【獣医師監修】猫に多い腎臓病!予防のコツは?高齢の猫ほどなりやすいって本当?

猫で 7歳頃から発症する恐れのある慢性腎不全は、猫の死因として多く挙げられているので、非常に注意すべき病気といえます。

できる限り早いうちに発見して動物病院に受診することで、進行を抑えることができます。

1.猫の腎臓病とはどんな病気?

猫がかかりやすいと言われる腎臓病は慢性腎臓病と呼ばれるもので、ゆっくりと進行していき、徐々に腎臓の機能が衰えていく病気です。

シニアの猫の場合、3割 ~4割が腎臓病になっていると言われています。

腎臓には血中内の不要物を取り除いて尿として体外へ出す、ネフロンと呼ばれる組織があります。

血中の老廃物除去には欠かせないネフロンは、猫だけではなく私たち人間の腎臓内にも存在しますが、人間は2 00万個あるのに対して、猫はおよそ 20万個と言われています。もともとネフロンが少ないという点も腎臓病にかかりやすい理由のひとつと考えられています。

腎臓病は、そのネフロンが壊れることで腎機能に影響を与え、最終的には慢性腎不全へと発展します。慢性腎不全ともなると血中内の不要物を取り除く力が低下し、治療を受けたとしても壊れてしまった細胞は治りません。

【シニアの猫が発症しやすい理由】

シニアの猫の3割 ~4割が腎臓病を発症すると言われていますが、原因のひとつとして先程ご説明したネフロンが年齢を重ねるにつれて減少していくためと考えられています。

慢性腎臓病は進行が緩やかで気づかないことが多く、シニアになって慢性腎不全になってから病気が発見されるというケースがあります。

この腎臓病はどの猫もかかりやすい病気ではありますが、 7歳頃から増える傾向ありますので注意しましょう。

2.こんな行動や症状なら腎臓病を疑う

水を飲む回数が増えて

人間と同じように猫も加齢が原因で腎機能の低下が見られるようになりますが、水を欲することが多くなるのが変調のサインとなります。

猫の体重で必要量は変わってきますが、飲む水の量は 150から 200ccが一般的です。

トイレの回数が増えた

通常、猫は人間や犬よりも飲む水の量は少ないのですが、腎機能低下のサインとして水をよく飲むようになります。

それに加えてトイレの回数と排尿量が多くなるなど、今までとは違う異変が出てきます。

食欲が低下している

症状が進んでくると次に出てくるのが、食欲がない状態です。

老廃物や毒素など体にとって不要なものが蓄積されたことが要因し、食欲がないといった症状が出てきます。

尿のニオイがいつもと違う

猫の尿は犬や人間と同様の黄色で、水分摂取量も少ないために臭いがキツイのですが、腎不全ともなれば体内の不要なものをすべて取り込めないままに排尿されるため、通常の尿よりも色や臭いが薄くなります。

嘔吐する

体にとって不要な窒素化合物を体外へ出せないために、血中に蓄積されるといった腎臓病特有の症状が、嘔吐を引き起こす理由です。特に消化器系が左右されますので、具合が悪くなった結果嘔吐します。  

3.腎臓病の予防のためにできること

(1)食事に気をつける

できるだけ腎臓にダメージを与えないためには、早期の段階から食事に気を付けることが肝心です。

【フードを選ぶ時の3つのポイント】
1.良質なたんぱく質が適度に配合
2.リンやナトリウムが低い
3.オメガ3脂肪酸が含まれている

腎不全の末期ではたんぱく質を制限する必要があるため注意が必要です。また、腎臓の機能低下によってリンの排出が難しくなります。

少なすぎても良くありませんので、吸収されやすい良質なたんぱく質が適度に配合され、リンが少ないものを選んでください。

リンの取り込みをサポートする役割を持つビタミン Dも極力控えたい栄養素です。普段与えている食事に不安な場合は、獣医さんに相談した方が賢明といえます。

(2)定期的な健康診断の受診

診察を受ける猫の画像

腎臓病の早期発見や健康維持のために、年に1回は血液検査などの健康診断を受診しましょう。シニアになったら半年に1回、年2回の受診が望ましいです。

健康診断の料金や検査項目は病院によって異なりますが、血液検査は必ず行われます。また、近年では血液検査でSDMAという、腎不全の早期発見のための指標が測定できるようになったので、より早く慢性腎臓病が発見できるようになりました。

血液検査や尿検査は腎臓病の発見に重要な検査となりますので、定期的に受診してください。

まとめ

腎臓病は治すことが現状無理な病気ではありますが、ちょっとした変調をきっかけに動物病院へ受診すれば早い段階から治療を受けられますので、進行を抑制するサポートとなります。

普段の生活の中で、意識して様子を見る習慣を身に付けましょう。

腎臓病の初期症状を読み取るのは難しいですが、年齢を目安にしたりちょっとした違和感があれば、動物病院へ受診しましょう。

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