合も月に1回、動物病院を受診する必要があります。

注射の場合には年に1回ないし2回で済みます。価格は割高に感じられるかもしれませんが、投薬をうっかり忘れる心配がありません。ただし注射の場合は、苦手な犬にとってはストレスになること、体への負担がかかることが考えられます。

フィラリアの予防薬は、寄生してしまったフィラリアの幼虫が血管に達する前に死滅させるためのもので、フィラリアが心臓に達するのを防ぐためのものです。錠剤やチュアブル、スポットの場合には一般的に蚊の出始める時期の1カ月後から与えはじめ、蚊の出なくなった1カ月後まで続けます。地域によって蚊の活動時期が異なるため、動物病院の指示に従いましょう。蚊があまり出ていないと感じる場合でも、飼い主の判断で予防薬の投与を中止することは避け、決められた期間中は必ず与え続けるようにしましょう。

・蚊を寄せ付けない虫よけスプレー

最近では室内で飼われている犬の方が多いですが、散歩やドッグランでの運動など、外出する機会も少なくありません。外出する前、外出中に使用できるのが、ペット用虫よけスプレーです。人間用の虫よけではなく、ペット用で、天然成分でできているものを選ぶと良いでしょう。
愛犬が肌の弱い子の場合や、皮膚科治療中の場合は、通院中の動物病院で獣医師にどのようなものを選ぶと良いか相談してみましょう。

・首輪タイプ・首輪に付けるタイプの虫よけ

一般に販売されている虫よけ・蚊よけグッズには、首輪タイプ・首輪に取り付けるタイプのものもあります。
手軽で、6か月ほど効果が持続するといった商品が多いですが、虫よけ(ノミ・ダニ予防、蚊除け)効果は、首輪の周りの局所的なものです。

スプレータイプの虫よけも、首輪タイプの虫よけも、効果を過信せず、春の内から予防を欠かさないことが大切です。

・蚊の嫌な匂いを放つ植物

室内飼いの場合は、よく開閉する窓辺に、屋外犬の場合は愛犬のスペースの近くに蚊の嫌がる匂いをもつ草花を植えるのも効果が期待できます。虫よけの効果がある植物としては、バジルやゼラニウム、ミント、ローズマリー、ユーカリなどがあり、古くから蚊取り線香の主原料としても使われてきました。

犬小屋の近くにそういった植物を植えることで少し犬に蚊が近づかないようにしてあげるのが良いでしょう。蚊取り線香も効果があります。天然成分のみで作られたペット用の蚊取り線香も販売されていますので、犬がやけどをしないように十分注意して設置してあげると良いでしょう。

★4.蚊に刺されたら、必ずフィラリア症を発症してしまうの?

蚊は、より体温の高いものに吸血する性質を持っているため、人間よりも体温が高い犬は蚊に刺されやすく、さらに毛におおわれているため飼い主が気づかないうちに刺されていることもあります。
フィラリアは、蚊に媒介され寄生しますが、犬に予防薬をきちんと与えていればフィラリア症の発症率を低減させることができます。フィラリア予防に重要なのは蚊に刺されないことはもちろんですが、フィラリアを犬の体の中で成長させないように感染幼虫の成長を抑止することであると言えるでしょう。

そのために飼い主としてフィラリアの予防薬を正しく与えることが肝心です。フィラリアの予防薬はこれまでに多くの犬の命を救ってきました。投薬は、動物病院で獣医師のアドバイスのもと、愛犬にぴったりの方法を選びましょう。

★5.まとめ

フィラリア症は、予防薬を使用していない場合には1年に30%もの犬が感染していると言われています。愛犬のためにも正しい予防薬を与え、フィラリアの寄生・成長を抑止することが飼い主としての役目であると言えるでしょう。虫よけ対策もさまざまな方法がありますが、犬の体に優しい成分のものを選ぶようにこころがけましょう。

自宅での虫よけ対策は、あくまでも虫刺されの予防であると考え、フィラリア予防には正しい予防薬を選ぶことが賢明です。家族の一員としての愛犬と、これからも長く仲良く暮らし続けるために、フィラリア症、虫よけの正しい知識を持ち、愛犬をフィラリアから守ってあげることが大切です。

専門は「循環器」。「獣医循環器学会認定医」の一人である。「一生のかかりつけの獣医師」を推奨するとともに、人間同様、動物の医療も、専門分野別治療、予防医療に力を入れている。どんな病気も諦めず、患者さんに寄り添う治療スタイルは飼い主さんからの絶大なる信頼を持っている。