【獣医師監修】自分でできる愛犬の健康チェック~飼い主さんは病気を早期発見できる

ペットは家族の一員と言われるようになって随分経ちますね。特に犬は、名前を呼べばアイコンタクト、ちょっと様子を見ていただけでも駆け寄ってアイコンタクトと、愛情をいっぱい返してくれることが多い存在です。そんな愛犬の健康は、何ものにも代えがたいものです。そんな愛犬の健康のために、健康チェックを毎日の日課にしてみませんか。

★1.スキンシップをしながらココをチェック

・耳

犬の耳の汚れは、病気にもつながるので心配です。特にたれ耳の犬の場合、汚れや細菌が繁殖しやすいので毎日のチェックを怠らないようにしたいものです。
では、耳の健康チェックの基準はどのようなものでしょう。例えば、かゆがる様子もなく、匂いも少ないようなら洗浄液での耳掃除だけでほとんどの場合改善します。一方、耳からの悪臭や、耳たぶに腫れがある、かゆがったり痛がったりする、頭を振るなどの症状があれば、動物病院で一度診察してもらった方がよいでしょう。

もし、出血したり聴力に問題が出たり、たくさんの黒や黄色の耳垢が出る、首を傾けていたり、顔の麻痺などの症状がでている場合は、すぐに動物病院に連れていった方がよい状態だといえます。

・目

dog looking innocent eyes

目に関しては、目ヤニや涙の量をチェックしましょう。健康な状態でも多少の目ヤニは出るものです。もし目にゴミが入ってしまったら、犬用の目薬などで洗い流してふき取り、その後改善されていたら問題ありません。

動物病院に行くかどうかの目安は、充血や目の痒み、涙やけ、大量の目ヤニ、目の異物が取れないといった時です。緊急性の高い症状は、目の色が緑色や赤色に見え、目が大きくなった様に感じる場合です。緑内障が疑われるので、早めに受診した方が良いでしょう。

・口

続いて口のチェックです。歯石や歯のぐらつき、歯ぐきのはれがないかチェックします。もし、頑固な歯石がある場合や歯茎が赤く腫れている場合は、治療が必要になります。毎日の歯磨きが大切ですね。
もし歯や歯茎に異常がないのに口臭がひどく、水を沢山飲んでは尿を大量にする場合は、肝臓や腎臓の異常も考えられますので、急いで受診した方が良いでしょう。

また、よだれに血が混じったり、食欲不振や食べ物をうまく飲み込めない様子が見られる場合は、口の中に傷や炎症が認められたり、神経系の異常が認められる場合もあります。早めに動物病院を受診してください。もしワクチンを受けていなければ、感染症の可能性も否定できません。また、口の粘膜の色から、隠れている深刻な病気がわかることもあるので、歯茎が白っぽかったり、青白かったりしたときは至急、受診しましょう。

・鼻

くしゃみ、鼻水、咳を頻繁に繰り返す場合、感染性の病気やアレルギー、異物が鼻腔内に残っていることなどが考えられます。さらに熱がある場合は、早めに受診した方が良いでしょう。急を要するのは、呼吸困難や食欲がない、水が飲めない、鼻が変形した場合です。その他、ワクチンを受けていない場合、風邪に似た症状でも、重篤な病気に繋がるものもあります。ワクチンは忘れずに接種するよう心がけましょう。

・おしり

肛門やその周囲が便で汚れていないか、肛門線の分泌物は溜まっていないか、腫れたり、痒がったり、炎症を起こしている部分がないかなどをチェックします。肛門腺の分泌物が溜まっていたり、違和感がある時は、お座りした姿勢でおしりを床に擦りつけることがあります。肛門腺の分泌物を絞り出す必要があります。難しい場合には、ペットサロンや動物病院で処置してもらえます。炎症が起きて、痛みがある場合は、早めに動物病院を受診した方がいいでしょう。

・皮膚・被毛

ブラッシングする際に、舐めた跡や毛玉がないか、地肌にしこりがないか、赤みや湿疹がないかなど、目と手でチェックすると、その異常に早く気づくことができます。ひどく痒がったり、皮膚に赤みがあったり、湿疹や掻き傷があったら受診した方が良いサインです。ノミ、ダニなどに感染している可能性があります。尻尾の付け根付近に黒く小さい粒が付いていたら、ノミの糞かもしれません。

また、脱毛がある場合も皮膚病の可能性があるので、受診した方が良いでしょう。
その他、フケが多く、脂っぽい、体臭がきついなどの症状も細菌や真菌、アレルギーが原因かもしれないので、獣医さんに相談してみると良いでしょう。

最も緊急度が高いのは、皮膚の色が黄色がかっていたり、赤紫や青紫色になっている場合です。赤紫や青紫の場合は皮下出血の可能性があり、黄色がかっている場合は、黄疸の可能性があります。黄疸の場合は、白目や歯茎も黄色がかっていないか確認しましょう。そのような症状を発見したら動物病院に連れていくサインです。

★日々の生活の中でココをチェック

・体重・体型

人間も犬も肥満は健康の大敵です。食事の量や運動量など体重管理をきちんとしてあげましょう。管理していても急激に太ったり痩せたりする場合は、病気が隠れている可能性もあります。心配な時は獣医さんに相談しましょう。目安としては、犬種にもよりますが、適度な脂肪に覆われていても背骨や肋骨には触れ、筋肉も発達して弾力がある状態です。

・息・呼吸

運動をした時や興奮した時、リラックスしている時や寝ている時、また、暑いときや涼しい時など、状況により呼吸の状態は変わるものです。普段の状態を把握しておきましょう。そうすると、いつもと違う時にすぐに気付くことができます。

もし、運動後でもなく、興奮もしていない、暑くもないのに息が荒い場合は、呼吸器や心臓の異常が疑われますので、すぐに動物病院を受診してください。また、犬は、暑さに弱いため、夏場や閉めきった室内・車内では熱中症が疑われることもあります。息が荒くぐったりして体が熱くなっている時には、まず第一に体を冷やしてから、急いで動物病院を受診してください。
また、呼吸する時にぜーぜー、ヒューヒューなど音が伴う時も何か病気が隠れているかもしれません。異変を感じたら、早めに受診すると安心です。

・おしっこ・うんち

うんちも健康チェックに欠かせないものです。日頃から量や臭い、色、回数、固さ、排泄する際の様子など観察しておきましょう。例えば下痢や軟便の場合、子犬や老犬の場合は早めに処置した方が良い場合もありますが、元気で食欲もあるようなら多くの場合、問題ありません。

しかし長期間続いたり、便に少量の血液が混ざっていたり、便の中に虫を見つけたりしたら早めの受診が必要です。また、便に混ざる血液の量が多い血便の状態や、同時に嘔吐をする、急激に痩せてきたなどの症状があれば、至急受診した方が良いでしょう。
一方、便秘の場合は、一過性のものなら心配ありませんが、排泄しない日が続いたり、おなかが張ってきたら急いで受診しましょう。

続いておしっこのチェックです。おしっこの色、におい、量も日頃から確認しておきましょう。特に尿の色や状態は隠れた病気を知らせてくれます。例えば、糖尿病や腎臓に異常がある場合、大量の水を飲むため、尿の色は薄くなります。赤や褐色の場合、血尿の可能性が高いですし、濃い黄色の場合は黄疸などが考えられます。このような場合は至急受診が必要です。

・歩き方

歩き方に異常が見られる時は、関節や肉球、爪などに痛みがある可能性があります。外傷がある場合は、早急に手当てをして、外傷がない場合は、関節の病気の可能性もあるので、受診した方が良いでしょう。また、足に問題がないのに散歩を嫌がるような場合、循環器や呼吸器、ホルモン異常などの病気が隠れている場合もあります。運動している時に失神したり、動かなくなることがあれば、早急に受診した方が良いでしょう。

・水分量

飲み水の量は、運動後や暑い日などは増えるものです。しかし、水を多量に飲む状況とは思えない時でも多飲する場合は、病気が隠れている可能性があります。その判断のためにも、普段の飲み水の量を把握しておくことが重要です。

・食欲

食欲は、最もわかりやすい健康のバロメーターではないでしょうか。だからこそ食欲がなく、元気がない日が続くと要注意です。病気以外にストレスにより食欲をなくすこともあるので、下痢や嘔吐、咳、くしゃみなどの症状がない場合は、様子を見ておくだけで良いでしょう。もし、食欲以外の異常も同時にある場合は、早急に受診した方が良いサインです。

犬は我慢強い生き物です。人間は愛情と心配りさえ忘れなければ、その我慢強さの中のサインを見抜ける生き物です。普段から注意深く見守っていれば、愛犬はしっかりとサインを送ってくれます。そのサインをキャッチすることが、たとえ病気になっても早期発見に繋がり、病気の進行を遅らせたり、病気を根治させたりすることに繋がるのです。でも健康チェックがストレスになるのは考えものです。スキンシップの中で互いに楽しみながらできるように少しずつ実行してはいかがでしょう。
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