【獣医師監修】犬のよだれが大量の時にチェックするべき6つの事~犬はよだれが多いもの

夏になると犬のよだれの量が多くなってきます。汗をかけない犬は、口を開けて体温調整をします。その際、よくよだれが出ることがありますが、これは体を冷やすために必要な、正常な作用です。他にも「待て」をしている時にも、当然よだれは出ます。しかし、いつもと様子が違う、いつもより大量に出ている気がする、そのような時には注意が必要です。

★1.犬のよだれの量がいつもより多いか

まず、実際によだれの量がいつもより多いかどうか、チェックしましょう。犬は基本的によだれが多い動物です。そして口先の短い犬種や下唇の垂れている犬種はよだれが多い傾向にあります。
しかし、明らかに多いという場合には注意が必要です。そのような時には、血が混ざっていないか、変なニオイがしないか、あぶく状になっていないかをチェックしましょう。そのような時は何かの病気のサインかもしれません。

★2.犬が病気ではないか様子をみよう

・口の中はどうか

まず、口の中をチェックしましょう。歯や歯茎の間に物が挟まっていると、犬はそれを気にして口を開いたままにしていることがあります。すると異物を押し出そうとして大量のよだれが出ます。その場合には口内の異物を取り除いてあげましょう。よだれに血が混ざっている場合は口の中を怪我している可能性があります。

・よだれのニオイは通常通りか

次にニオイを確認しましょう。よだれが沢山でる原因の一つに、口内炎や歯肉炎などの炎症があります。その場合は口臭もひどくなっている場合が多いです。

犬のよだれが大量に出る原因で最も多いのは、この口内の炎症です。犬の口内炎の原因は人間とは違い、歯による物理的な刺激がほとんどです。若い犬の場合は抜け切れずに残った乳歯が原因となることが多いです。

老犬の場合は歯肉炎などで犬歯が歪んだり飛び出したりすることで、本来当たらないはずの歯肉に歯が当たってしまって発症するケースが多いです。口内炎は日頃から口内のチェックをすることで早期発見が可能です。赤く腫れていたり、白っぽく変色していたりする場所があれば、かかりつけの動物病院に行きましょう。

・直前に何を食べたか

要注意事項の一つに、食事内容があります。人間には問題のない食べ物でも、犬にとっては毒となってしまう物がいくつかあります。

そのひとつがチョコレートに含まれるカカオです。犬がカカオを食べてしまうと、大量のよだれや嘔吐、痙攣、発熱や下痢などの中毒症状を現します。その場合には大至急、動物病院へ連れて行きましょう。カカオは良い匂いがするので、犬は食べたがります。間違って食べてしまわないよう、届かないところに保管しましょう。

他にも、よだれの量はそれほど増えませんが、ネギ類やアボカド、ブドウなども中毒の原因となります。犬と人間では体の作りが異なります。人間が食べて大丈夫だから犬も食べられると考えるのは大間違いです。

また、殺虫剤や農薬などの薬品類やタバコを食べてしまったときも、よだれが大量に出て震え・痙攣などが見られることがあります。そのような場合は、至急動物病院を受診してください。お散歩中の拾い食いにはくれぐれもご注意ください。

・何かを飲み込んでないか

食道に物が詰まってしまっている場合にもよだれが大量に出ます。詰まっている異物を吐き出そうとしても吐き出せない場合、よだれだけが出てしまうという状態です。その場合、苦しさから喉の辺りをかきむしるような仕草を見せたり、頭を上下左右にふったり、落ち着かない様子になることが多いです。

犬は食べ物を噛み砕かずに、食道を通る大きさのものであれば大抵丸飲みしてしまいます。そのため、食べ物以外の物も誤って飲み込んでしまうことがあります。こうした症状は異物を飲み込んだり、一気に食事を食べたりする子犬によく見られます。この場合にもやはり、動物病院へ行きましょう。

奥の方で詰まっているなど、場合によっては手術が必要となることもあります。予防方法としては、犬の生活環境に、口に入れやすく、喉に詰まりやすい物は置かない、屋外では行動に注意し、何かを口に入れた際には止めるといった、日々の注意や観察が最も有効です。

・乗り物酔いではないか

乗り物酔いをした際にも大量のよだれが出ることがあります。他にもあくびをしたり、心細く鳴いたりなどの症状が見られます。乗り物酔いの原因は人間と同じですが、過去に乗り物で嫌な思いをしたことがあると、心理的な要因で酔ってしまったりすることもあります。

乗り物酔いをしやすい犬の場合、こまめに休憩を取る、乗る前に食事をさせない、体を固定して揺れを最小限にするなどの工夫をすることで、乗り物酔いを防ぐことができます。そして、「乗り物=楽しい!」と思わせるよう、ドッグランに連れて行くなどをしましょう。他にも、車酔い防止のアロマなども販売されています。

・熱中症ではないか

呼吸が荒く、ぐったりと元気がなく、大量のよだれを出している場合は熱中症の可能性もあります。汗をかけない犬は元々、暑さには弱い動物なのです。熱中症は気をつけないと死に至ることがあるので注意が必要です。

犬にとって危険な温度は非常に低く、気温22度、湿度60%がひとつの目安となっています。また、犬は人間よりも体高が低いので、地面からの放射熱の影響を強く受けます。呼吸が荒い、体温が高いなどの症状もあった場合には濡れタオルをかけるなど、体を冷やす工夫をして動物病院へ行きましょう。
熱中症は予防が重要です。夏の炎天下での運動・散歩は控え、涼しい時間帯を選んで行ってください。

★3.動物病院に行けば検査してくれる

大量のよだれが出る原因の中には生死に関わるものもあれば、しばらく様子を見れば落ち着くものあったりと様々ですが、命にスペアはありません。もし、いつもと違うな、様子がおかしいなと不安に感じたならば、急いで迷わず動物病院に行きましょう。動物病院に行けば検査をしてもらえます。そして的確な処置をしてもらえます。自分で勝手に判断をしたために間違った処置をしてしまい、助かる命を助けられなかったとなれば、悔やんでも悔やみ切れません。

大切な家族の一員である愛犬。彼らは私達と違い、言葉を話すことは出来ません。そして飼い主に対して絶対の信頼をおいています。可愛らしい仕草で私たちを和ませてくれます。

そんな大切な愛犬の命を守るのは飼い主の役目です。そのためにも、人間と犬との違いをしっかりと理解し、日頃から体調や行動をよく観察しておきましょう。そして、わからないことは無理に判断するのではなく、専門家である獣医さんに尋ねましょう。どのようなことでも快く、細やかに教えてくれるはずです。それでは、あなたの可愛らしいパートナーと共に、素敵な日々をお過ごしください。
監修獣医師 横川 まどか

北海道大学獣医学部卒業。
5年ほど動物病院勤務したあと退職し、現在は娘三人の子育て中です。子育てを通じて知り合った「ママ友飼い主さん」たちとの出会いはとても貴重で、その視点を大切にしていきたいと思ってます。

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