【獣医師監修】腎不全の猫が食事を食べない!単に療法食がキライだから?原因と対策とは

猫は歳をとると、人間に比べてとても腎臓病になりやすい動物です。近年、新しい良い薬も出てきましたが、現時点では、加齢によって徐々に機能低下を起こした腎臓は治すことができず、病気の進行を遅らせることしかできません。その為に家庭でできることは、病気のステージにもよりますが、基本的に毎日の飲み薬と、食事療法が中心となります。食事については、療法食に切り替える事が一番効果的なのですが、療法食を食べてくれない…という声も多く聞かれます。いったい何が原因なのでしょう?

★猫が療法食を食べない時の考えられる原因

色々な原因が考えられますが、腎臓病が進行していると、悪心や嘔吐といった症状が現れるので、食欲が低下し、慣れていない食事には手をつけづらくなってしまいます。また、病気になると好みが変わったり、食事を療法食に切り替えた時の環境ストレスも原因となることがあります。例えば、入院中などに療法食を出され、嫌な記憶と関連付けられてしまい、退院後、食べてくれない事もあるようです。

★そのままにしているとどうなる?

「折角用意した療法食を愛猫が食べてくれなかった…」と諦めてそのままにしていませんか?慢性の腎臓病は完治せず、進行していく病気なので、一般のフードだと、どんどん悪化していってしまいます。猫の祖先は、アフリカ北部・中近東の、熱く乾燥した砂漠地帯の出身です。なので、猫の体はそうした環境に適しており、体内の水分を腎臓で効率よく再吸収して尿を高濃縮することで、飲み水が少ししかなくても生きていけるようになっています。

しかし、そのハイスペックな腎臓ゆえ、長年の使用で機能障害が起きることが多いのです。その上猫は真性肉食動物で、腎臓に負担のかかる高蛋白な食事を必要とすることも相まって、慢性腎不全は高齢猫の宿命ともいえるほど、発生頻度は高くなっています。蛋白質を適度に減らした腎臓病用の療法食は、腎臓の負担を軽くし、腎不全の進行を遅らせることが実証されています。

したがって、腎臓病の早期から療法食によるケアを始めれば、寿命が延びる可能性が高いのです。そこで、療法食を食べてもらうためにできる工夫を紹介します。

★猫に療法食を食べてもらうための工夫

・ゆっくりと療法食に移行する

猫は最低でも7日、長いと4週間程移行にかかると言われています。いつもの食事に少量混ぜることから始め、ゆっくりと療法食の量を増やしていきましょう。

・適切な食器、場所を選ぶ。

お椀型の食器は避けた方がいいと言われています。猫は髭が食器に触れるのを嫌います。平らなお皿を選びましょう。場所はストレスのかからない、静かな所でゆっくり食べられるようにします。

・ストレスのかかっている時期は避ける。

入院中や退院直後等はできるだけ避けましょう。また、吐き気や、嘔吐のある時は与えないようにします。

・病気になると猫の好みが変化することもある。

ドライ派だったらウェットのフードにしてみたり、各メーカーがそれぞれ腎臓病食を様々なフレーバーで発売しているので、それらを試してみたりしましょう。また、ウェットフードなら、加熱するとより香りが立つので、レンジで人肌くらいに温めてみるのもおすすめです。その他、ドライフードに、マグロエキス、カニエキス、チキンスープなどを少量混ぜると嗜好性を高められます。

まとめ

療法食を食べてもらう工夫を紹介しましたが、腎不全の猫は食欲自体が低下するので、できるだけ好みのフードを探すという事も大事です。また、腎不全が進行すると、全身状態が悪くなり、吐き気、嘔吐、貧血、脱水などが起こりがちです。この場合は、まず、輸液やお薬などで全身状態を改善してから食事療法を始めましょう。慢性腎不全は、初期〜中期から治療を始めると、長いお付き合いになることが多い病気です。治療に対するモチベーションを維持するのは時として大変かもしれませんが、愛猫に、少しでも楽に過ごしてもらえるように、飼い主さんのできる範囲でケアしてあげましょう。

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