小さなドーベルマンのように締まった身体のミニチュアピンシャーは、機敏な動きと好奇心旺盛な性格でご主人を楽しませてくれる犬種です。
しかし、きちんとしつけをしないとワガママなだけの困った犬になってしまうこともあります。正しいしつけでミニチュアピンシャーとの素敵な関係を作りましょう!
1.ミニチュア・ピンシャーはこんなワンちゃんです!
(1)身体的特徴
ミニチュアピンシャーはその名のとおり小柄でありながら、ドーベルマンのように引き締まった筋肉質な体が特徴的なワンちゃんです。無駄な脂肪のないスラッと伸びた脚からも分かるように、運動能力はどんな犬種と比べても非常に高いと言って良いでしょう
オスとメスで大きな差はありません。
被毛はシングルコートで短毛のスムースコートなワンちゃんです。そのため、寒さは苦手です。冬場は防寒対策をしっかりとしてください。
立ち耳で短い尻尾が特徴ですが、これは狩りなどをする際に邪魔にならないように生後すぐに断耳・断尾されていたため、現在もそのまま断耳・断尾されています。
本来は少したれ耳で尻尾は細くて長く、一見するとミニチュアピンシャーとは思えないような可愛らしい姿です。
国によっては断耳や断尾を禁止している所もあります。断耳や断尾は賛否両論あるようです。
(2)性格的特徴
もともとは森や牧場などにあらわれる害獣を駆除するために改良された犬種でもあるため、性格は天真爛漫なテリア種と重なる部分も多く、活動的なライフスタイルを好みます。
見た目はドーベルマンのミニチュアのようですが、実際は、ダックスフンドやグレーハウンドなどを交配しています。グレーハウンドの従順さとダックスフンドの活発さを兼ね備えた犬種と言えます。現在では、愛玩犬として広く飼育されていますが、改良された当時の本来の性質もしっかりと継承されており、しつけをする際にはその特徴を理解した上で行うことが大切です。
特に気をつけたいポイントとして挙げられるのが、よくいえば好奇心旺盛、悪く言えば怖いもの知らずな性格についてです。自分より大きな相手にも躊躇なく立ち向かう攻撃的な一面もあるので、どんな場面でも主従関係をはっきり理解させることが大変重要になります。
ミニチュアピンシャーは、一度ご主人として認めた人には驚くほど従順です。しつけをするときには厳しく、遊ぶときには全力で遊ばせるというようにメリハリをつけるようにしましょう。
2.ミニチュアピンシャーのしつけポイント
(1)リーダーは飼い主さん!という認識を植え付ける
ミニチュアピンシャーは別名「脱走の芸術家」と呼ばれています。とにかく好奇心旺盛で好奇心が勝ってしまうことがあります。
しかし、リーダーには忠実な性格も持ち合わせていますので、飼い主さんがしっかりとリーダーになることが重要です。
(2)我慢も覚えてもらう
活発で陽気なミニチュアピンシャーは甘やかすとワガママ王子やワガママ王女に大変身します。そうなれば、ダメと叱っても、反抗期の子どものように歯向かうこともあります。
こうなったらもうお手上げ状態ですね。ちなみに、我が家のミニシュナも「君はピンシャーなんじゃないか?」と思うくらい、反抗期の子どもの時があります。犬種に問わず、甘やかしすぎると大変ですね・・・。
(3)しつけは「褒めてその気にさせる」
先にもお伝えしたように、ミニチュアピンシャーは叱ると逆効果となる可能性があります。そのため、褒める方法でトレーニングをすると効果的と言われています。
とにかく、上手にできたら褒めちぎり、その気にさせましょう。
3.ミニチュアピンシャーに必要なしつけの方法
(1)アイコンタクトを含む基本のしつけを行う
アイコンタクトはしつけの第一歩です。しっかりと飼い主さんを見ることが出来るようになるとコマンド(指示)も入りやすくなります。コマンドを出す時には必ずアイコンタクトをとってから行いましょう。
【アイコンタクトのトレーニング方法】
名前を呼ばれたら見るようにトレーニングをします。
まず、ワンちゃんの正面に座り、おやつをワンちゃんの鼻先に持っていきます。ワンちゃんはおやつに釘付けなはずです。*食べちゃわないように注意してくださいね。
おやつを少しづつ動かし、飼い主さんの目の当たりに持っていきます。
ワンちゃんの名前を呼び、目があったらすぐにおやつをあげて褒めます。
これを繰り返し、出来るようになってきたらワンちゃんとの距離を伸ばしたり、目を合わせる時間を伸ばしていきます。
アイコンタクトがしっかりと出来るようになると、スワレやマテという基本トレーニングがしやすくなります。
(2)トイレトレーニング
ミニチュアピンシャーが家族とお互いに快適に生活していくためには、トイレトレーニングは重要です。縄張り意識の高いミニチュアピンシャーは、家の中とはいえ放し飼いにしておくと色々な場所で粗相をしてしまいます。
そのため、最初は決まったサークル内での飼育がおすすめです。
もし失敗しても大きな声で叱ったりせず、トイレ内で出来たときには、思いっきり褒めてあげます。
ポイントはこの褒めることにあります。「ここでトイレをすると良いことがある」ということを分からせるのです。そうすると、時間がかかっても自然に理解してくれるようになります。逆に、失敗を叱ってしまうと「トイレをすること自体がいけない事なんだ」という間違った学習をしてしまうので、逆効果になるばかりか病気を引き起こす原因にもなりかねません。
(3)ハウストレーニング
ミニチュアピンシャーに絶対に教えておいておく必要があるトレーニングはハウストレーニングと言っても過言ではありません。
警戒心や縄張り意識が高いため、常にフリーの状態にすると興奮しやすいワンちゃんになってしまいます。ハウスなど安心して休むことができる場所を作ると、吠えたり興奮した状態の時にもハウスに逃がすことが出来るようになります。
ハウストレーニングは以下を参考にしてみてください。
(4)散歩のトレーニングはリーダーウォーク!
ミニチュアピンシャーの散歩のしつけは、飼い始めが肝心です。怖いもの知らずで大胆な性格があるため、徹底してご主人よりも先を歩いてはいけないことを教えなければなりません。いわゆるリーダーウォークです。
これができないと好き勝手に歩き回るばかりか、他のワンちゃんや人に飛びかかってケガをさせる恐れがあります。
飼い主としては早く一緒に散歩を楽しみたい気持ちもあるかもしれませんが、理解できるまで根気よく教えることが大切です。ただし、ミニチュアピンシャーは人によって態度を変えることがあるので、家族で飼う場合は、慣れてくるまでワンちゃんを制御できる人が必ず付き添うようにしましょう。
リーダーウォークのトレーニング方法は以下を参考にしてみてください。
まとめ
飼い主さんに従順だけど、好奇心旺盛で反抗期の子どものような部分を持つミニチュアピンシャーは、初めてワンちゃんと暮らすという飼い主さんには少し扱いづらいかもしれません。
しかし、その苦労を乗り越えた先にはワンちゃんと人間の関係を超えた最良のパートナーにもなってくれます。
ミニチュアピンシャーだけでなく、ワンちゃんと暮らすということはそれなりに大変なことが多いです。命のある生き物ですからその子、その子の個性があります。大変なことは多い分、嬉しいこと、楽しいこと、幸せなことが多いのです。
もし、どうしてもしつけが難しいという場合には、しつけの専門家であるドックトレーナーさんの協力をお願いするという方法もあります。トレーナーさんにお願いする場合には、飼い主さんも一緒にトレーニングを行いましょう。ワンちゃんのトレーニングは飼い主さんのトレーニングでもありますよ。
時には厳しく、時には楽しくメリハリを持ってしつけるようにしましょう。