子猫の内は運動量も多く、新陳代謝も良いので太るという心配はほとんどありません。
ところが室内飼いによる運動不足や、避妊、去勢手術によるホルモンバランスの変化により、成猫になったあと太ってしまう猫が増えています。
さらに太ったことで関節部分に負担がかかり、動くことを嫌がるようになります。動かないのでさらに太りやすくなるという悪循環も起こりがちです。肥満が進むと、ヘルニアや関節炎、糖尿病や、突発性肝脂肪症のリスクも上がるなど、内臓に負担がかかり、寿命を縮めることにも繋がってしまいます。
★どれくらい痩せたらいいか?
多くの猫はだいたい3.2kg~4.5kgが適正体重です。体格の大きな猫では5.5kg、とりわけ大型の種類(ノルウェイジャンフォレストキャットなど)の場合は7kgまで適正であることもあります。適正体重より15%以上重ければ、肥満と考えます。
また、見た目から、おなかにくびれがない、胸をさわっても、肋骨に触りづらいといったことからも、肥満が疑われます。その際に注意すべき事は、首や太もも部分のお肉は多少あっても問題ないという点です。この部分は元々、身体を守るための防護服みたいなものです。この脂肪や皮膚のたるみのおかげで、ケガから守り首や足の付け根に通る太い血管を保護する役割を持ちます。
★食事はどれくらい減らす?
・1週間で今ある体重の1%~2%程度減らすのが理想
まずは1週間のうちに減らしても良い体重を把握しておくことが肝心です。およそ体重の1%~2%程度が健康的に痩せている数値といえます。カロリーでいうと現在の摂取カロリーから20~30%ほど減らすのがちょうど良いです。もし1週間以内に1%体重が減らなかった場合には、もう10%ほど摂取カロリーを抑えてみて様子を見ましょう。
・成長期
・成長期過ぎたら体重1kgあたり64kcalの食事
なお、水分補給は十分に行えるよういつでも好きな分だけ飲めるようにしておきます。
このような方法を1週間続け、1週間の目標体重になるようにしていきます。そしてまずは1ヶ月チャレンジするようにしましょう。その間、こまめに体重を記録して、その子にとってどんなダイエット法が一番合っているかを見きわめましょう。
★肥満猫の急な食事制限が危険な理由
猫は、フードを突然変更すると、味や香り、舌触りなどの変化をいやがって全く食べなくなることがあります。猫は蛋白質を多く必要とする動物です。肥満猫の場合、絶食によって蛋白質不足になると、肝臓で中性脂肪の代謝がうまくいかなくなって急激に蓄積すると考えられており、その結果、命にもかかわる突発性肝脂肪症を発症してしまうことがあります。おなかがすけば食べるだろうと思いがちですが、いやなものを食べるくらいならガマンする方を選ぶ猫もいます。たった3日間何も食べないでいるだけで、肝臓に脂肪が溜まってしまうと言われているので、低カロリーフードへ切り替えるときは、4~7日ほどかけて徐々に行うようにして、急激な食事制限とならないようにして下さい。
また、一般的に、ダイエットをする上で運動は欠かせませんが、人間と違って、猫は長時間の運動はできません。そもそも猫は気が進まないことはやらないので、基本的に運動によって猫の体重を減らすことは難しいと考えましょう。
猫のダイエットは、無理のない食事療法で理想体重に近づけつつ、少しずつ運動も増やしていくというやり方がおすすめです。
★おすすめの運動ダイエット
そこでオススメの運動法は音のでるおもちゃを与えてみることです。猫は耳が良いので、音のなるものに敏感に反応します。
さらに音の出るものが動くということに興味を引かれる猫も多いです。色々なおもちゃを試しても猫の反応が良くない場合には音の出るおもちゃを使って見るのも手です。
その他に、キャットタワーの設置もオススメです。猫は横移動よりも縦移動が得意な動物です。したがって高さをつけた物を設置したほうが、猫がすすんで使ってくれることが多いです。しかし設置し始めた頃は怖がって近寄ってくれないことも少なくありません。
そこで、猫の好きなおもちゃや、極少量のフードを置いてタワーに上らせてみると良いでしょう。少しずつ慣れていくことで、自分から遊ぶようになります。
猫によってタワーに興味を示さない子がいるので、まずは据え置き型のタワーのほうがいいかもしれません。
★まとめ
人間と同じような生活をしている猫は元々の体質と重なって太りやすいです。
健康を維持していくために体重管理・ダイエットは必要になることもありますが、健康を害するような内容では意味がありません。加えて、肥満猫の中には、ホルモン異常などの外からは気付きにくい隠れた病気がある場合もありますので、ダイエットを行うにあたっては、まず動物病院に連れて行って、疾病がないかを診てもらい、その子にあった安全なダイエットの相談をすることをお勧めします。