【獣医師監修】病気の可能性も!犬が拾い食いで吐く場合にチェックするべき5つのこと

ワンちゃんは、飼い主の許可を得ずに勝手に落ちているものを食べる「拾い食い」をしてしまうことがあります。そして、細菌が増殖した食べ物や異物を飲み込んだあとに嘔吐してしまうこともあります。ワンちゃんが嘔吐してしまったときの対処法や注意するべきポイントなどについて、くわしく解説します。

■ワンちゃんが吐いたら、まずは嘔吐物を確認しよう

ワンちゃんが吐いたら、どんな場合でもまず吐き出してしまったものをよく確認しましょう。嘔吐物の内容で、ある程度吐いてしまった原因を推測することができます。

●嘔吐物が消化された状態のものだった場合

嘔吐物が食べたものの原型を残していない状態だった場合、食べ過ぎ、拾い食いによって傷んだ物を食べたことによる胃腸の炎症になっている場合が多いです。

何度も嘔吐するようでなければそれほど問題ありませんが、様子を注意深く見守りましょう。痙攣や激しい嘔吐がある場合は、タバコや薬品、チョコレートなどによる中毒症状の可能性もありますので、早急に動物病院へ連れていきましょう。

また、気をつけておきたいのが感染症を原因とする嘔吐です。感染症にかかっている場合は嘔吐と下痢がどちらも起こることが多いので、ワンちゃんが嘔吐してしまったら下痢の症状がないかも確認しておきましょう。

●白や黄色の液体が混ざっている場合

白い泡状のものや黄色い液体が嘔吐物の中に混ざっていると病気になってしまったのではないかと心配になる方も多いかもしれませんが、多くの場合そうした液体は食べ物を消化する際に出るものですので、それほど問題ありません。何回も繰り返し嘔吐したり、体調が悪そうな様子がなければ心配する必要はないでしょう。

●血液が混ざっている場合

吐いた物の中に血液が混ざっているときは、病気になっている可能性が疑われます。血液が混ざっている原因や対処法については、次の項目で詳しく解説します。

■こんな状態の場合は問題あり

犬という生き物はよく嘔吐する動物ではありますが、嘔吐と別の症状が併発していたり、明らかにいつもと様子が違う場合は何らかの問題を抱えている可能性があります。ワンちゃんの様子をしっかりとチェックし、適切な判断をするようにしましょう。

① 熱が高い

嘔吐とともに発熱が見られる場合は、ウイルスや細菌などによる感染症にかかっているかもしれません。また、食べ物や薬品による中毒症状によって発熱するケースもあります。場合によっては命にかかわりますので、早急に動物病院を受診しましょう。

② 下痢を伴う

嘔吐と下痢の症状が両方ある場合は、ウイルス性の感染症や腸炎にかかっているケースがあります。脱水症状やショック状態など深刻な状態に陥る危険性もありますので、嘔吐・下痢・発熱など複数の症状が見られる場合は早急に動物病院を受診しましょう。

③ 嘔吐物に血液が混じっている

嘔吐物に血液が混じっているときは、なんらかの病気になっている可能性があります。ワンちゃんが血液の混ざった嘔吐物を吐くときは、混ざっている血液の色をチェックしておきましょう。色が黒に近い赤色だった場合は、病状が重くなってしまっている可能性があります。できるだけ早急に動物病院を受診し、適切な治療を受けさせることが大切です。

④ 嘔吐の回数が多い

熱や下痢などがなく嘔吐物に血液が混ざっていないときは、それほど心配する必要はありません。しかし、嘔吐の回数が多いときはなんらかの病気が原因となっている場合があります。

また、病気が原因となっている場合以外にも、室内に置いていた殺虫剤や消臭剤など、ワンちゃんの体に有害なものを誤って食べたり飲んだりしてしまったことによる中毒症状が起こっているケースもあります。そうした場合はワンちゃんが誤って口にしてしまったと疑われるものを持参して動物病院を受診しましょう。

④ 嘔吐した後、ぐったりしている

下痢や熱といった目立った症状がない場合でも、吐いた後にワンちゃんがぐったりして、明らかにいつもより調子が悪そうな場合はなんらかの病気になってしまっている可能性があります。念のため病院へ連れていき、医師の意見を仰ぎましょう。なるべく早く動物病院を受診しましょう。

■疑われる病気の種類

ワンちゃんの嘔吐には、さまざまな病気が隠されている場合があります。ワンちゃんの嘔吐から疑われる病気について詳しく解説します。

① 消化器系の病気

ワンちゃんが嘔吐を何回もくりかえしたり、嘔吐物に血液が混ざってしまったりしているときは、消化器系の病気になっていることが疑われます。特に多く見られるのは、胃潰瘍や胃腸の腫瘍といった病気です。こうした病気になると栄養が思うようにとれず、衰弱してしまう可能性もあります。できるだけすみやかに動物病院で対応してもらうようにしましょう。他にもおもちゃなどの消化できないものを飲み込んでしまった場合、胃や腸につまってしまい、手術などの治療が必要な場合もあります。

② 感染症

細菌やウイルスによる感染症が原因で嘔吐などの症状が引き起こされる場合もあります。子犬や高齢のワンちゃんにとっては命の危険にさらされる可能性もありますので、激しい嘔吐と発熱などがみられる場合は急いで動物病院を受診しましょう。

まとめ

ワンちゃんの嘔吐はそれほど心配する必要がないケースがほとんどですが、熱や下痢など他の症状が併発されていたり、いつもより元気がないときはなんらかの病気が原因になっている場合もあります。愛犬が苦しんでいるのを見ているのはつらいものですが、様子をよく観察し、慌てず冷静に対処することが大切です。
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