【獣医師監修】犬の健康診断ではどんな事ができる?診断項目と料金について

愛犬はいつも元気で長生きしてほしいものです。毎日の食事や運動の他に、健康面で気を付けて行っておきたいのが健康診断の受診です。犬も人間と同様に、どこか悪いところがあってもすぐに症状が現れないものもあります。定期的に健康診断をしておくと、安心できるとともに、見過ごしてしまいそうな病気の早期発見にも繋がります。ここでは、犬の健康診断について詳しく解説していきます。

★1.犬の健康診断はとても大切

犬は具合が悪くても、本能的にそれを見せません。野生動物は弱っていても、敵に襲われないように弱っていることを悟られないようにするのと同じです。いつものように元気だと思い込んでいると、とんでもない病気が潜んでいて、最悪の場合手遅れになってしまうこともあります。

人も1年に1度は、企業や団体、あるいは個人で健康診断を受けることが推奨されています。同様に愛犬にもきちんと健康診断を受けさせましょう。健康診断は、かかりつけの動物病院で受けることができます。しかし、病院によって健康診断の料金は様々です。

★2.診断項目

・基本身体検査

問診と体重、体温を測定します。問診では、飼い主から健康状態や生活状況など普段の様子を聞きます。視診、触診で骨格、目、耳、口腔、皮膚を検査し、体表の腫瘍の有無を調べます。聴診で心臓や呼吸器に雑音がないか、打診などで内臓を含めて全身を検査します。歩き方を診て、関節に異常がないかを調べます。皮膚の状態が悪ければ、皮膚検査もします。5000円程度ですが、病院によります。基本身体検査に疑わしい点があった場合には、詳しい検査を加えるごとに検査料がプラスされます。

・便検査

便の色を確認し、潜血、回虫や鉤虫などの寄生虫の有無、腸内細菌のバランスなどを診ます。異物を食べていないか、消化機能が乱れていないか、腸内環境が整っているかなどがわかります。検査料は1000円から2000円程度です。

・尿検査

尿中のタンパク、糖、潜血、比重などから泌尿器系の疾患の有無を検査します。尿の色は、通常淡黄色から黄色ですが、濃い色や色がないような尿からは、何らかの病気の可能性が考えられます。尿のpHをチェックすることで、結石ができやすい体質であるかどうかが分かり、もし結石がすでにできていた場合には、その結石の成分を見分ける手だてになります。糖尿病や腎疾患も尿検査で早期発見につながることがあります。検査料は1000円から2000円程度です。

・血液検査(一般・生化学)

一般の血液検査では院内の血液検査機で貧血検査、炎症の有無や値をチェックし、白血球や血小板の数も検査します。生化学検査では、血液中の様々な物質の量をチェックすることで、多くの病気の可能性を知ることができ病気の早期発見につながります。もっと詳しい検査は、外部機関に依頼して調べることができ、アレルギー検査や甲状腺ホルモン検査をすることもできます。簡単なもので3000円程度ですが、生化学検査の項目が増えると10000円程度になる場合もあります。

・X線(レントゲン)検査

レントゲン検査では、全身の内臓、骨の画像が撮影されます。そこから、各臓器の大きさや形に異常が見られないか、全身の骨格・関節に異常が見られないかを確認することができます。
また必要とあれば、バリウムを飲ませてからレントゲン撮影して胃や腸の検査をしたり、造影剤を注射してからレントゲン撮影して血管の状態や血流の検査をしたりする場合があります。
いずれも病気の早期発見に有効ですが、暴れてしまってレントゲン検査が難しい犬もいます。

・心電図検査

心臓のリズムから、不整脈の有無がわかります。不整脈があっても、生理的なものもあり病的なものであるかの判断ができます。

・心臓エコー検査

心臓エコー検査では、心臓が拍動している状態をチェックします。心臓内部の血流や、心臓内部の弁膜の動きに異常が見られないかを確認でき、病気の早期発見につながります。

・腹部エコー検査

触診で異常があった場合、エコー検査で胃や腸、肝臓、腎臓など内臓の構造や動きを診断することもできます。前立腺や子宮など、生殖器に関する診断もできます。エコー検査は、犬に痛い思いをさせずに検査でき、内臓の動きまで調べることができて麻酔も不要なので負担が少ない検査です。

★3.理想的な検査頻度

健康診断は、少なくとも、成長が盛んな生後3~4ヶ月齢で一回、成長が少し落ち着く生後6~9ヶ月齢で一回受けるのが望ましいと思います。この時期には、愛犬が健やかに成長しているか確認してもらい、家庭でのしつけなどの心配事もあわせて相談されると理想的です。子犬は感染症にかかりやすく、病気を持っている場合には進行が早いので用心が必要です。ワクチン接種回数も多いので、負担にならないように獣医と相談しながら受けるとよいでしょう。
その時期を過ぎて、6歳くらいまでは年に1回の健康診断、7歳を過ぎて老犬になると様々な病気や関節の痛みなどが見られることも多いので、半年に1回受けるほうが安心です。

★4.犬に負担のないように

健康診断を受けると飼い主は安心できますが、犬にとっては精神的にも身体的にも負担がかかります。レントゲン検査は、犬が動かないように二人で押さえて撮影するのがほとんどなので、犬に恐怖心を与えてしまうことがあります。犬にとっては、かなりのストレスになりますが、検査による被爆は、自然界で浴びる放射線量の50分の1ほどと言われていて影響はほとんどありません。

病気の兆候や具合の悪い状態なら、様々な検査を受けさせるのは仕方のないことです。しかし愛犬が上機嫌で活動的なら、毎回全ての検査をするのではなく、普段は定期的な基本身体検査を受けさせ、獣医師と相談してレントゲン検査やその他の検査を入れていくようにすると、犬の負担も軽くなります。そしていつも目をかけて愛犬を観察することが一番です。

★5.まとめ

愛犬が元気にできるだけ長く生きてくれるために、健康診断は欠かせないものです。健康診断は、安いものではありませんが、病気の早期発見に役立ちます。平成26年度の日本獣医師会による調査結果によれば、上記の検査を全部含んだ1日ドックの健康診断の費用は平均で14000円程度になります。

それぞれの項目を詳細に検査する1日ドックは半日はかかり、当日は絶食する必要があります。費用は20000円から30000円と、病院によって異なります。どうしても動物病院を受診できそうもない犬や、時間的余裕のない飼い主さんには、郵送の健康診断を実施している会社もあります。尿や便、被毛などを郵送すると、いろいろな病気の可能性についての検査結果が返送されるシステムで、料金は5000円から15000円程度のようです。ただ、この検査では当然ながら、獣医師による触診や聴診と言った基本的な身体検査は含まれません。

愛犬の健康診断は、かかりつけの動物病院で行うのが一番確実です。まだかかりつけの動物病院が決まってない場合は、健康診断を受ける前に、どんな検査が受けられるのか、料金はいくらかかるのか、などについて直接問い合わせてから動物病院を選ぶ方法もあります。

信頼できる動物病院・獣医師を見つけ、定期的に健康診断を受けていくと、愛犬のいつもの状態を記録として残すことができます。そして回数を重ねていくと、以前の検査結果と比較して健康状態をチェックすることができる様になります。この事が病気の早期発見につながり、ひいては愛犬の長生きの秘訣となるでしょう。

北海道大学獣医学部卒業。

5年ほど動物病院勤務したあと退職し、現在は娘三人の子育て中です。子育てを通じて知り合った「ママ友飼い主さん」たちとの出会いはとても貴重で、その視点を大切にしていきたいと思ってます。

 

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